その22に戻る / その24に進む

<その23>
(631) 北の国と南の国
(632) ローカル鉄道
(633) すみだのライオン
(634) 肉桂餅
(635) さすらいのノア
(636) ノアは安兵衛?
(637) あちこちの断捨離
(638) ノアはイッパイアッテナ?
(639) 郡上八幡のボブ
(640) 観覧車
(641) ロンドンの観覧車
(642)クリスマス・プレゼント
(643)お年玉
(644)お年玉(その二)
(645)お年玉(その三)
(646)干支引き継ぎ式 
(647)黒猫神出鬼没
(648)ひなまつり
(649)給食のシチュー
(650)山行のシチュー


  



(650)山行(さんこう)のシチュー 

三太―
「マスク緩和」だと。
アルフレッド、ノーマスクで銀ブラしたのか?(※1)

アルフレッド―
若い親族です、銀座のデパートで看板獣をつとめています。
僕ら、もともと、マスクはいりません。生身ではないので。
女将さん、前号で、イッパイアッテナはなぜ給食のシチューの日がわかるのか、って
クイズでおしまいにしたから、読者さんたち、フラストレーションに陥ってますよ。
ルドルフの本を探しに図書館へ行けるひとばかりじゃないんです。
答えは?

三太―
イッパイアッテナは、給食室の黒板に書いてある献立を読んでるから。(※2)
イッパイアッテナは、ひとの文字を読めるし、書ける。
字を読めるといいことがある、って知ったルドルフは、イッパイアッテナに弟子入りして夏休み中、猛特訓した。

女将―
杉浦範茂さんの挿絵は、ちょっと古い。調理員が「給食のおばさん」って呼ばれて、
かっぽう着かけてた頃(※3)。
いまどきの給食室では、厳重な身支度して働いてる(※4、図)。

衛生管理上、猫は近寄らせてもらえないんじゃないかな。

アルフレッド―
ルドルフとイッパイアッテナが通っていた1986年ころ、
「学校給食の野菜の三種の神器といえば、じゃがいも、玉ネギ、ニンジン」(※5)
だったそうです。

女将―
シチューの具は、じゃがいも、玉ネギ、ニンジン、と肉。
シチューもカレーも、ハヤシも、具はおんなじ。「カレーシチュー」(※6)という献立もある。
カレーのルーは、商品を溶かすだけが当たり前になってたけど、
今も、調理員さんが大鍋を大きなへらで、カレー粉、バター、サラダ油をかき回す【手づくり】(※7)で頑張ってる給食室もあるんだって…

アルフレッド―
頭がこんぐらかってきた女将さん、濃密さんにお伺い立てました。(※8) 

濃密―
考えることなんかないわよ。
昔、山へ行ったときだって、おんなじ具で、ルーだけ違えて、
「カレー・ハヤシ・シチュー・カレー・ハヤシ・シチュー…」
肉ったって、「魚肉ソーセージ」ばっかり。
おかげで、いまだに、魚肉ソーセージ、食べる気にならない。


女将も仲間たちも、一斉にうなずいた。


 2年9か月ぶりの素顔 
(朝日デジタル 2023年3月13日より) 

 


※1 2023年3月13日「銀座三越のライオン像も2年9か月ぶり 素顔」『朝日新聞』。
三越のライオンはトラファルガー広場のライオンがモデルです。 (343)アルフレッド・トラ・ライオン 
※2 イッパイアッテナは、一人で給食室へ行った日にはシチューじゃなかっただろ、とルドルフに言いました。
http://murakifile.noor.jp/m3/sa/sa23.html#649
『ルドルフとイッパイアッテナ』 斎藤洋、杉浦範茂え、講談社、1986年、p52
※3 『調布市学校給食20年のあゆみ-昭和36年-昭和55年-』調布市学校給食研究協議会、1981年、
p43写真「調理員さんの身じたくもカッポー着から白衣と三角布に…」
※4 『給食室のいちにち』文大塚菜生、絵イシヤマアズサ、少年写真新聞社、2022年
※5 『学校給食はこれでよいか-食の文化をもとめて-』日本消費者連盟、三一新書、1986年、p82
※6 『なつかしの給食献立表-昭和20~60年代・全国の献立表29 献立秘話+アンケート大公開-』アスペクト編集部、1998年
【3大人気メニュー揃い踏み】鯨の立田揚げ、カレーシチュー、揚げパン
※7 『調布市立第三小学校』「給食一口メモ」  (2023.2.3取得)
2021.9.14 「チキンカレーライス、福神漬け、コーンサラダ、牛乳」
「今日の給食は、人気の「カレーライス」です。給食のカレーは、市販のカレールウを使わずに、カレー粉、バター、サラダ油でルウを手作りしています。
給食室では、三小の子どもたちと先生たちを合わせた600人分のカレーを大きなお鍋で作っています。
一つのお鍋で600人分を造るので、調理員さんは大人の肩くらいまである大きなへらでカレーをまぜています。
大きなへらを使うには力が必要です。給食を作ってくれた調理員さんに感謝して食べましょう。」
※8 こんぐらかった時には脳密さんにほどいてもらう。
(272)三太座敷わらし・本場篇「ノウミツ」


一番上にもどる

(649)給食のシチュー

アルフレッド―
女将さん、何、一生懸命見てるんです?

女将―
調布三小の給食の写真(※1)。毎日日替わりで次から次へと、いろんな料理が出てくるんで…
あ、3月14日は「ホワイトデー」献立だからって、「ホワイトシチュー」なんだ。
「ホワイトシチュー、いちごパンケーキ、水菜と大根のハリハリサラダ」
一か月前の「バレンタイン」献立では「ガトーショコラ」が出た、
私もいまどきの小学生になりたい…

アルフレッドー
2021年3月、6年2組ではクリームシチューがおかず部門第2位の人気だったそうです。
『なつかしの学校給食』に集まったみなさんのウンチクによれば、昭和43年(1968)から56年(1981)の間に、
「ホワイトシチュー」から「クリームシチュー」さらに「クリーム煮」へとネーミングの変遷がたどれるそうです(※2)。

女将―
シチューの材料の基本は、肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ。
『なつかしの学校給食』諸君は「材料では、牛→豚→ベーコンとなって、予想されるのとは逆の展開になっている。」と言ってるけど、
現在の調布三小では「鶏もも肉」。

三太―
黒猫ルドルフは岐阜の子猫だった頃から、クリームシチューが大好物だ。(※3)
野良になって巡回していく先々で、いろいろくれるんだが、猫の好物は魚だと決め込んでて、肉は滅多にくれない。
けど、ルドルフに言わせりゃ、猫はもともと肉食だ。小学校の給食のシチューは、肉が食べられる貴重な機会。
ルドルフが、初めてイッパイアッテナの後について給食室に近寄って行った日、おばさん二人が言った―
 「ほうら、きた。シチューの日には、いつもくるんだから。」
 「なんで、きょうがシチューだってわかるのかね。」
 「ふしぎだねえ。」

アルフレッド―
なぜ、イッパイアッテナは、今日がシチューだって、わかるんです?

※1 東京都調布市立第三小学校 「給食一口メモ」
※2 『なつかしの給食献立表-昭和20~60年代・全国の献立表29 献立秘話+アンケート大公開-』 アスペクト編集部、1998年、p120
※3 1986 『ルドルフとイッパイアッテナ』 斉藤洋、杉浦範茂え、講談社、p52



一番上にもどる

(648)ひなまつり

アルフレッド―
女将さん、何始めたんです?  

女将―
弥生三月だから、おひなさまを飾る。
「われもこー」さんから手作りのおひなさま頂いたから、うちで咲いた花といっしょに。

三太―
超ミニのおひなさまだ。うちの桃はまだ咲いてないから花は梅。
おら、花より団子、お供えが気になる。

アルフレッドー
そのお盆は女将さんが作ったんですか?

女将―
じゃなくて、近くの小学校の給食の、「桃の節句」メニュー(※Ⅰ)。
『給食アンサンブル』って本(※2)読んだら、いまどきの中学校のいろんなメニューが並んでた。
で、ためしに小学校のホームページを見てみた。
今年の3月の献立はまだ載ってないので、去年の3月3日を見たら、
「今日の献立は、ちらし寿司、とり天、菜の花のお浸し、すまし汁、ひなあられ、牛乳です。」

アルフレッドー
ほおー、日本の小学生は学校でけっこうなご馳走を食べるんですね。

女将―
そう、いまどきの小学生はね。
給食の思い出を尋ねると、盛り上がってとどまるところを知らない、体験談をまとめればすぐ何冊もの本になる(※3)。
「学校給食=コッペパン+脱脂粉乳」と思い込んでる祖父母世代には、
いまどきの、「米飯+おかず+汁+牛乳、さらにデザート」、なんて、まるで別世界よね。

※1 東京都調布市立第三小学校 「給食一口メモ」
※2 『給食アンサンブル 1,2』如月かずさ、五十嵐大介絵、光村図書出版、2018、2022年
※3 たとえば:
  『なつかしの給食-昭和30・40年代・人気献立50品完全再現レシピ付き-』 アスペクト編集部、1997
  『なつかしの給食-昭和50・60年代、平成人気献立50品完全再現レシピ付き-おかわり!』 アスペクト編集部、1998年
  『なつかしの給食献立表-昭和20~60年代・全国の献立表29 献立秘話+アンケート大公開-』 アスペクト編集部、1998年


ひなまつり

『なつかしの給食
-昭和30・40年代・人気献立50品
完全再現レシピ付き-』
 アスペクト編集部.

『なつかしの給食
-昭和50・60年代、平成人気献立50品完全再現レシピ付き-おかわり!』

『なつかしの給食献立表
-昭和20~60年代・全国の献立表29
献立秘話+アンケート大公開-


『給食アンサンブル』
如月あずさ、五十嵐大介絵、
光村図書、2018.

『給食アンサンブル2』
如月あずさ、五十嵐大介絵、
光村図書、2022.


一番上にもどる


(647)黒猫神出鬼没

アルフレッド―
三太君、年賀状机上展覧会に、「今年も「干支」を超越してやってきた猫諸君(※1)。」と言いました。

三太―
「新宿のももちゃん」は、2020年に「猫派代表」として登場してもらっていた、「新宿のももちゃん」の長寿と健康に乾杯!

猫のコマル君のおふくろさん―
ベトナムではウサギのかわりに猫が十二支に入っています。


アルフレッド―
シルエットでしょうか、真っ黒です。
女将さん、黒猫のノア、どうしたんでしょうね?

女将―
去年、12月の初めに、ストーブの準備してるとき姿を見せたっきり。
9月から11月まで、ちょっきり3か月間、来てたのが、ピタッと来なくなって…(※2)

三太―
ちょうど同じ12月初め、2軒先のおうちのフェンスに「尋ね猫」の張り紙。
うちの界隈の黒猫が一斉にいなくなっちゃったらしい…

女将―

図書館でジロちゃんに聞いたら、「クロ」を連れてきてくれた。(※3)

三太―
クロは、唐の都会・蘇州で生まれた猫。「全身はつやのあるまっ黒な毛でおおわれていて、日の光の下でキラキラとかがやく」
クロは、体が特に大きいとか体力抜群というわけではないけど、兵法を知っていた。次々に現れる挑戦者との戦いに勝ち抜いて、蘇州の『猫の王』になった。
ようやく手に入れた「ぐうたら生活」を楽しんで眠りこけていたところを、商人につかまり、船で倭国へ拉致されてきたんだと。

女将‐

じゃあ、蘇州の人びとが「黒珠(ヘイズウ)」と呼んでいた黒猫はいなくなっちゃったわけね。
でも、倭国の都で貧乏皇子に「クロ(玄)」と呼ばれて暮らしてた、と。
ノアも、どこかのお宅であったかく過ごしてるといいんだけど…

※1 「新宿のももちゃん」の写真は (646)干支引き継ぎ式(写真(9))、
2020年の (540)アルフレッド・猫との人生6
 
※2 黒猫ノアは2022年9月初めから12月初めまで、平均すれば二、三日に一度、むらき家の玄関を訪れていました。
(635) さすらいのノア(636) ノアは安兵衛? (638) ノアはイッパイアッテナ? 
(639) 郡上八幡のボブ
※3 『天邪鬼な皇子と唐の黒猫』 渡辺仙州、ポプラ社、2020年
※4 今まで紹介してきた「調布のデコちゃん」の干支人形は―
 2018年 (477)アルフレッド・狛犬さん に(犬)
 2019年 (514)アルフレッド・狛犬さん み(イノシシ親子)
 2020年 (542)アルフレッド・ねずみは福の神
 2021年 (579)アルフレッド・卒業 (牛)
 2022年 (613)虎か猫か(猫)
 2023年 (646)干支引き継ぎ式(象)(写真は12年前のウサギ)
/
 


一番上にもどる


(646)干支引き継ぎ式

アルフレッド―
女将さん、恒例の年賀状机上展覧会をやらないうちに2月になりました。

女将―
やりましょう、お年玉も尽きたようだし。

三太―
ウサギたち、去年は恐ろしいトラから、知恵をしぼってのがれてきた。(1)
早くウサギ年になりますように、って、年賀状をがんばって投函した。(2)
昔は大晦日は借金返済の日だった。いつの世もカネは必要だ、金運祈願。(3)
元旦、トラたちから、「干支引き継ぎ式」(4)。
我が世の春を祝う新年会には、おしゃれして来るウサギ(5)、ダンスを披露するウサギ(6)、
アラビアから跳んでくるウサギ(7)。
政府が何といおうと、コロナは不安だからマスクを外さない慎重派(8)。
今年も「干支」を超越してやってきた猫諸君(9)。

おかあ―
干支人形を一巡しちゃった調布のデコちゃん、ことしはどうするのかな?

アルフレッド―
なんと、象さんが来ました!(10)

図-1

図-2

図-3


図-4

図-5

図-6




図-7




図-8

図-9



図-10


一番上にもどる


(645)お年玉(その三)

アルフレッド―
女将さん、今年のお正月は、いままでになく、本とか冊子をいただきますね。

女将―
う~ん、去年から、一冊でも減らそう、って「断捨離」に励んでるんだけど

アルフレッド―
まだまだ勉強しなさい、って、年上・年下の諸先輩からの「お年玉」だと思います。

三太―
おかあ逃げ出して、門の前で、お店屋さんごっこ始めた。
「どうぞお持ちください」って、絵本とかぬいぐるみとかおもちゃを並べる。
お隣のお隣のオトーサンが通りかかって、
「お正月セールですか」
って言ってくれた。

おかあ―
「断捨離」とか「廃棄」とかより、「お年玉をさしあげます」というほうが、気持ちが明るくっていい。
一週間、毎日、朝8時前に開店して、夕方5時半ころ、暗くなって閉店。

三太―

新しい家へ〔移住〕していった諸君を紹介して、はなむけとしよう。
まっさきに貰われていったのは、五十音の積み木。
ボールが3個、文字通りの「お年玉」。
ミニミニ熊さん10匹入りの袋やトミカ、小さなものは連れて行きやすいらしい。
小型のイノシシ、ひょうきんなサル、ラスカル。
猫のヤーコプは、すてきな世界から王国へ移住だ。
これから学問する幼犬は貰われやすい。
おちゃめな犬ベンジーはさっさと船出して行った。
大型の哲学犬デイドさんは、敬遠されるかと思ったけど、レトリバー好きだか、チョコレート好きだかが、連れて行った。
パンダは、2002年の春節(旧正月)に台湾からむらき家へ来て20年。中国服で盛装していたから、今年の春節は新しい家族と祝っていることだろう。
キツネ体質の瞬太は、コロナで3年、王子狐の行列に参加できずに寝てたけど、きっと、王子稲荷で初午を迎える準備をしているだろう、
今年の初午は2月5日、二の午は2月17日だ。
みんなの新しいうちでの幸せを祈る、『みんなありがとう』。

※もらわれていった「お年玉」の一部です。
  • 『トミカをさがせ!ミニカーいっぱいせいぞろい!』講談社、2005年
  • 『猫のヤーコプのすてきな世界』トマス・ヘルトナー作、スヴェン・ハルトマン絵、犬養智子訳、エイプリル・ミュージック、1978年
  • 『ネコの王国(羽仁進のえほんとあそぼう)』羽仁進作、ゆのせいいち絵、好学社、1973年
  • 『犬の学問』津田直美作・画、河合楽器製作所出版事業部、1994年  (6)三太学習権 1
  • 『ベンジーのふねのたび』マーガレット・ブロイ・グレアム作・絵、わたなべしげお訳、福音館書店、1980年
  • 『犬のデイドより人間の皆様へ』デイド著、チャップマン・ピンチャー協力、中村凪子訳、草思社、1994年  (314)三太ドイツ旅行 ショコラ
  • 『陰陽屋へようこそ』『よろず占い処陰陽屋シリーズ』天野頌子、ポプラ社、2007年  (247)三太キツネ耳
  • 『みんなありがとう』松本和之作、藤本タクヤ絵、文芸社、2011年


一番上にもどる


(644)お年玉(その二)

アルフレッド―
女将さん、民俗学のITA先生から、メールでお年玉いただきました。

三太―
疱瘡・コロナに関するITA先生の論文だ。
おかあ、26年前に書いた文章だの、伝染病に関する知識だの、ひっぱりだして、感想文をでっちあげて提出した、小論文。
(写真は「疱瘡送りの藁馬」※1)
なんと、折り返し、ITA先生からメール。
こんだ、境界策定に関する伝説「行逢裁面(ゆきあいざいめん)」がテーマだ。
ITA先生自身、これはウクライナ侵攻以前に書いたものです、って断ってあるけど…
おかあ、お年玉を連投されて、立ち往生してる。

アルフレッド―
女将さん、ITA先生のゼミ生になったんですか? 
在宅で無料で指導していただけるとは、ありがたいことです。
前号で女将さんが投げた「お年玉」(※2)にも、ボールが返ってきました。

共働き主婦の「異議申し立て」を読んで、あきる野のど根性フラワー ―
私は完全な専業主婦でしたが、子育てが始まると同時に、
子ども文庫や保育付きの公民館活動などで遊ばせてもらっていました。
そんな当時の自分自身を、あ、そうか私って、大人との会話に飢えていたんだなーと
むらきさんの、子育ての修羅場だからこそという文を読んで腑に落ちました。そうだったんですね~。
ありがとう!

アルフレッド―
女将さん、紙の年賀状には、日本の徴兵制のことを書きました。

女将―
若い頃、親たちの戦争体験をたどって、男女それぞれの人生が、徴兵制に縛られ、翻弄されたことを学んできた。
自分の世代が「徴兵制のない人生」をあたりまえと思って生きていることに気づいて、以来、子の世代、そして孫の世代…
ずっと、徴兵制に縛られないで生きていかれるよう願ってきた。
「徴兵は命かけても阻むべし母・祖母・おみな牢(ろう)に満つるとも」
1978年に石井百代さんのこの歌を知ったとき、自分には牢に入る度胸があるだろうか、と自問もしてきた。

アルフレッド―
どんな年表にも教科書にも、「徴兵制が始まった年」は書いてありますが、「徴兵制が廃止された年」が何年かは、書いてありません。

女将―
「戦争が終ったのだから、徴兵制度もなくなったのだ」と漠然と思ってた。
でも、トシをへて、原発も道路計画もオリンピックも、国の計画・制度は「廃止」という手続きを踏まない限り、なくならないんだ、ってわかってきた。
「徴兵制」も1945年8月15日に自然消滅したのではなくて、1945年11月16日の勅令で「廃止」されるまで存在してたんだ。(※3)

インドネシアのSさん―
1945年は戦争反対の日本人には平和の幕開けと受け取られているようですが、それはアメリカが力ずくで作り上げた一つの「現状」でもあると思います。
その現状とは「対米従属」のもとで平和と繁栄を享受するものであり、さほど不都合だとは受け止めていないのでしょう。
つまり、戦争とは平和な現状を破壊することなので、不都合なのではないでしょうか。
でも、1945年に始まった「アメリカの力による「平和」という現状」は、アジアの他の国々の人々にとっては、必死に守らなければならないものとは限らないでしょう。
具体的にいうと、南北朝鮮と台湾海峡を挟んで対峙する二つの中国政権にとって、平和とは自分にとって不都合な現状の維持となりますね。
アメリカの国力が低下することにより、これまで不都合な現状を強いられてきた各地の勢力が異議申し立てをしはじめ、彼らに、既得権益層が「好戦的」だとのレッテルを貼っている、と私は受け止めていますが。
オランダの植民地とされていたインドネシアは、第二次世界大戦中は日本に支配され、日本の敗戦後も旧宗主国オランダとの独立戦争を戦わなければなりませんでした。
インドネシアでは近年、経済成長が著しく富裕層が増えている一方、貧富の格差も拡大し続けている(日本と同じように、多くの「識者」がそれを容認している)。キリスト教の教会や仏教寺院(華人=富の象徴)が襲撃の対象となるケースが増えています。マイノリティに対する迫害というより、民主主義・自由と能力主義・多様性の尊重はマジョリティに属する人々にとって非常に不都合だと感じているためだと思います。


三太―
厳しい指摘を受けて、おかあ、粛然としている。

※1 「疱瘡送りの藁馬」群馬県富岡市立南後箇、群馬県立歴史博物館(『病よ去れ 悪疫と呪術と医術』古河歴史博物館、2001年、p.2)
「疱瘡から無事に恢復したときに、疱瘡棚にあげておいた赤い御幣を乗せて、辻や道祖神のある場所へ送り出した藁馬である。」
※2 (643)お年玉 
※3 日本の徴兵制は、1873(明治6)年の徴兵令から始まり、徐々に整備され、1927(昭和2)年以降は「兵役法」によった。「兵役法」は、勅令第634号によって1945年11月17日廃止された。
 官報 1945年11月17日 - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)


一番上にもどる


(643) お年玉 

三太―
昨年末、「クリスマス・プレゼント」をくれた「お話を聞いてくれるサンタさん」が、『歩く見る聞く』というメール通信におかあを紹介してくれた。(※1)
それを読んだ人たちから、「むらき数子 情報ファイル」を読んでみたい、ってえリクエストをもらった。

アルフレッド―
女将さん、すてきなお年玉をいただきましたね。

三太―
「お話を聞いてくれるサンタさん」の最初の原稿には
「子育ての手間が軽くなって勉強を始めた」ってあった。
おかあ、異議申し立てした。

おかあ(=女将)―
子どもに手がかからなくなったから勉強を始めたんじゃないんです。
職場と保育所と家庭の三角を回る自転車操業の真っただ中で勉強を始めたんでした。
「M字カーブ」の底が最も深くなった「専業主婦の時代」。
保育所に預けて働き続ける暮らしは、夫・父親不在があたりまえの「ワンオペ育児」、夫との会話もなく、目の前のことを片付けるのに精いっぱいの修羅場でした。(※2)
「子どもに手がかからなくなってから」では、子どもからも夫からも相手にされない「対等に話せる力のない、愚かなオカアサン」になっているだろうと思っていました。
一日24時間のうち、起きている時間のほとんどを仕事に集中して、職場の人達と大人の会話をして過ごす、大半の男性には理解しがたいだろうと思います。

アルフレッド―
修羅場だからこそ、いま勉強しなければ、という思いは、当事者でないとわかりにくいです。
昔も今も、自転車操業のサポーターであるオバアチャン(ママの実母・姑)が「子どもに手がかからなくなってから、やればいいのに」って言うでしょうね。

※1 「むらき数子 情報ファイル」第876号、2023.1.4 ☆5[転載]「歩く見る聞く 85」
※2 1970年代半ば、保育所に預けて働き続けた母親たちの証言(むらき数子「「生めよ増やせよ」から
「生むな、ふやすな!」へ、そして…-産婆・益永スミコさんに聞きながら考える―」『昔風と当世風』第106号、2021年、p.67-70)



一番上にもどる


(642) クリスマス・プレゼント


アルフレッド―
メールで写真のプレゼントが来ました。

三太―
やあ、白柴の小銀だ、大きくなって、なかなかの男前だ(※1)。

おかあ―
犬友のポメラニアン・ランちゃんをおんぶしてるんだって…
三太が若かった頃には、ほかの犬と「密」に接することってなかったねえ

アルフレッド―
ナマのお客様が見えました。
ジャーナリストのTYさんです。
女将さん、旧知の仲なんでしょう?

女将―
それがね…、20年来の「情報ファイル」読者なんだけど、お互いに、「どこで初めてお会いしたんでしたっけ?」

アルフレッド―
予定の時間を超えて話し込んで帰られました。

おかあ―
TYさんに、話を聞いてもらって嬉しかった。

三太―
今日のお客さんは「お話を聞いてくれるサンタさん」だった。
お土産のクッキーもおいしかったし、おかあには、サプライズのクリスマス・プレゼント。

※1 春の白柴小銀
    (624)黒と白


一番上にもどる


(641) ロンドンの観覧車

三太―
アルフレッド、どうした?

アルフレッド― 
いえ、ちょっと、思い出したものですから……

三太―
何を? カノジョか?

アルフレッド―
観覧車です、ルドルフとスノーホワイトが横浜の「コスモクロック21」112メートルを話題にしていたので。(※1)

女将―
あ、そうか、アルフレッドの故郷ロンドンにも大きな観覧車があった、「ロンドン・アイ」。高さ135メートル。
私もアルフレッドも乗らなかったけど、トラファルガー広場の「トラ・ライオン」はケイト姉弟と乗ったんだって。(※2)

三太―
アルフレッド、ホームシックなのか…
おかあと出会ったのが2014年、日本に来てから満8年半か。

※1 (640)観覧車 
※2 (343)アルフレッド・トラ・ライオン
   絵本「Katie in LONDN」James Mayhew、2003、2014

      



一番上にもどる


(640) 観覧車

アルフレッド―
女将さん、なにか、言い忘れたみたいですよ。

女将―
そ、岐阜の金華山へ行った(※1)のは、ロープウエーと観覧車の両方を見に行ったんだった。

“黒猫ルドルフからあの大きな鉄の輪は観覧車だと聞いて、白猫スノーホワイトは
「あんな高いところまでいったら、景色、いいでしょうね。」といって、小さなため息をついた(※2)。“

ルドルフが自信たっぷりに説明したもんだから、てっきり、乗ったことがあるんだと思った。
いつまでもあると思うな、遊園地…
なにしろ、あの東京の豊島園さえ閉園されちゃって、世界最古のメリーゴーランド「カルーセルエルドラド」が見られなくなっている世の中(※3)。
シンガポールの象徴、マーライオン(※4)。
なかでも、セントーサ島のマーライオンは1996年生まれ、高さ36メートル、最も巨大なマーライオンなのに、僅か23歳で引退させられてしまった。
金華山へたどりついたら、ロープウエーがあったんでホッとした。
でも、観覧車は見当たらない。
で、ロープウエーで働いているおねえさんとオジサンに聞いたんだけど、観覧車は覚えてない、って言われちゃった。
うちへ帰ってから、ルドルフとスノーホワイトのやりとりを読み直してみた。
そしたら、スノーホワイトが乗ってみたいと言ったのは横浜に1989年にできた観覧車「コスモクロック21」(※5)のことだった。
ルドルフが岐阜にいたのは1986年より前だから、まだ横浜にもできてなかった。
ルドルフはガイドブックで読んだだけで、横浜に行ったことはなかった。
つまり、ルドルフは観覧車には岐阜でも横浜でも乗ったことなかった。
乗ったことがあると、私が勝手に、思い込んでたんだ。

アルフレッド―
ひとの記憶って、いいかげんなもんですね。
女将さんに聞き取りに来るひとも、よくよく気をつけないと、嘘ではないけど事実でもないことを聞いて帰ることになりますね。

※1 (639) 郡上八幡のボブ 
※2 『ルドルフとスノーホワイト』斉藤洋、杉浦範茂え、講談社、2012年、p.207、282。図は裏表紙。
※3 カルーセルエルドラドはどこに行くの??「思い出のとしまえん」@石神井公園ふるさと文化館 |
   Mandala Design ArtBlog | マンダラデザインアートブログ
   2022.11.29現在、「ウイキペデイア」によれば、解体され倉庫で保管されている。
※4 (503)アルフレッド・狛犬さん ま
    マーライオンはいくつある全部の場所と数は?大きさや由来と英語では何? - やくだつ情報屋
※5 よこはまコスモワールド - 大観覧車が目印の都市型立体遊園地



一番上にもどる


(639) 郡上八幡のボブ 

アルフレッド―
コロナの第8波が心配されてる中、女将さん、どこ行ってたんです?

女将-
岐阜県。夏にコロナで延期になってた、幹事さんたちがリベンジ企画してくれた。
夏以来、ギックリ腰後遺症と体力低下で、参加しようかどうしようか、ウジウジ迷ってたら、ウサギ監督が、車の手配やら調査中の休憩やら、いろいろ配慮してくれた。
ウサギ監督に「30年の付き合いじゃないですか」と言われて「ハイ、行きます」(※1)。

アルフレッド―
岐阜県と言ったって広いんでしょう?

女将―
福井県との県境まで行った。
みんなと一緒に1時間歩くのはつらいけど、ひとりでマイペースなら1時間でも歩けるってわかった。
若い衆に「半日は沈没してるヒト」って言われて、開き直る。
解散後、長良川鉄道の郡上八幡駅前の旅館「東屋(あずまや)」(※2)に泊まった。
みかけ質素な、小さな宿屋、玄関に入ったら、フロントに招き猫が2匹。
1匹は大きな陶製の置き物だったけど、もう1匹が、ナマ猫で、とってもきれいな茶トラ「ボブ」そっくり(※3)。
カメラを探してるうちに、消えちゃった、残念。
建物、しつらい、純和風でね、瀟洒っていうのかな、スッキリしてて綺麗で。
今まで泊まったことのある宿泊施設のなかで、いちばん気に入った。

アルフレッド―
和風の旅館というと、寝具はベッドではないんですか?
女将―
そう。和室だから、畳に布団を敷く。私はベッドのほうがいいんだけど。
分譲住宅のチラシなんか、年寄には和室、っていう固定観念があるけど、ほんとは身体能力が低下したヒトには
畳から起き上がる・立ち上がる動作ってとってもつらいのよね。
この頃は、宿泊施設の食堂や、公民館とかお寺のような高齢者の集まる場には、畳に座らなくてもよいように、
椅子を備えるのが当たり前になったみたい。

アルフレッド―
で、郡上八幡駅からまっすぐ帰ってきたんでしょう?

女将―
岐阜で途中下車した。

三太―
岐阜? なんで? キムタクの信長パレードは先週終わっただろ?(※4)

おかあ―
キムタクもいいけど、黒猫ルドルフ。岐阜は『ルドルフ』シリーズの聖地。
子猫だったルドルフが、お隣のおねえさんが働いているロープウェーに乗
せてもらって、山のてっぺんにあるお城に登って岐阜の町を眺めたりした
んだって(※5)。
で、ルドルフが乗ったのは1986年より前だから、ひょっとしたらロープウエーが無くなってるかもしれないけど、岐阜城はあるから行ってみた。
あった、あった、ロープウエー、ちゃんとあった、乗ってきた。
ルドルフはタダ乗り、私は往復1000円。(→切符の写真)
ルドルフの仲良しのおねえさんはもう退職してるだろうから、なるべく年配のおじさんに聞いてみたけど、黒猫が乗ったお話は覚えていなかった。

三太―
おかあが、うちへ帰ってきたのは、夜暗くなってから。
おかあ、玄関の周辺を見回して、「ノア、来てない」と言いながら入って来た。
荷物を下ろしてから、ふり返って見たら、玄関ドアの前にノアが香箱座りしていた。
どっかで、ちゃーんと、見張ってて、おかあが帰って来たのを見て、現れたんだ。

アルフレッド―
女将さん、急いで、ミルクを持って行きました。
完全に、ノアのペース、振り回されてます。

※1 ウサギ監督、気は優しい、けど、タヌキの背中に火をつけるのは容赦しない。  (316)三太カチカチ山(3)
※2 旅籠 東屋  残念ながらボブの写真は載っていません。
※3(626)ボブ
※4「ぎふ信長まつり2022パレード」は2022年11月6日、大群衆が集まりました。 https://eiga.com/news/20221106/13
※5 『ルドルフとイッパイアッテナ』(斉藤洋、講談社、1987年、p18)



一番上にもどる


(638) ノアはイッパイアッテナ? 

猫のウメちゃんのオカーサン―
巡回してくる黒猫に、【ノア】、きれいな名前を付けましたね。(※1)
我が家のお隣には【ナナ】という名のクロトラの猫がいて、その子の遊び相手の野良猫をお隣では【ケンスイ】と呼び
我が家では【ハチ】と呼んでいました。
なぜハチなのかは説明いらないですよね


おかあ―
は? なぜハチなのか説明いらない? 
(数秒考えて)
そっか、【ナナ】はnana じゃなくって「七」だから、「八」なのね。

猫のウメちゃんのオカーサン―
野良だった【ハチ】がお隣の飼い猫になってからは、さすがに【ケンちゃん】と呼んでいます。


おかあ―
【ケンちゃん】=【ケンスイ】って猫の名前としては初耳。どんな字を書くのかな…

猫のウメちゃんのオカーサン―
初めてお隣にやって来た時、お隣の金網に両手(爪)を引っかけてまるで懸垂をしているような姿でいたから。と隣のご主人から伺いましたよ。
納得でしょ?
ちなみにケンちゃんの毛並みは真っ白な毛が8割ほどで2割が明るいベージュ色の2色模様です。


おかあ―
なるほど、巡回・パトロールする猫は、行く先々で異なる名前で呼ばれるってことね、
うちでは【ノア】と呼んでるけど、お隣では【クロ】かも知れない。
50年前、私が【安兵衛】と呼んでたあの黒猫も、さくらを救ったあの超絶カッコいい場面を目撃しなかったら、ただの「クロ」と呼んでいたでしょうね。(※2)

三太―
【ノア】はうちへ来るようになって満2か月、まだ一言も発していない。
【ノア】自身から聞けない。

アルフレッド―
黒猫ルドルフの場合は、ノラ猫になって巡回するようになったら【クロ】とか【ちび】って呼ばれるようになったそうです(※3)。
ルドルフは、「ぼくが東京にきたとき、なにからなにまで、いろいろとぼくのめんどうを見てくれたねこ」を【イッパイアッテナ】と呼んでいます。
その由来は、「はじめてあったとき、ぼくが名まえをきいたら、イッパイアッテナは、 「おれの名まえは、いっぱいあってな」って答えた。
それは、名まえがいっぱいあるっていう意味だったんだけど、
ぼくは、イッパイアッテナっていうのが名まえなんだと思ってしまったんだ。
それからずっと、ぼくはイッパイアッテナっていう名まえでよんでいる。」
んだそうです。


【イッパイアッテナ】は灰色がかった茶色に黒っぽいしまのトラネコですが、すごく大きくて、トラみたいに強い猫です。
行く先々の人間から【トラ】【ボス】【デカ】【ドロ】なんて呼ばれています。町の猫からは【ステトラ】。(→絵)
子猫のときに付けられた名前は【タイガー】ですが、ルドルフが【イッパイアッテナ】と呼ぶようになって、また一つ名前が増えたわけです。

猫のウメちゃんのオカーサン―
ジブリのアニメ「耳をすませば」に出てくる猫の【ムーン】も巡回猫ですよね。
【ムーン】は電車に乗り巡回しますから名前も沢山あったのではないかと想像します。


おかあ―
【ムーン】? どんな猫だっけ? 
ジブリの猫って言ったら、イケメン猫の【バロン男爵】しか覚えてない。
(あわてて検索して)
なるほど、【ムーン】ね…(※4)
猫に人間の国境は関係ない。
よその国でも巡回する猫のお話『とっても なまえの おおいネコ』では、
【アーチー】【スナフキン】【かわいこちゃん】【おちびちゃん】【バレンタイン】だって。(※5)

※1 「さすらいのノア」 
※2 「ノアは安兵衛?」 
※3 ルドルフシリーズ、斎藤洋、杉浦範茂え、講談社
  『ルドルフとイッパイアッテナ』1986年。(絵)
  『ルドルフ ともだち ひとりだち』1988年 
  『ルドルフと いくねこ くるねこ』2002年
  『ルドルフ と スノーホワイト』2012年 
  『ルドルフとノラねこブッチー』2020年  
※4  映画・アニメに出てくる猫の名前一覧 | ペット名付け(なまえの森) (namaenomori.com)
※5 『とっても なまえの おおいネコ』ケイテイ・ハーネット作、松川真弓訳、評論社、2018年



一番上にもどる


(637) あちこちの断捨離

育ジイ先生-
前号に、「葛飾の昭子さん」からの写真が添付されてましたが、僕も参加した日比谷公園集会からの国葬の抗議デモの途中で、
エッ!ナンダコリャというチンドン屋風の男女二人がデモ隊の人びとに配っていたものです。
やはりそのデキに感心する人がいたと分かって嬉しい便りでした。
僕は、大手町付近でもはや一万歩近く歩いたこともあり、国会前は断念して帰路に着きました。
後でニュースを見て15000人とあり、やはりその場に身を置きたかったなあと思いましたが、なにより無理は禁物のトシですね。

猫のウメちゃんのオカーサン―
こんにちは。
ぎっくり腰で断捨離って大変だなぁ~って思いつつもご無沙汰していてすみません。
久々に都内に行きました。年金者組合の方に誘われて「年金一揆」の集会です。
ても暑い日で70代80代90代の元3人娘が日陰で休んだり居眠りしたり、それぞれマイペースで元気に参加してきましたよ。
「年金上げろ!賃金上げろ!」って叫んできました。
ではまた。

川口さん―
国葬反対集会に行こうとしたら、70肩?になり腕があがりません。
整形外科のリハビリに通う毎日です。
私も毎日父の遺品整理におわれています。
美術全集を寄付しようとしたら図書館で断られました。
取りに来て頂ける方いらっしゃったら差し上げます。


アルフレッドー
海辺のうづらさんから、お手紙いただきました。
「今、古本の整理をしています。古い雑誌があります」
昭和15年から28年頃の、『主婦の友』、『婦人之友』、『主婦と生活』、『婦人生活』
お母さまがその洋裁記事を見てうづらさんの洋服を作ってくれたそうです。
「もしよかったらもらって下さい。送っちゃいますよ」

三太-
おかあ、慌ててうづらさんにメールを送る―
<「もしよかったら、もらって下さい」とのお申し出、ありがたく謝絶させていただきます。
私のほうが、「もらって下さい」と言いたい!!!! >

海辺のうづらさん―
ブックオフに持って行くと150円以上では、買ってくれないということがわかりました。
悪ければ5円です。
だからブックオフに持っていくよりは何か違う方法をとったほうがいいと思って、
今せっせとリスト作って友達達にもらってもらったり貸し出したりしています。
漫画は萩尾望都が人気です。(←写真)
郵便局のレターパックプラス520円がギチギチに本を入れられていいですよ。


三太―
おかあも「貰ってもらうため」にリストを作る、という基礎作業に明け暮れてるわけだ。
紙の山脈の、峠が見えてきた、とか言って自己満足してる。
いや、峠に達したんじゃなくって。



一番上にもどる


(636) ノアは安兵衛?

葛飾の昭子さん―
「情報ファイル」いつもありがとうございます??
私は何度もぎっくり腰経験してるけど2~3週間で回復。
むらきさんは、長く悩まされているようで大変ですね??急な動きや腰の負担に気をつけてくださいね。お大事になさってください
国葬の抗議に日比谷銀座デモに行ったけど、その時面白いチラシを貰いました??老舗桜庵 なるチラシです。ご覧になりましたか?


おかあ―
ギックリ腰見舞、ありがとうございます。
国葬の日の、「老舗桜庵 なるチラシ」、国会正門付近でも見たように思います。
でも、現物を貰わなかったし、写真も撮り損ねました。
まだお手元にあるならば、その写真を私に送ってくださいませんか?

アルフレッド―
葛飾の昭子さんが、写真を送ってくださいました。(→写真)
たくさんの人が、いろんな土地で、いろんな意思表示をしたのですね(※1)。

 

三太-
おかあ、国会正門前から、腰痛が起こる前にと、早めに帰ってきた。
玄関ドアを開ける前に、キョロキョロしてる。
ノアが来てないか、って。(※2)
ノアは全身真っ黒だから、夜は闇に溶け込んじゃって見えないんだ。

アルフレッド―
女将さん、すっかりノアに振り回されてます。
前回、ノアが、毎日2回定期的に来るように言いましたが、実際は、3日姿を見せないで、もう来ないのかな、と思っていると、明け方、昼過ぎ、夕方、と一日3回来たり…
差し出された食べ物も、見向きもしない時もあれば、ぺろりと平らげるときもあり…
最近は、食事よりも、玄関の中に入ってきて屋内探検するほうに目的があるようです。

おかあ―
思い出した! 
【安兵衛】!(※3)
50年前の「漆黒の影・安兵衛」は、時々ふらっと訪れては消える浪人だった。
あれも、巡回・パトロールする猫だったんだ。

※1-1 「九条の会」メールマガジン  2022年10月10日
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20221010.htm#n より
「9月26~27日にかけての「安部元首相国葬反対」の運動は、国会正門前に15,000人、全国では概算で200か所以上30,000人の大衆行動があった。」
※1-2 「安倍国葬反対の1万5000人デモに希望がみえる」
安倍国葬反対の1万5000人デモに希望がみえる: 呆け天残日録 (seesaa.net)
※2 (635)さすらいのノア 
 http://murakifile.noor.jp/m3/sa/sa23.html#635
※3 安兵衛は長毛の黒猫、飼い猫さくらの危機一髪に躍り込んできて若衆犬を撃退してくれました。
紙芝居「実録・安兵衛物語」 http://murakifile.noor.jp/m1/cat/kamisibai.html


一番上にもどる


(635) さすらいのノア

アルフレッド―
女将さん、「情報ファイル」の発信がすっかり間遠になりました。
週一回を「週刊」、10日に一回を「旬刊」、月に一回は「月刊」と言うので、
さながら「半月刊」です。

女将(=おかあ)―
6月のギックリ腰以来、心身ともに「低空飛行」、家にこもってひたすら「断捨離」。

アルフレッド―
女将さん、前回、「山脈の登山口が見つかった」って言ってましたが、
断捨離の目的は登山じゃなくて、山脈をなくすこと、なんでしょう?
ウロウロしてないで、発破をかけて爆破するのがいいと思います、ビルの解体みたいに。

女将―
すごーいこと言うねェ。
1冊でも「本」として若い人に引き継いでもらいたい、とジタバタしてるのに…

三太―
おかあのやってるのは、登山じゃなくって、開墾だ。「焼畑」。
繁茂した草を刈って、木を切ったり抜根したり、見通しをよくする。火をかけるのは最後だ。
部屋の中が少し見通せるようになったのは認める。

おかあ―
たまにテレビを見ると、国葬ばっかり、イギリスでも日本でも、画面に映されるのは国葬賛成の人ばっかり。
たまりかねて、腰をさすりながら、国会正門前に行った。
たくさんの人が反対の意思表示をしていた。
新聞テレビだけ見てると、反対の動きは国会正門前の1万5千人だけだったように思ってしまうけど、
日比谷公園とかお茶の水でも集会はあったし(※1)、横浜・調布・立川の知り合いからそれぞれ地元でスタンデイングしたって聞いた。
「宝塚のボイチャン」によると、大阪中之島、豊中、茨木、堺市、奈良などで集会があったし、
行政に対して<弔意を強要させない>アクションも全国あっちこっちで行われた。

三太―
おかあ、焼畑のあいまに、玄関を見てソワソワしてる。

 

アルフレッドー
黒猫です。9月の初めに現れて、毎日のように、玄関ドアの外にたたずんでいます。
朝と夕方、6時前後の30分くらい、むらき家の人々を観察して、庭を通って東隣のお宅の玄関前へと、巡回してるようです。
女将さん、「ノア」って名をつけました。

三太―
小学校を巡回してる黒猫ノアのお話(※2)そのまんまだ、って。うちは小学校の真ん前だし。
おとうも食い物差し出して、ノアの歓心を買おうと、おかあと張り合ってる。
当人(当猫)は、飼い主を求める「駆け込み」活動のつもりはないらしい。
昨日は、ブロック塀の上を歩いて、西隣のうちの玄関に向かって行った。

※1  9月27日の安倍国葬反対デモ(錦華公園・銀座デモ・国会正門前)
https://youtu.be/9SQ7dgMw-30
※2  2011『さすらい猫ノアの伝説―勇気リンリン!の巻―』重松清、杉田比呂美画、講談社青い鳥文庫
2012『さすらい猫ノアの伝説2―転校生は黒猫がお好きの巻―』重松清、杉田比呂美画、講談社青い鳥文庫


一番上にもどる


(634) 肉桂餅

アルフレッド―
各地のみなさまに、台風のお見舞いを申し上げます。
女将さん、ご無沙汰してる間に、彼岸花が咲き始めました。

三太―
「情報ファイル」の更新もできず、「断捨離」(※1)と称して紙の山脈で遭難寸前だ。
おらには、山脈の山裾をあっちからこっちへ移動してるだけに見えるんだが。

おかあ―
何十年も、溜め込んできたもんでねエ。
本の形をなしていないモノは捨てる、って大決断した。
毎週のゴミ回収の古紙の日に3袋とか5袋とか出してきて、ようやく、部屋の中に通路を確保。
一日が、あっという間に過ぎて、新しい本を読む余力もなくて、夜。

三太―
心身のエネルギーを使い果たして、すとんと寝ちまう。

おかあ―
おんなじ同世代の人に相談しても、おんなじ悩み抱えてるからラチがあかない。
40代の学芸員にアドバイスもらって、やっと、整理の方向が見えてきた。
山脈の登山口が見つかった、って感じ。

アルフレッド―
女将さんのやってることは、「断捨離」というより「蔵書点検」です。
図書館司書のする「分類」にはほど遠いレベルですが。
クリニック通いが、週イチくらいで済んでるのは、女将さんのトシとしてはマシなほうでしょう。

宝塚のボイチャン―
むらき数子様そして三太様、いつも通信ありがとうございます。
与謝野晶子さんの通った堺女学校(今は大阪府立泉陽高校)の近くに、
八百屋宗源という菓子屋があって「肉桂餅」が有名です。
お饅頭を楽しんでおられたのでお送りします。
肉桂と書いてニッキ=シナモンとは知りませんでした。
もうすぐ到着しますので楽しんでください。


アルフレッド―
宅配便をいただきました。

おかあ―
肉桂餅をありがとうございました。
肉桂=ニッキ、から「キナ=キニーネ」と連想してしまいました。
マラリアの特効薬がお菓子に? と思って、念のため検索して、肉桂も生薬として使われてきたけれど、キナとは全く別のものだとわかりました。
微かにニッキを感じるほどよい甘さ、おいしくいただいて、断捨離に励みます。
ボタモチに、塩味の場合がある(※2)のは知っていたのですが、塩味のお菓子も各地にあると、『塩の道』(※3)をパラ読みして知りました。
断捨離の余徳です。

三太―
「肉桂餅」の箱も、五個×2列=10個、田口祐子さんのいう「五の倍数」だ。

※1 7月から断捨離に取り組む日々、饅頭にも取り組んでいます。
 (627)葬式饅頭 http://murakifile.noor.jp/m3/sa/sa23.html#627 和菓子は「五の倍数」~(630)饅頭のトリセツ
※2 ボタモチは、年中行事に作られてきましたが、結婚から妊娠、産後にかけての人生儀礼にも使われてきました。
下記のように、塩味の例も報告されています。
 ※2-1 『日本民俗調査報告書集成 九州・沖縄の民俗 大分県編』三一書房、1996
「大分県の民俗」p.43
「(餅は)昔は塩餡であった。」
 ※2-2 『十日町市史資料編 8 民俗』1995、p.274
「以前は小豆を軟らかに煮て塩を少し入れた塩餡であったが、今は砂糖を加えて練る。」
 ※2-3 『清水町史民俗調査報告書 清水町の民俗』静岡県駿東郡清水町、2001、p.348
 「(結婚式の翌日、嫁が近所への)挨拶回りから戻ると、クミの女衆がオチツキ(ノ)ボタモチという塩餡のぼた餅を作る。」
 ※2-4 『新修豊田市史 別編 民俗 1 山地のくらし』2013、p.608
「閑羅瀬でも、腹帯を巻く祝いにはオキモリや近所の人を招き、ご馳走でもてなした。
……この時は嫁ぎ先で紅白あるいは白い餅を搗き、中には小豆を煮て塩で味を付けた塩餡を入れた。」
 ※2-5 『真岡市史 5 民俗編』 1986、p.804
「(産後三日目に作る)ミツメノボタモチは、甘みを極力抑えたぼたもちで、所によっては、塩のぼたもちでしょっぱかったなどという人が多い。」
 ※2-6 『日本の民俗 滋賀』第一法規出版、1972、p.205
「湖西では産婦が産じょくにいる間にヒダチミマイといって重箱にかならず塩餡のお萩餅を入れて届ける風があった。」
※3 平島裕正『塩の道』講談社現代新書、1975
p.106「清水港をはさんで蒲原に対する三保は、甘蔗(かんしょ、さとうきび)の栽培が盛んなところであった。
そこから、土地の人の言い草として、 「餅の餡は蒲原か三保か」と言われていた。
つまり、塩あんか、砂糖あんかと聞くのが慣用になっていたぐらい、蒲原も塩の代名詞に使われていたとある。」
p.108「播州(兵庫県)名産の「塩まんじゅう」、讃岐(香川県)の銘菓「かまど」、仙台の干菓子「塩釜」、京都の「真盛豆(しんせいまめ)」
などにも見られるように、 塩餡を用いて菓子は日もちがよくて、あっさりしている。」


一番上にもどる


(633)すみだのライオン

三太―
おかあ、何あせってるんだ?

女将―
ライオンが、引っ越すんだって……

アルフレッド―

僕はむらき家にいますよ。
引っ越すのは、すみだのライオンです。
130年住んでいた墨田区から、隅田川の対岸の台東区に引っ越すんです。
で、墨田区でのお別れセレモニーに、女将さん、行ったんです。(※1)

女将―
セレモニー会場は、浅草寺から言問橋を渡った隅田川沿いだった。
すみだのライオン、たくさん餞別もらってたみたい。
旧知の学芸員さんと会えなくて残念だったけど「東京空襲体験画展」を見た。
1945年3月10日の、「筆舌に尽くし難い」経験・記憶を、何とか吐き出したい・伝えたいという高齢化しつつある体験者の思いが、画面にあふれていた。
それから、すぐそばの牛嶋神社へ行ったらアルフレッドの仲間たちに会った。(※2)

アルフレッド―
僕の仲間?

女将―
そ、狛犬。昭和7年(1932)生まれの若いのは、やたら猛々しくて、付き合いたくない。
岩山の上にいる親子連れは、「獅子山」っていって、文政11年(1828)生まれ、江戸最古の獅子山だ、って、円丈師匠が言ってた(※3)。江戸の父親はイクメンだったんだ。
控えめに座ってる年寄は享保14年(1729)生まれ、三百歳!
狛牛と撫牛(なでうし)の腰をしっかり撫でて、「ギックリ腰快癒」を願ってきた。


※1 すみだ郷土文化資料館、2022.5.14~9.4  特集展示「すみだの石鹸 LION この地で130年」を開催しています 墨田区公式ウェブサイト (sumida.lg.jp)
    ライオン本社は2023年、墨田区本所から台東区蔵前へ移転します。
※2 牛嶋神社の楽しみ方10選!参拝してご利益アップ|TapTrip
※3 『The狛犬!コレクション-参道狛犬大図鑑- 』三遊亭円丈、立風書房、1995



一番上にもどる


(632)ローカル鉄道

アルフレッド―
女将さん、「恒例夏の家出」は中止になったといったのに、出かけたんですか?

女将(=おかあ)―
そ、「ツアー」に参加してきた。コロナ・ワクチン4回目の接種証明書を提示して、マスク必着、バス車内では食事禁止。
バスでの移動時間が長くって、座り続けるってつらかった。
「エコノミークラス症候群」って、飛行機と限らず、バスでもデスクワークでも起こるんだって。
自由行動の日は、鉄道に乗ってみた、JR東日本の花輪線。新聞の図に赤字路線として示されてる路線の一つだった。(※1)
東北の夏の緑の中、沿線の畑に栽培されてる<リンドウ>は八幡平市の特産品。約30種類もあるんですって。
単線の線路に並行してる道路を、次の日のツアーのバスで移動したんだけど、なんだか、違う世界みたいだった。
    
花輪線安比高原駅
花輪線安比高原駅.
花輪線、りんどう畑
花輪線、りんどう畑


ホテルに戻ったら、ロビーでアルフレッドに出会った

アルフレッド―
僕もバス・ツアーに参加してたんですか?

女将―
じゃなくて、飛行機で来たみたい。
バンコックの中学校の麦わら帽子「ハロウハット」かぶってた。

三太―
アルフレッド、中学生になったのか?

アルフレッド―
イギリスの制度では小学校は5年まで。日本の小学校6年にあたる中学1年から7年間の学校です。
「ハロウ」の創立者が「ジョン・ライオン」さんなので、僕らライオンがマスコットです。
ハロウ・インターナショナル・スクール(Harrow International School)が今年、八幡平市に開校するので、看板獣として来日したんです。(※2)

女将―
全寮制の学校に7年間、費用どのくらいかかるんだろうって検索してみたら、
「年間900万円」掛ける7年=6300万円。  
ずっと昔、中学1年から大学卒業までの10年間の費用を1000万円、って試算したことがあったけど……(仰天)

三太―
ベネッセってえサイト見ると、(※3)
幼稚園から大学まで国公立で行けば800万円くらい。
すべて私立だと1800万円。
住んでる場所によっても違うけど、塾だとか、学校外活動費だとか、衣食住の生活費とか、子どもにかかる費用をザックリ積んでくと…

おかあ―
「今、わが国の実に7人に1人の子どもが貧困状態にあるといわれています。」
「日本の子どもの貧困率は今、OECD加盟国の中で最悪の水準にあります。」って…(※4)
おんなじ国のことと思えない現実…

アルフレッド―
なんだか、ハロウ・ハットが落ち着かなくなってきました。


※1 「(いちからわかる!)ローカル線の収支、厳しい状況なの?」『朝日新聞』 2022.8.17 。付図「1日平均利用者数が2千人未満のJR東日本の赤字路線」
※2 1年間の授業料「900万円」でも入学希望殺到…超富裕層向け「全寮制スクール」の実態 | 幻冬舎ゴールドオンライン (gentosha-go.com)
※3 子どもの学費・教育費 幼稚園から大学までの平均額は? 公立vs私立、習い事費用でも変わる?|ベネッセ教育情報サイト (benesse.jp)
※4 子どもの貧困対策 | 日本財団 (nippon-foundation.or.jp)



一番上にもどる


(631) 北の国と南の国

アルフレッド―
酷暑とコロナと豪雨、三重苦の夏です。

「東京のアキコ」さん―
ぎっくり腰のその後はいかがですか?
猛暑にもかかわらず、むらき情報をいつも発信してくださり、ありがとうございます。
先月末からの9日間猛暑には、まいりました。
めったにエアコンはつけないのに、夜もずっとつけてしまい、案の定、不調に陥りました。
内閣改造、党役員には女性なし、大臣は2名のみで内一人は高市氏。
女性活躍は言葉だけなのに、がっくり。
旧統一教会と自民党との関わりが明らかになって、国葬が中止になるといいのですがね。(※1)

海辺のうづらさんの家


「海辺のうづら」さん―
おあつうございます。
私は←(B)のような家に住んでいます。
隣との間が50センチとか100センチしかないの。
下はコンクリートで固めてある。
雨がふったら、水はさっと排水口に行ってしまいます。
(A)みたいに、地面に水が吸い込まれて、草も水を吸ってくれて、
じりじり照りつけても、水分が出てくるので、
涼しい…というのを夢見ていますが、うちはただの草ぼうぼうの変な家になっています。
「草があるから、蚊が多い」と言われているようです。
ひまな日は近くの駅の近くの食堂に行きます。「避暑」です。
一軒ずつの小さな家がエアコンつけてポコポコやってるって、どうなのだろう?と思うのですが「電気」。
なんとか使わないようにならないですかね。

三太―
おらんちは、海辺のうづらさんの絵でいえば、南側から見ると(B)、東側から見ると(A)に近い。
雨水は一部は雨水タンクに、大部分は地面に吸い込まれる。
うづらさんが夢見るほど涼しくはない。
連日の猛暑と雨で草木がモーレツに繁る。蚊も湧いてくる。日夜、蚊との戦い。

おかあ、ギックリ腰の再発を恐れてゆっくりと(モタモタと)ちょっぴりずつ草取り。

おかあ――
「草取りは、難度、高いですよ」って、整骨院のイケメン院長に言われた。
一級建築士の宮崎玲子さんの背中を見ながら、世界中のいろんな台所を見て歩く(※2)。
宮崎さんによれば、北緯40度線が「北の国」と「南の国」の境い目なんだって。
「火で寒さや暗さを克服してきた北の国、暖房も明かりもさして必要なく、
火を調理の道具とした南の国」って。
地球の軸がほんのちょっと傾いていたために、北の国では煮込み料理と保存食、
南の国では作ってすぐ食べる。家の建て方、住まい方、水の使い方…、暮らし
のあらゆる面に、お日様との関係つまり地球上の位置が関わっていたって。
今では、世界中で、暮らし方が「都市化」して、日照時間の長い国も短い国も、
おんなじような台所でいっぱい電気を使ってる。原発に依存しながら…
海辺のうづらさんに同感、「なんとか使わないようにならないですかね。」

ひつじが丘の牝牛さん―
「えねこや」は太陽光だけで過ごしています(※3)。
2019年にクラウドファンデイングで多くの方に協力いただいて作った「移動式えねこや」は、今、東京都多摩市の学童保育「こどもリ ビング」さんの敷地に駐車しています。(※4)
8月21日、日曜日、夏休みえねこやワークショップを開催します。
お子さんお孫さんといっしょにおいでください。(申し込みは→ googleフォームより )


※1 「国葬やめろ訴訟」がいくつも準備されています。訴訟への参加についてはお問合せください。
※1 「国葬やめろ訴訟」がいくつも準備されています。訴訟への参加についてはお問合せください。
※2 宮崎玲子著書:
1988『世界の台所博物館 』柏書房
1992『世界の台所 -ミニチュアで見る-』能津喜代房写真、福音館書店
1992『台所から覗く北の国と南の国 -火と鍋と暮らし-上・下』 原書房
1996『台所から見た世界の住まい 』 彰国社
2009『オールカラー世界台所博物館 』 柏書房
※3 えねこや
移動式えねこや 
 (513)アルフレッド・狛犬さん め 2019.2.21     
 (514)アルフレッド・狛犬さん み 2019.3.1
 (515)アルフレッド・狛犬さん し 2019.3.13
※4  こどもリビング - 多摩市聖蹟ウィズチャイルドの学童・子育てカフェ (with-child-living.com)


一番上にもどる


(630)饅頭のトリセツ

アルフレッド―
女将さん、断捨離(※1)のあいまに、ジロちゃんに会いに行きました。

女将-
猛暑のなか、連日の「健闘」で、「足の踏み場もな」かった床が、フローリングがいくらか見えるようになってきた。
山脈は依然として聳え立っているけど、登山口に立った、ってとこかな。
昨日は、アメリカの下院議長の台湾訪問(※2)に思いを馳せながら、台湾関係のひと箱を解体した。
うちんなかで、断捨離ばっかりやってるとウツの沼に沈み込んでくので、図書館分館に、ジロちゃんに会いに行く。

三太-
おかあ、ジロから、江戸の和菓子職人・栄吉を紹介された。(※3)
栄吉は菓子司三春屋の一人息子、老舗に弟子入りして菓子作りの修業中。
懸命に努力してるのに、栄吉が作る菓子は、どうしようもなくまずい。

女将-
う~ん、栄吉の饅頭ねえ…。
三春屋の近隣の人は、饅頭をみると、作り手が誰か、まず確かめる。

三太-
おかあ、『妻のトリセツ』(※4)って本を手に取った。
この本は、「妻の不機嫌や怒り」という攻撃からいかに身を守るか、地雷を踏まないために「夫側からの対策をまとめた『妻の取扱説明書』」なんだと。
「家庭というプロジェクトを夫側からうまくコントロールしていくために」有効な方法の一つがお土産作戦だと。
「お土産は、会社帰りにデパ地下で購入したお饅頭でもいい。」

おかあ-
饅頭一個でも緊張緩和に有効だとは認めるけど……。
男が何気なく口にして、言われた妻には「一生の傷になるセリフ」がたくさん並んでる。
うんうん、あるある、そーだよなー、と、自分や姉妹・友達が夫たちから言われたセリフを思い出す。
妻の言動・心理をすべて「母性愛」「女性脳」で解説するのは《チガウ》と思う。

※1  Sinceさんから、断捨離の「ご健闘をいのります」と、エールをいただきました。   (629)真夏の饅頭 
※2 「訪台、緊迫 ペロシ氏、総統と会談 中国、台湾囲み軍事訓練」   『朝日新聞』2022年8月3日 16時30分
※3 栄吉は江戸日本橋の老舗安野屋で修業中。    『いっちばん』畠中 恵、柴田ゆう絵、新潮社、2008

      『いっちばん』 畠中 恵、柴田ゆう絵、新潮社
※4 『妻のトリセツ』黒川伊保子編著、講談社新書、2018



一番上にもどる


(629)真夏の饅頭

アルフレッド―
読者のみなさま、暑中お見舞い申し上げます。
女将さん、ずいぶんご無沙汰してますよ。

女将-
ギックリ腰以来、いろいろあってね…
「饅頭の謎」をきっかけに、『死・葬送・墓制資料集成』(※1)なんて本をひっくり返して、
1960年代と1990年代のお葬式の変容を読んでたら、突然、2022年現在のお葬式に臨むことになってしまって…
コロナのまたまたの猖獗「第7波」で、春から準備していた調査旅行が中止。
でも、だからこそ、「会えるうちに会っておこう」と年上の人に会いに行ったり…
クリニックをはしごしたり…
いろいろ重なって、このところ「断捨離」に励んでいます。
本とコピーや手紙などの紙の山脈の山すそと、日夜奮闘しています。

Sinceさん―
断捨離って難しいと思います。
むらきさんの場合、本や書類は大量で目を通すだけで時間が過ぎるでしょう。
なかなか山脈を崩すには至らないですね、キット。
ご健闘をいのります。


三太-
棚の隙間が少し増えてきた。
おらの目には、山脈の山すそを削って、玄関先に積み上げる「移動」に見えるんだが。

アルフレッド-
働いた時には甘いものが欲しくなります。
饅頭はいかがです?
検索してみたら「ライオン饅頭」がいくつかありました。
饅頭に僕・ライオンの顔や姿の焼き印を押してあります。(写真1)
「ライオンまんじゅう」は、秋吉台自然公園サファリランドの諸君が、雪の中、集まって寒さをしのぐ押しくらまんじゅう状態です。(写真2)

女将-
この猛暑の中、毛むくじゃらの「ライオンまんじゅう」は遠慮します。
「氷まんじゅう」って言葉を聞いたように思うんだけど、検索しても、よくわかんない。「冷たい饅頭」なのか「かき氷」のことなのか…

※1 『国立歴史民俗博物館資料調査報告書9 民俗研究部 死・葬送・墓制資料集成 東日本編1,2』国立歴史民俗博物館、1999

ライオンまんじゅう(山川菓子店)
写真1 イオンまんじゅう
(上越市・三八朝市祭りで山川菓子店が発売2011.5.3)
ライオンまんじゅう(秋吉台自然公園サファリランド)
写真2 ライオンまんじゅう
(秋吉台自然公園サファリランド2012.1.7)


一番上にもどる


(628)浅草の饅頭

アルフレッド―
女将さん、ギックリ腰、なかなかスッキリしませんね。

女将―
ギックリ腰の名残の腰痛に足の痛みもあって、駅から離れた会場へ、歩いて行くのはしんどい。
遅刻しないように、いっしょうけんめい歩いた。
会場のドアを開けたら、「ああ、やっと来た」
「トボトボ歩いてるから、追い抜いて先に着いてた」って声に迎えられた。
追い抜かれたの、全然気が付かなかった。
脂汗かいて、いっしょうけんめい歩いても、客観的には「トボトボ」見えることもショックだった。

三太―
おかあが図書館のジロちゃんから借りた饅頭本
『まんじゅうざむらい』(※1)は、酒まんじゅうのお話。
『お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂』(※2)は、浅草の19歳のイケメン職人が饅頭を作ってるという現代のお話。

アルフレッド―
あれ、女将さん、浅草へ行くんですか? 腰が痛いのに、饅頭買いに?

女将―
たまたま、雷門で会って牛鍋食べましょう、って声掛けられたから。
仲見世に、犬猫用品の店があった。(※3)
猫のコマル君のおふくろさんが知らせてくれたテレビ「柴犬深掘り」で映った店だと思う。
ぬいぐるみとかいろんな柴犬グッズがあった。けど、買わない。
栗丸堂は、見つからなかったけど、「あげまんじゅう」のお店「仲見世 浅草九重」があった。
で、バラを5個買ってきた。 (↓写真)。

あとで添えてあったチラシを見たら、その店の「人気ランキング第一位」は
「5種類(10個入り)MIX (あげまんじゅう・ごま・抹茶・さつまいも・かぼちゃ 各1パック)」
とある。つまり「五の倍数」(※4)。ただの偶然なのかな。

※1 1996 『まんじゅうざむらい』 今江祥智、伊藤秀男画、解放出版社
※2 2014 『お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂』 2 似鳥航一、メデイアワークス文庫、KADOKAWA
※3(624)黒と白   2022年5月5日、Eテレ放映「柴犬深堀り」
※4(627)葬式饅頭  饅頭はなぜ「五の倍数」?


「あげまんじゅう」
仲見世 浅草九重
『まんじゅうざむらい』
『まんじゅうざむらい』 
今江祥智、伊藤秀男画
、解放出版社
『お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂』 2 似鳥航一、メデイアワークス文庫
『お待ちしてます 
下町和菓子 栗丸堂』 2 
似鳥航一、メデイアワークス文庫、


一番上にもどる


(627)葬式饅頭

アルフレッド―
女将さん、ギックリ腰をかばいながら、図書館のジロちゃんからどっさり借りてきました。何の本です?

三太―
まんじゅう。漢字だと饅頭って難しい字で書く。
小麦なんかの粉を練った皮ん中に、小豆なんかの餡が入ってる和菓子だ。

アルフレッド―
なんで今どき、「饅頭」なんです?

女将―

前号で『葬送文化』って雑誌を紹介した中に、田口祐子さんが、明治29年(1896年)伊勢でのお葬式の様子を書いてる(※1)。
喪家に寄せられた供物の大部分が「饅頭」で、数がはっきりしてるだけでも2000個以上!もあったんだって。
「葬式饅頭」って、唄(※2)は浮かぶけど、自分で歌ったこともないし、実物を見たこともない。
だいたい、喪家から会葬者に配るもんだと思ってたから、2千個も貰ったらどうするんだろ、って、ビックリして、饅頭のこと、調べ始めた。
ず~っと、「ぼたもち」(※3)には関心持ってきたんだけど、「饅頭」には無関心だった。


「利休饅頭」―
 『まんじゅう大好き! 酒饅頭・温泉饅頭・全国饅頭の本』
メトロポリタンプレス編・発行、2014年、p.84(三重県伊勢市)

アルフレッド―
研究熱心なヒトを、日本語では「好事家(こうずか)」と言うそうです。

女将―
何とでも言わば言え。民俗学の新発見になるかも知れないんだし。
これぞ好事家が書いた本、といいたいのが、『饅頭博物誌』(※4)、これを見ると、
饅頭は江戸時代・文化14年(1817)に会葬者に配った例があるという。
『路傍の石』(※5)の主人公の少年・吾一は、東京でお寺での葬式に行って、
引き物の菓子折り(=葬式饅頭)を貰ってくる”おともらいかせぎ”で生き延びてた。1899(明治32)年のことみたい。
群馬県伊勢崎市では、1910(明治43)年に「念仏玉」(赤飯・牡丹餅・饅頭)を、会葬者や集まった子どもたちに配っていたのが、
昭和11(1936)には「饅頭」になっていたという(※6)。
1920年代・昭和初年(※7)を再現した、『日本の食生活全集』のうちの、『聞き書 ふるさとの家庭料理 7 まんじゅう おやき おはぎ』を見ると、
葬式に関する饅頭は、参列者の食膳に載せられるわずかな例だった。
明治から昭和初年にかけて、葬儀の引き出物は、近親などが調整する赤飯・餅から業者に注文する饅頭(商品)に変っていった。
その変化は町場から農村部へと及んでいったらしい。
葬式饅頭は、昭和恐慌以降の緊縮・節約の村々での「申合せ」で「廃止」の対象とされていた(※8)。
戦中戦後の統制下で、菓子である饅頭は手に入りにくかった。
戦後1951(昭和26)年、哲学者・田辺元が妻の葬式に注文した饅頭は「長径四寸五分、数は二個一組で三百組」(※4)。約14センチ! でっかーい!

1960(昭和35)年代以降も、和菓子屋の商品を葬式当日や法事の日に配る例がある(※9)。
葬儀が大きく変わっても、葬式饅頭は絶滅はしていないようだ。

アルフレッド―
引き物・香奠返しとして配る饅頭が、「葬式饅頭」なんですね。
それで、田口祐子さんの報告(※1)の「二千個の供物」の謎は?
女将―
「これは、明治初年創業で伊勢神宮の内宮門前町にある老舗菓子店「藤屋窓月堂」の創業以来の主要商品「利休饅頭」と考えられる。・・・
 その他の特徴としては、送られた饅頭の数がある。いずれも五の倍数となっており、少ない方から、送り手が連名の場合も含め、15、20、25、30、35、50、70、75、100、200、500個となっている。
送り手が一人の場合の最大数は100個である。」ですって……

三太―
 五の倍数ということに、田口さんは民俗学者だから、「習俗の意味合い」をみてとろうとしている。
 おかあが現在の本(※10)を見ると、「藤屋窓月堂」の「利休饅頭」は一口サイズだ。菓子店が製造するときに、
「5の倍数」だと蒸籠に並べ易いからじゃないか、紙箱に5個を一列で並べている店もある…なんか、和菓子業界の慣習とかあるのかな…
読者さん、「五の倍数」の謎、解けたらおかあに教えてやって欲しい。

「柏屋「薄皮饅頭」―2014 
『まんじゅう大好き!酒饅頭・温泉饅頭・全国饅頭の本』 
メトロポリタンプレス編・発行、2014年、p.62(福島県郡山市)


(ブラウザの”戻る”ボタンで本文に戻ってください)

※1 田口祐子「明治期における伊勢旧御師家の葬儀習俗と社会関係」『葬送文化』第22号、2021.2.5 日本葬送文化学会、p。59-72
※2 「葬式饅頭でっかいそうだ」の例 ふるさとのわらべうた「ソーダ村の村長さんが」 - ふるさと元気風ブログ版 (hatenablog.com)
※3 「ぼたもち」についてはいろいろ書いてきました。
    (251)三太ぼた餅(1)お題 ~ (268)三太ぼた餅(18)嫁さんとぼたもち④ 
※4 『日本の食文化大系 第十八巻 饅頭博物誌』 松崎寛雄著、平野雅章解説、東京書房社、1986
※5 『山本有三全集 第九巻』「路傍の石」 新潮社、1976
※6 板橋春夫「葬儀と食物―赤飯から饅頭へ―」『葬儀と墓の現在』吉川弘文館、2002
※7-1『聞き書 ふるさとの家庭料理 7 まんじゅう おやき おはぎ』奥村彪生 解説、農文協、2003
    ①「華まんじゅう」北海道松前郡松前町、 ②「あおがい」徳島県板野郡土成町宮川内、葬式、③「けいらん」佐世保市野崎町、法事。
※7-2 下村美幸さん(1923-、奈良県五條市)からの手紙2012.4.18
    「葬式当日(大正、昭和初期)『オボロマンジュー』がお膳に付いていた」
※7-3 田中正明「東京都檜原村小岩の通過儀礼」(二松学舎大学附属高等学校社会科研究部 編著『東京都桧原村北檜原の民俗』1981.11、p.56 )
    「返しは往時から葬式の日に渡している。饅頭や砂糖など」
※7-4 東京都品川区『品川の民俗と文化(品川区史 史料編別冊第二』1970 
    「会葬者に当日塩釜(落雁)を配り、香奠返しには、後日にシノブ饅頭を配る。饅頭の数は七つか八つあるいは十個」
※8 『出石町史 第四巻 資料編Ⅱ』兵庫県、1993
   『神美村誌』兵庫県出石郡神美村役場、1957
   兵庫県出石郡神美村では1930(昭和5)年の申し合わせでは「非時並ニ香典返シハ全廃スルコト」、1946年には「仏事ニ於ケル供物ノ移リ(従来ノ餅、饅頭)ハ一切廃止ノ事」を申し合わせた。
※9-1 竹村双隆さん(1953生、茨城県古河市)聞き取り 2013.12.29
   「葬式には、饅頭。自分が知ってる頃には、うちで作らないで菓子屋に頼んでた。沼影の大黒屋に。」
※9-2 『新狛江市史民俗調査報告書6 和泉の民俗』東京都狛江市、2020.
   「狛江市東和泉2丁目に店舗を構える和菓子屋「志むら」(有限会社菓匠志むら)は、昭和40年の創業時から、「【葬式饅頭】…焼き饅頭または青白饅頭である。…奇数個を箱に入れて用意する。」
※10-1 『まんじゅう大好き! 酒饅頭・温泉饅頭・全国饅頭の本』メトロポリタンプレス編、2014、p84
※10-2 『日本の食生活全集 24 聞き書 三重の食事』農文協、1987、p312
   「●利休饅頭 また、明治時代に創業した宇治中之切町の「藤屋窓月堂」の利休饅頭も風味よく上品だ。」
(ブラウザの”戻る”ボタンで本文に戻ってください)



一番上にもどる


(626) ボブ

アルフレッド―
女将さん、ギックリ腰に見舞われて、すっかり意気消沈。
接骨院から帰って来ると、グターッと昼寝しちゃって・・・。
草むしりができないから、庭がジャングル化しています。

「元祖・山女」さん―
私は幸いぎっくり腰はやったことがないのですが、定期的に膝にヒアルロン酸の注射をしています。いまごろ整骨院デビューなんて驚きです。
腰、早く治ること祈ってます。

「ストリートキャット・ボブ」ビッグイシュー日本版三太―
おとうが、なんか持ってきた、ギックリ腰見舞いかな。
『ビッグイシュー日本版』だ、ボブが3回も表紙を飾ってたんだと。(※3)
ボブはロンドンで『ビッグイシュー』の客寄せやってた。日本風に言えば招き猫。
ボブは茶トラだ。縞模様の猫をタビーというそうだ。
おかあ、『ボブという名の猫』って映画(※1)いつ見たんだ

おかあ―
「ロンドン版「猫の恩返し」 人生を救われた路上の演奏家」って新聞記事(※2)見てから少しあとだったか

アルフレッド―
このうちにもボブが来たことがあるとか?


おかあ―

何年前かな、ふと出窓の外を見たら、お隣のクルマの上に茶トラ猫がいた。
手前の出窓にいるぬいぐるみの「ボブ」と、そっくりの縞柄で、そっくりおんなじ格好「香箱座り」してた。(※4)
思わず、「ボブ!」って呼びかけてた。
2匹一緒の写真撮れなかったのが残念。(写真はむらき家のぬいぐるみ「ボブ」)

アルフレッド―
生のボブは居つかなかったんですね。
うちのあたりでも、外歩きしている猫を見なくなりました。
ペットショップへ行ってみますか?
女将さんが猫を1匹飼うと、日本経済に大きく貢献できるそうです(※5)

女将―
「ネコノミクス」ねえ…
一軒が猫1匹の飼育にかける年間の費用を「10万1520円と推計」して、関連の消費支出を積み上げていくと、
「各家庭の小さな積み重ねが、日本経済全体を大きく動かす原動力になる」んだって。
けど、猫を飼っても介護リスクの半減効果は、犬を飼った場合ほどはっきりしない、
って(※6)猫に散歩の相棒を期待するのは無理だからね。

※1 映画「ボブという名の猫」
※2 『朝日新聞』2017年9月4日11時55分
※3 『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版』
   2020.1.15 VOL.375 「2020年ボブからのメッセージ」
   2022.1.1 VOL.422  「ストリートキャット・ボブ」
※4 香箱座り 猫がお腹を地面につけ、四肢を体の下に折りたたんでいる状態。
※5 「ネコノミクスの経済効果、2兆円規模 コロナ禍で猫が生む癒やしの力」
   『朝日新聞』 石平道典2022年4月2日 11時00分
※6 「犬を飼うと介護リスク半減、一方で猫は… 日本の高齢者1万人調査」
  『朝日新聞』 2022年2月24日 7時00分 



一番上にもどる


(625) 浮き沈み

◎おらあ三太だ!

Sinceさん―
お元気ですか?
第857号 2022.5.16以降の情報ファイルが届いていないので心配しています。


アルフレッド―
ほら、あんまり間が空いたから、心配いただいちゃったじゃないですか。
女将さん、ダイジョブですか?
前号を発信した直後は、なんだか嬉しそうでしたけど。

三太―
ああ、或る会のZOOM会議に参加したおかあ、発言しねいで、記録係。
初めて、ZOOMの画面と、Wordの画面を並べておいて、参加者のやりとりを聞きながら同時入力する、って挑戦したんだ。

おかあ―
つまり、聞き取りのときには、聞きながら、ノートにボールペンで手書きする。
ZOOMだって、PCの画面で話者が話してるのを聞きながら、手元のキーを叩いて入力すればいいんだ、って気がついた。大発見!
途中、画面がブレたりして、聞き洩らし、入力し損ねた部分もあったけど、なんとか最後まで、入力できた!
ウクライナの戦争とか、いろいろ、ウツのタネばかりの日々で、久々に達成感味わった。

黒猫三太―
おかあ、Word画面に集中してたんで、参加者が「あ、猫、すごーい!」とか言ったとき、すぐにZoom画面を見られなかった。
なんでも、或る参加者の画面を黒猫が何回も横切って、体が見えなくなったあともシッポだけユラユラしてたんだと。
おかあ、猫もシッポも見損なった、って口惜しがって、「こんな猫ですか?」って投稿した。(※1)
まさか、生(ナマ)猫にゃ、翼はないだろうけど。
数日後、黒猫がうちの庭を横ぎって行った。
おかあ、黒猫がまた来るのを期待しながら、草むしり始めた。

アルフレッド―
女将さん、図書館分館への往復、自転車に乗らないで歩くようにしてます。
今日はマンガを借りてきたんですね、猫のマンガ?(※2)

三太―
かわいい猫キャラのマンガだ、『さいごはおうちで』。
中身は、たんぽぽ先生の在宅医療の実践を記した真面目な本だ。
おかあ、読みながら、昼寝しちまった。
数日後、雨のあと、アジサイの葉が勢いよく茂り、つぼみが目立ってきた。
おかあ、門の前のレイアウト変更にとりかかった。
シジミバナのプランター3個を取り込んで、アジサイのプランターを並べる…
最後のプランターを持ち上げようとした、瞬間、ギクッ!

アルフレッド―
それで、女将さん、この数日、「歩く姿は百合の花」どころか、
ちょっと歩こうとするたびに「ヒッ!」って呻いてるんですね。


※1『空飛び猫』アーシュラ・K・グウイン、村上春樹訳、S.D.シンドラー絵、講談社、1993
※2 『ねこマンガ 在宅医たんぽぽ先生物語 さいごはおうちで』永井康徳著、マンガ:ミューズワーク(ねこまき)、主婦の友社、2021

ねこマンガ 在宅医たんぽぽ先生物語 さいごはおうちで



一番上にもどる


(624) 黒と白

アルフレッド―
犬型ロボットを紹介したら、ナマの柴犬擁護メールが続々来ました。

猫のコマル君のおふくろさん―
5月5日に、Eテレで「柴犬深堀り」というのをやっていました。
柴犬は洋犬に較べて自立心が強く、やたら飼い主にべたべたしないのが特徴だそうです。
それでいて飼い主のことはよくみていて、必要な時にはしっかり寄り添ってくれる、という頼もしい伴侶なんだって。
こういう個性評価されて今世界的に大人気だとか。
三太くんのことを思い出しながら見ました。
洋犬との違いは日本人と西洋人の動物観にかかわっているというコメントでしめくくられていました。
洋犬は手が加えられて数えきれないほど様々な人工的な品種がありますが日本犬は6種類、それも基本的姿はほとんど変わらず、「オオカミ」の原型を残しています。
西洋人は犬は作られたもの、管理すべきものと考えているのにたいし、日本人は犬には犬の命があると考えているからと。
これは東洋と西洋の自然観全体にあてはまると思います。

柴犬の飼い主デビュー1年の「テラのママ」さん―
白柴コギンと暮らし始めて1年、来たばかりの仔犬のころはたいへんでした。
自分のしっぽを噛むわ、止めようとする私の両手を噛むわ……
親指の爪は内出血、左手は数か所歯形がついて、青く腫れてズキズキ痛みました。
わたしにはよくなついてると思ってたのに、手を噛まれて、心も痛みました。
このごろ、コギン、お兄さんになってきてだいぶ落ち着いてくれました。
柴犬もなかなか頭がいいですね。
こちらの言うことも通じているらしく、「持って来い」というとオヤツを入れるおもちゃをもってきます。
一時は飼うことに絶望的でしたが、帰宅すると喜んで飛びついてくるのも可愛いです。
柴犬的愛情表現にも慣れて、やっと信頼関係できたーって感じです。
柴犬の魅力は、何と言っても耳ですね。耳が表情の代わりでしょうか。
後ろへぐっと引き付けたり、片耳だけびくつかせたり、ヒコーキのように水平になったり(笑)


アルフレッド―
三太君は茶色ですが、柴犬には黒も白もいるんですね。

女将―

白い柴犬がいる、って初めて知った。
菜の花のなか、白い犬、赤いボール、きれい!


一番上にもどる


(623) 散歩とアイボ

アルフレッド―
女将さん、黒柴って、タイプでしょう?(※1)

女将―
今朝、うちの前を黒い豆柴を連れて男性が散歩してた。
可愛いんだよねー。
あれこれ、犬談義してるうちに、6歳の豆柴も、愛想がなくって頑固で、飼い主をガブガブ噛んでる、ってことがわかった。
飼い犬に噛まれたなんて、ヒトに言いたくないし、SNSなんかには「可愛い」「良い犬」という場面だけを載せるから、柴犬を飼ったことのない人は「飼ってみたい犬」だと思う(※2)。
ひとたび飼い始めれば「トンデモ犬」だってわかる、その時にはもう捨てるに捨てられない、よその人には恥ずかしくって実態を知られたくない。(※3)
って、柴犬に噛まれてきた同士、内輪ばなし。
「でも、柴って、可愛いですよね、見るにはいい犬ですよね」と合意してお別れした。

アルフレッド―
検索してみたら、お散歩に連れ出せる「ファーリアルおさんぽこいぬ」(※4)というのがありました。
犬型のペットロボットとして一世を風靡したと言われている「AIBO」(※5-1)は1999年に約25万円で発売されました。
2017年に発売された第二世代の小文字の「aibo」は7泊8日レンタルで14,980円だそうです(※6、写真は※5より「aibo」)。
で、やっぱり、黒柴のロボットにしますか?

三太―
ちょっと待った。
屋外の散歩、つまり、デコボコ道や坂道・階段を、行き会う人や車をよけながら同伴者を安全に歩行させる、っていうのは、アニマルセラピストにとって、難度の高い仕事だ。
ロボットの本にある「ロバスト性=まわりでどんなことが起きようとも対応できる性能」(※5-2)が不可欠だ。
つまり、屋外での散歩につきあうには「それぐらいのロバスト性がないと、盲導犬や介助犬の代わりすらできません。」ってことだ。
このロボット黒柴に屋外の散歩ができるか? 

おかあ―
「ロボット三原則」で有名なアイザック・アシモフさんの作品に、「A Boy's Best Friend 親友」というのがあるんで、読んでみた(※7)。
 ――所は月。月で生れたヒト・ジミー少年の親友は「ロバット」。
鋼鉄製の四本脚で立つと1フィートほどの、小柄な犬型ロボット。
散歩どころか、クレーターの内側の真っ暗闇でジミーとかくれんぼしたり、
ジミーが怪我したふりしてじっと動かないでいると無線のアラームを鳴らして人を呼んだり、する完璧な子守。――
「ロバット」は、むらき家の二代目ゴローが果たせなかった「小皇帝の傅育官」(※8)を勤めるてるわけだ。

アルフレッド―
アシモフさんのロボット三原則には「人間に危害を加えてはならない」とあります。
AIBO開発チームが作った「ロボット工学三原則・AIBO版」(※5-3)の第一条は
「人間に危害を加えてはならない。自分に危害を加えようとする人間からも逃げることは許されるが、反撃してはいけない。」とあります。
「ロバット」には、口はありません。餌代不要ですが維持費は高いようです。

三太―
口が無い、って? 
口が無くっちゃ、噛めないじゃないか! 
おらたち犬の武器・牙を使えないんじゃ、「反撃」も「攻撃型防御」もできないじゃないか! 

※1 アルフレッドは、女将にロボット黒柴の写真を見せました。  (622) 散歩の相棒 
※2 例えば「調布のデコちゃん」   (609)表彰状
※3 凶暴な「トンデモ犬」を捨てるに捨てられない苦衷を、おかあ「石の上にも三年、三太とも十年」とこぼしてきました。
   (479)アルフレッド・狛犬さん   (499)アルフレッド・狛犬さん の   (521)アルフレッド・狛犬さん・フラリーマン
※4「ファーリアルおさんぽこいぬ」電動ぬいぐるみ 2,545円
※5 『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい ロボットの本 第2版』監修:日本ロボット工業会、編:日刊工業新聞社、2022年
日刊工業新聞社「aibo」2017年※5-1 p.10
※5-2 p.146 未来のロボット技術を考えていくうえで、重要なキーワード「ロバスト性」
※5-3 p.28 AIBO開発チームが作った「ロボット工学三原則・AIBO版」
    <第一条>ロボットは人間に危害を加えてはならない。自分に危害を加えようとする人間からも逃げることは許されるが、反撃してはいけない。
    <第二条>ロボットは原則として人間に対して注意と愛情を向けるが、ときに反抗的な態度を取ることも許される。
    <第三条>ロボットは原則として人間の愚痴を辛抱強く聞くが、ときには憎まれ口を利くことも許される。」
※6 レンタル広告「ソニー エンタテインメントロボット aibo アイボリーホワイト 足裏パッド付き」
※7 『コンプリート・ロボット』アイザック・アシモフ、小尾芙佐訳、ソニー・マガジンズ、2004年、p13 「A Boy's Best Friend 親友」
※8 ゴローのお仕事 その3 随筆編



一番上にもどる


(622) 散歩の相棒

アルフレッド―
女将さん、新聞記事、熱心に読んでますね。

女将―
「犬を飼っている人は飼ったことがない人に比べ、介護が必要になったり、亡くなったりするリスクが半減することがわかった。」って。(※1)
「過去に犬を飼っていた人もリスクが減る傾向があり、一度も飼っていない人に比べて2割ほど低かった。……
毎日の飼い犬の散歩や飼い主同士の交流」が、「健康によい影響を及ぼしている可能性がある。」ともある。
1万人も調査しなくたって、私ひとりの経験でよくわかる。
パピ五郎時代から三太時代まで、通算28年間、毎日毎日、朝な夕な、15分くらいずつ散歩してきた、たまーに旅行中ペットホテルに預けた数日を除いて。
お犬様の存在は絶大、「雨が降ろうと風が吹こうと」お供するために、傘だけじゃなくって、レインコートとレインハット、長靴と雨具一式。
冬には毛糸の帽子や綿入りジャンパーとかの防寒具。
三太のお伴をしなくなって、ぱったりと、雨具・防寒具の出番が減った。
コロナのせいもあって、門から出ない日も多くなった。
一日の歩数が一桁少なくなった。
てきめん、足腰が弱くなってきた……


広告「ロボットくろ柴ドッグ」9720円『朝日新聞アルフレッド―
厚生労働省というお役所が、「プラステン」と言ってます。(※2)
がんにならないために、今より毎日10分多く運動するように、って。
エレベーターや車をやめて、徒歩や自転車を使うこととか、散歩を習慣にするとか。
テレビで家庭用のランニングマシーンのCMやってます、9,990円。
新聞に、ロボット黒柴の写真が載ってます。(※3添付)
9,720円で「可愛い動作がいっぱい」だそうです。
女将さん、1万円投資してみますか?

  • ※1 「犬を飼うと介護リスク半減、一方で猫は… 日本の高齢者1万人調査」   『朝日新聞』 2022年2月24日 7時00分 
  • ※2 『がん相談ホットラインに寄せられた100の質問と回答 がんの?に答える本』監修:公益財団法人日本対がん協会、株式会社学研プラス、2022.2.15 
  • ※3 「春爛漫セール!! やんちゃそうで実はとっても甘えん坊?? 人気沸騰のワンちゃんに黒柴が登場!」ロボットくろ柴ドッグ、9,720円『朝日新聞』全面広告2022.4.10


一番上にもどる


(621)うさぎのハーネス

アルフレッド―
イースターの季節です、今年は4月17日。
「春分の日の後の、最初の満月の日の翌日曜日」なので、毎年変わるし、
イースターには、ウサギと玉子、って、女将さんだいぶ前、2016年に学習しましたよね。(※1)

女将―
図書館のジロちゃんから、ウサギの本借りてきた。
なんと、ウサギにハーネスを着けて障害物を飛び越させる競技があるんだって。(※2)
スウェーデンで生まれた競技で、日本にも愛好者がいるんだって。

三太―
おら、散歩のときは、長年、「胴輪+リード」におかあを繋いで歩いてた。
おらとおかあのどっちが車道側を歩くかについて哲学もした(※3)。
おら、昨年初めころから、あんまり歩かなくなった。歩く範囲・距離・歩数どれをとっても、3分の1か4分の1になった。
歩調も「スタスタ」から「てくてく」→「とぼとぼ」+しばしば哲学。
おかあ、「歩かないと、歩けなくなっちゃうよ」と、強引におらを引っ立てる(※4)。
胴全体をもちあげる「ハーネス+リード」にした。
茶色の犬・おらが黄色いハーネスを着けて歩く姿は人目を引く。
行き会う人からの声が「何歳ですか?」から「頑張ってますね」に変わった。
ハーネスって、盲導犬専用じゃなかった。

※1 イースターには、ウサギと玉子
(411)三太・○○焼き(その一八)イースター(チェコ編)(421)三太・○○焼(そのニ八)イースター(大きなたまご編)
※2 2022 『ラビットホッピング! うさぎがぼくのパートナー!?』
 マーリン・エリクソン、きただいえりこ訳、森山標子画、理論社
※3 車道側に犬を歩かせることについての哲学
(583)アルフレッド・旧正月の年賀状
※4 「愛犬と 歩調合せて 十六年」
 (586)アルフレッド・歩調 
 


一番上にもどる


muraki kazuko