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(290) 三太お使い犬

サラさんたちが大活躍だ。
ヒトのサラさんたちは空を飛ぶ(※1)
バーニーズ・マウンテン・ドッグのサラさんは山を登る、785段の階段を登って、こんぴら参り(※2)。
山犬サラさんはでかい。でも、リボンを付けてると人ごみでも怖がられないんだと。
サラさん、「こんぴら狗」とツー・ショット。

人の代理・代表でお参りするのが「代参」だ。ヒトと一緒にお参りするのは、ただの「お参り」。
江戸時代、金毘羅さんへ代参した犬が「こんぴら狗」って呼ばれたんだと(※3)。
狐はお稲荷さんの「お使い姫」、神様のお使いをする。
「こんぴら狗」は「お使い犬」、ヒトのお使いをした。



※1 2013年2月17日、女子ジャンプ、ワールドカップ(W杯)で高梨沙羅(日)2012-2013シーズン総合優勝。
サラ・ヘンドリクソン(米)は2011-2012シーズン総合優勝。
※2「天声犬語」「こんぴら狗」 http://tenseiken.exblog.jp/14902676
※3 江戸時代の「こんぴら狗」 (平林春一作「金毘羅狗図」(絹本着色)1938年、の一部)
(『朝日新聞』2013.2.16「サザエさんをさがせ 犬のお使い」)
カラーで見たい人は→ http://www.konpira.or.jp/about/dog/dog-2011.html>
(290) 三太お使い犬

サラさんたちが大活躍だ。
ヒトのサラさんたちは空を飛ぶ(※1)
バーニーズ・マウンテン・ドッグのサラさんは山を登る、785段の階段を登って、こんぴら参り(※2)。
山犬サラさんはでかい。でも、リボンを付けてると人ごみでも怖がられないんだと。
サラさん、「こんぴら狗」とツー・ショット。

人の代理・代表でお参りするのが「代参」だ。ヒトと一緒にお参りするのは、ただの「お参り」。
江戸時代、金毘羅さんへ代参した犬が「こんぴら狗」って呼ばれたんだと(※3)。
狐はお稲荷さんの「お使い姫」、神様のお使いをする。
「こんぴら狗」は「お使い犬」、ヒトのお使いをした。



※2 「天声犬語」「こんぴら狗」※3 江戸時代の「こんぴら狗」 (平林春一作「金毘羅狗図」(絹本着色)1938年、の一部)
(<『朝日新聞』2013.2.16「サザエさんをさがせ 犬のお使い」)  
カラーで見たい人は→ http://www.konpira.or.jp/about/dog/dog-2011.html
(289) 三太食い気の初午

おかあ、ノロウイルスに掴まった。
家庭医・のぶこ先生に「三日で治せ!」って言われた、そりゃ無理だ。
流動食1週間、ようやく復活。

初午。
去年は、一日間違えるってえ、お粗末やった(※1)。 
今年こそは、間違えないで王子稲荷へ行く。
チッコイのと、ちょっと大きめのチッコイのと、小学生二人を連れて。
露店がい〜っぱい!!
露店の食べものも、年々国際化が進む。韓国のホットク、トルコの焼肉ドネルケバブ、エトセトラ、エトセトラ。

「フルーツ飴」って言うのかな、割り箸にさした果物を水飴でくるんで氷の上に並べてる店の前で立ち止まる。(※2) 
「これ、やってみよう!」って言ったのはおかあ。
「コリント?」(※3)信じらーんないって顔で言ったのはチッコイの。
うまくボールが入れば2本貰えるって、張り切って挑戦。
3人仲よくはずれ。
あんず・みかん・マスカット、1本ずつ選んだフルーツ飴を早速舐める。買い食いの醍醐味。
おかあ、ずう〜っと、やってみたかったんだ。
さすがに大人一人じゃ恥ずかしいもんで、小学生たちをダシに使って。

今年は小学生の手前、イケメン安倍祥明(※4)探しは断念して、食い気に専念。
じゃがバター、チョコバナナ、広島焼き、ベビーカステラ、みかん、中華弁当、寿司。

おらへのおみやげはじゃがバターだった。
翌日、おかあ、お粥で暮らす。お腹をびっくりさせたバチだ。



※1  (249) 三太キツネ耳(3)
※2 果物の砂糖がけ(12) 三太 迷子札
おらが<逃げた>ときに<追う>順番 (203) 三太缶蹴り?
※3 コリントゲーム、おかあ、小学生の頃うちでやった。http://www.asahi-net.or.jp/~rp9h-tkhs/dg_kolin.htm
※4 安倍祥明は王子稲荷の近くの「陰陽屋」の店主(248) 三太キツネ耳(2)
『よろず占い処 陰陽屋へようこそ』天野頌子、ポプラ社、2011
(288) 三太寒中見舞い

おかあ、おらに噛まれて年賀状書けなかったから、って1月になって寒中見舞い出した。

寒中お見舞い申し上げます。  2013 年 
「おらあ、三太だ! おかあが、官邸前へ行かせてくれねんで、うちで【ダイイン】やることにした。」

おかあ「年末、飼い犬・三太に手を噛まれて、大掃除も年賀状書きもしない年越しをしました。」


○愛知県の高校の先生―
大変なお正月であったことをご推察いたします。
当方も正月早々とんでもない目に遭いました(未だ進行形です)。
12月30日に我が家恒例の餅つきをしました。翌日(12月31日)に、堅くなった伸し餅をおよそ4升分、包丁で切り分ける作業を、炬燵の高さに背を曲げ、腰に負担がかかる状態で行ったところ、正月2日から極度の腰痛で歩けなくなりました。
まだまだ全快ではありません。

○栃木県の詩人さんは、「私も炬燵でダイインやってます。」だと。

○世界の民話研究者さん―
やんちゃな三太君とそのやんちゃなおかあのチャーミングな近況添えの新年のごあいさつ。ありがとう。

○阿修羅童子さん― 
我が家の老齢猫モモ♀はもう人間の相手はまっぴらごめんと考えているようです。
老齢は猫も人間も似てますね。
三太君、写真に似合わず癇癪持ちですね。
ご自愛のうえ、三太君と対峙(?)なさってください。

○東京西部の炭焼き先生―
我が家の周りは雪だらけで全然溶けてくれないのです。今年は寒いのですね。
足を噛まれたら官邸前にも行かれなかったでしょうから、ワンちゃんも考えているのですね。

○さいたま市のオバサン―
又デモで会いましょうね。
三太君、噛む相手を間違えてはだめですよ。

○杉並の猫おばさんからは、ボス猿の写真。
「犬猿の仲のサルでごめんなさい。三太くんによろしく。」

うん、おらも、ボス猿も、『やらせ』にゃ、無縁だ。

年末の「飼い犬に手を噛まれた」事件に、「警察に保護された『初事件』」が続いたもんで、

○レトリバーのテラさんのおかーさんから長文― 
 可愛い寝姿のサンタさんの写真付き寒中見舞いありがとうございました。手作りアジサイもステキ!
 サンタさん、無事保護されて良かったですね〜保護先が警察だっとは、サンタさんもびっくりしたことでしょうが・・・・わたしも時々、散歩先で脱走するテラ探しには生きた心地がしません。
 一昨年の秋、テラが子宮蓄膿症の手術をしました。すぐ〈手作りドッグ・フード作戦〉を開始しました。手術から1年経ち、8歳の誕生日を迎えて、テラ食欲旺盛にしてよく走り、脱走もします。
手作りも1年以上になりました、長続きしています。と、言ってもただ、いろいろな野菜のごった煮+ちょっと魚か肉を入れるだけのごく簡単なもので、夕食のみ、手作りです。テラはこのごった煮が大好きで、最後に、使ったお鍋を出してやると、前足で抱えてきれいに舐めるので、作った者も報われる〜。
 長続きといえば、むらきさんの「情報ファイル」も10月で500号ですって。すごいな!
 私のほうは、年末に、ものすごく右目が腫れて痛くなりました。内科の先生が「ああ、帯状疱疹だね〜」って。
 夜、あんまり痛くて、うなっていたら、足元に寝ているテラが、そっと傍へ来て、わたしの顔を二、三回舐め、近くに寝てくれました。
 次の夜も、また来てくれるかと期待して、「テラ〜助けて〜」と言ったのですが、この日は知らんぷりされました。
 動物は不思議です。

テラさんは優しい。
テラさんに「犬まんま」を手作りし続けてるおかーさんも優しい。
噛まれた右手をかばいながら、「三太めし」を刻み続けているおかあも優しい。
おら、毎食完食して、おかあにしっかり報いてる。

○「わさお」君ならぬ「わしお」さん ―
三太さんのダイイン、けっさくです。
犬が一人歩きしているのが「現行犯」なら、犬が飼い主に噛み付いて怪我させるのは「傷害罪」ですが、まあ、しかし、飼い主が飼い犬を告訴するはずはないですね。


おかあ、去年秋の「伴侶選び、長寿見据えて」ってえ新聞記事(※1)を思い出す―
日本国内の飼い犬は推計1193万6千匹。飼主は50〜60代が4割、60代の人気犬種は
?トイプードル?チワワ?3柴犬?雑種?ミニチュアダックスフント
なんだと。
「1年間にかけた費用」は、平均32万5867円! 
「この『病気やケガの治療費 6万円余』には、飼い主が怪我した治療費は入ってないんだろうなぁ、ヒトに怪我させたときの紛争処理費も」って、おかあ、溜息。





※1 「伴侶選び、長寿見据えて」(『朝日新聞』2012.9.22「55プラス 犬とハッピーライフ 2」)


(287) 三太初事件

拘束された!
パトカーに乗せられた!
警察の狭い一室に押し込まれた!
おら、公道を歩いてただけだ、ダイインもしなかったし、脱原発のプラカードも付けてなかった。
おら、何か悪いことしたか?

おとうが立ち話してる、門があいてるんで、道路へ出た。
おとう「待てっ! 三太ッ!」
おかあも、予備のリード持って追いかけてくる。
久しぶりの鬼ごっこ(※1)だ!
逃げる!!

路地の物陰に隠れて、おとう鬼をやり過ごしたら、おかあ鬼が来た。
おかあ鬼、前日降った雪で滑るのがこわくてヨチヨチ歩き。
おかあ鬼を追い越して、曲がり角で振り向く、「鬼さん、こちら」
おかあ鬼を待ちきれなくて、寺町を駆けていく。

おかあ、1時間捜し歩いてギブアップ、警察と市役所に電話して応援を頼んだ。(※2)


2時間半後、警察から電話―「柴犬を保護してあります」
おかあ、携帯電話にぺこぺこお辞儀してお礼言う。
おとう、警察へ向かう。

寺町を駆け廻ってるうち、鬼たちの声が聞えなくなってだいぶたった。
心細くなったとこへ、知らないオバサンが通りかかって声をかけてくれた。
おら、嬉しくなってオバサンの足にまつわりついたんで、オバサン、立ち往生。
偶然、パトカーが通りかかった。
で、「現行犯」だって、拘束されちまった。
おら、何か悪いことしたか?


お巡りさんに抵抗しなかったから「公務執行妨害罪」じゃねいと思う。
よその庭に入ってたんじゃねいから「住居等侵入罪」も違う。
オバサンにつきまとったからって「軽犯罪法違反」か? それなら「監守を怠つてこれを逃がした者」であるおとう・おかあが捕まるべきだ。
おら一匹の牙に「凶器準備集合罪」を適用するのは無理だろう。
今の「動物の愛護及び管理に関する法律」だと「人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物」ってこって「特定動物」か?
「所有者が判明しない犬」ってこって「遺失物」か「無主物」か?
・・・要するに、警察に保護されたんだ。


おとう、「そんな奴は、俺の子じゃない!」(※3)とは言わずに、引き取ってくれた。

おかあ「豚箱から犬を貰い下げてきた、ってことね」

おかあ、また、『三太一少年の事件簿』(※4)に書き込んで夜8時に寝ちまった。
おら、また、おかあとおとうのボケ防止に働いた、アニマル・セラピスト(※5)の面目躍如。



※1 鬼ごっこ=鬼遊びとは、『追う/逃げる』という、単純明快な基本原則に基づく遊び (203) 三太缶蹴り?
※2 犬の迷子は、警察と保健所、市役所、動物愛護センター。(12) 三太 迷子札
おらが<逃げた>ときに<追う>順番 (203) 三太缶蹴り?
※3 子どもが思うようになんねえときの男のセリフ「そんな奴は、俺の子じゃない!」
(285) 三太座敷わらし・本場篇「河童の子」>
※4 おらが【起こした】事件の記録 (43) 三太一少年の事件簿
※5 三太の仕事は、トラブル起こしては、おかあとおとうのボケ防止に努めてる、「アニマル・セラピスト」。(3)三太のお仕事
(286) 三太初笑い

猫のこまるくんのおっかちゃんのおふくろさん―
  お怪我はいかがですか。
  うちではこまるを引き受けて、「孫守り」正月です。


八王子のオバサン―
  三太くんに噛まれたお手は大丈夫ですか? お大事に!


Roseさん−
  大切な右手を噛むなんてけしからん! と愛読者が怒っていたとバカ三太に(すみません他人の愛犬に)言っといてください。(どこを噛んでもいけないけれど・・・)
  若い時と違って傷跡が残りやすいので、その点でも同情します。お大事に。


メールありがとうございます。嬉しい。
三太がバカか、おかあがバカか・・・
経験に学ばないのはどっちか?

今回の傷は、深くて治りが遅い。片手では、おらが飛び出すのを抑えられないから、って、おかあ、おらとの散歩を大晦日まで自粛してきた。
元旦、心新たに、散歩に行く。
三鷹の猫ミントさん、17歳。 睡眠時間22時間てえ「寝正月」だ。

ビーグル犬と連れ立ったオジサンと出会う。
オジサン、いつものようにおらに呼びかけながら、手をおらの顔の前にさしだす。
  「サ〜ンちゃん」
おかあ、おらのリードを引き戻しながら、強く言う。
  「噛みます! 私が噛まれたばかりですから!」
  「噛むんだって?」
オジサン、なぜか笑いながら言う、さらに手をさしだしながら。

なんで、ヒトは笑うんだろう? って、おかあ、不思議でしょうがねい。
真剣に、警告しているのに。
おらも分かんねい。
オジサン、噛まれても笑うのかな、こんだ会ったら噛んでみよう。
(285) 三太座敷わらし・本場篇「河童の子」

遠野の或る家のオヤジ、娘に婿を迎えた。
娘とつきあってた相手が、あいかわらず通ってくる。
やがて、子が生まれる、オヤジの孫だ。
「生まれし子は斬り刻みて一升樽に入れ、土中に埋めたり。」(※1)

えーっ! ジイチャンが孫を斬り刻むなんて! そんなヒドイ!
孫の顔見たとたん、親心にめざめた「座敷ジッコ」さん、許せるか?

斬り刻まれた赤ん坊の手には水掻きがあった、ってえ、言いふらしたのは、婿の父親、つまりもう一人のジイチャンだ。
間男された息子の不甲斐なさを、相手は尋常のヒトじゃねえ、カッパにゃかなわねえんだ、と言ってごまかしたらしい。
孫を「カッパの子だ」って言って、道の辻に捨てた上に見世物に売ってカネにしようとしたジイチャンもいる。
異類婚姻譚の多くは、異類の雄が殺されて悲劇に終る。
オシラサマの馬は、娘の父親に殺されて皮まで剥がれた(※2)。
蛇は、娘の親に毒殺されて子どもまで殺される。ただし、元々が神様だったら許される(※3)。
野獣やカエルは、元々がヒトだった、しかも身分の高い男だってこって許される(※4)。


ヒトのオヤジにとって、自分の思うようになんねえモンはすべて異類・異人なんだ。
子どもが思うようになんねえときの男のセリフ
「そんな奴は、俺の子じゃない!」
ほら、平清盛の父親(=白河法皇)も、自分の思うようになんねえからって、相手の女を殺した、子ども(=清盛)も殺そうとした、・・・(※5)

オヤジの世界の外にいる異類の雄は、ヒトの雌にとって、魅力がある。
黙ってたら、ヒトの雌はみぃーんな、異類の雄のとこ行っちまう。
ヒトの雄は、魅力じゃ勝てねえもんで、暴力で雌を取り戻す。
女の子には、異類とつきあうと、相手も子どもも虐殺するぞ、お前も生きてかれねえぞ、って脅迫するんだ。
カッパと遊びたがる男の子には「尻こだま、抜かれるぞ」、去勢されるぞ、って。
オヤジの世界の中で、おとなしく生きていけ、って。



(284) 三太効果

選挙犬の応援が届かなかった翌日、おかあにじらされて、やっちまった。
ガブッ!
おかあ、左手に昼飯の食器を持ってた、おらが噛んだのは右手だ。
外科医へ行ったおかあ、痛い注射されて、包帯ぐるぐる巻きにされて帰ってきた。
箸もボールペンも持てねい。庖丁使えねいから、「三太メシ」作らねい、って。
粒メシがおらへの報復だ。

キーを打つのも、ポツリ、ポツリ、雨だれ状態。
川端のオジサンから見舞メール
「飼い犬に噛まれるということは言葉だけの世界ではないのですね! 大丈夫ですか?」
へこんだおかあ、
「きみのせいで、大掃除もできない」
もともと、する気なかったくせに、おらのせいにすんな。

次の日、外科の先生が訊く
「犬は反省してますか?」
「いいえ、反省どころか、散歩に連れてってくれない、って怒ってます」

或る集まりのあとで、畑のオバサンの怒りっぽさが話題になった。
原っぱのオジサン「畑のオバサンが、誰にでも噛みつくのは、三太みたいだ」
谷のオジサン・岡のオバサン、いっせいに
「それは失礼だよ! 三太に」

おとう「せっかく、畑のオバサンほど誰にでも噛みつかない、って弁護してもらったのに。おかあさんに噛みついたらダメじゃないか」
うん、おら、誰にでも噛みついたりはしねい。
効果をわきまえてるつもりだ。
(283) 三太トンネル嫌い

笹子トンネル事故(※1)のニュースを聞いたヒトが言った―
「こんな事故があったんだから、外環道の工事はやめるでしょうね」
とんでもない! 原発だって運転し続ける国だ、道路だって計画をはっきり【廃止】しない限り作り続ける。
外環道は、「我欲」と跡取が、地下40メートル以深にトンネルを通す「大深度地下方式」を強引に進めてきた。今年9月5日の着工式は「我欲」の引退の花道だったらしい。
国=国土交通省は、トンネルの良さを宣伝するけど、安全の確保については検討中なんだと(※2)。

おかあ、ふだんっから地下道通るの嫌いだ。なるべく早く地上に出たがる。
綺麗に飾られた店や壁面も、よけいに閉じ込められてる気分になるんだと。
おらも、閉じ込められるのは嫌いだ。

おととい、近くの中学校で、防災訓練があった。
「煙」体験のテントに入ったおかあ、煙が充満するとこんなにも見えないのか、って驚いてた。
外環の大深度地下トンネルで、今回の笹子トンネル事故みていに火災・高温の黒煙が発生したとき、「取り組み報告」の図6「避難方式の検討」みていにうまく逃げられるだろか?



※1 「中央道事故は氷山の一角」日経ビジネス2012年12月10日
“12月2日、山梨県の中央自動車道・笹子トンネルで起きたコンクリート製天井板の崩落事故。1枚1トンを超す巨大な天井板が、およそ110mにわたって無数に落下し、複数の自動車を乗員もろとも押しつぶすという極めて深刻かつ痛ましい被害をもたらした。(後略)”
※2 「大深度地下を使用した外環(関越〜東名)の取り組み報告」
※ 参考:「外環道路の問題点」(「外環ネット」
(282) 三太座敷わらし・本場篇「狛カッパ」


遠野市、常堅寺の狛カッパ

おっきょちゃんを誘うガータロ
おかあ、行く先々で、狛犬・唐獅子を見て歩く。
遠野のお寺にゃ狛カッパがいる(※1)。

日本全国、青い河童が多いなかで、遠野の河童は顔が赤い、って100年前の本(※2)にあるんだが、100年のうちに色がさめちまったのかな。
キウリが好きで相撲が強い、馬にイタズラしたり、ヒトの子を溺れさせたり、と悪さをする、って言われてるんだが、20年前、裏の川で「お祭りに来いや」と、おっきょちゃんを誘った河童・ガータロは赤い。(※3) 


85年前に河童Kappaの国に行ったヒトは、体の色は変幻自在だった、って言ってる。カメレオンみていに、草むらじゃあ緑色、川原じゃ灰色、って(※4)。
そのKappa界じゃあ、人間界とはマギャクなことが多いらしい。
 Kappaは衣服を着ないし、生まれるかどうかを選ぶのは親Kappaじゃなくて胎児Kappaだ。
恋愛は、雌Kappaが雄Kappaを追いかけ回す。手段を選ばず雌は雄を捉まえる。「逃げそこなってつかまった雄は、抱きつかれただけで寝付いてしまったり、嘴が腐ってしまう。」
 機械化が進むにつれ、職工Kappaが毎月何万匹も解雇され「職工屠殺法」によって有毒ガスで殺されて、肉は有産階級Kappaの食料にされる。
 資本家Kappaは言う「職工の肉を食うことなどに憤慨したりするのは感傷主義ですよ。」

おらの住む現代の東京は人間界だが、「センチメント」という言葉で人をそしった都知事がいた・・・。(※5) 



※1 石井正巳『「遠野物語」を読み解く』平凡社新書460、2009、p。147 「遠野では川に河童が多く住んでいると信じられ、川岸には河童の足跡が見られることも珍しくありませんでした(五七話)。土淵町の常堅寺の裏にある河童淵は、観光写真で紹介される機会も多く、よく知られる場所になっています。」写真はむらき撮影

※2 柳田国男『遠野物語』(『定本柳田国男集 第4巻』筑摩書房、1963)

※3長谷川摂子文、降矢奈々絵『おっきょちゃんとかっぱ』 福音館書店、1994.こどものとも傑作集1997第1刷

※4 「河童」『芥川龍之介 ちくま日本文学』2007

※5 石原慎太郎都知事の定例記者会見(2012.2.10)での発言
(281) 三太「東京は宇都宮」

歌が聞こえてきた―

   ♪東京なのに宇都宮、弁護士なのに、けんじ♪
ギョーザのCMソングか? 駅前でおかあに「栃木県のこと?」って尋ねたヒトもいる。

「人にやさしい東京をつくる会」の応援歌なんだ。

おら、東京でも宇都宮でもいい。「我欲」の跡取りでなければ。
「我欲」が、オリンピックやるとか、外環道を作るとか言ったおかげで、おらの散歩コース「若葉の森」を壊す道路計画が動き出して、5年間、おら、大迷惑してきた。(※1)

たださえ、今あるインフラの維持管理費・更新費が、2037年度からは投資可能総額を上回るって、「国土交通白書」が想定してるんだと。(※2)
つまり、道路や港湾・空港・治水などのインフラを現状維持するだけで赤字になる、ってことだ。それが見えてるのに、新しい道路作るってえのは無茶じゃねえのか? 
しかも地元で「要らない」って言ってるのに。
孫たちに借金とボロボロのコンクリートを残すのが、「世代間の公平を図る」ことなンだと?
震災からの復興とか日本再生とかいって、被災地でない所に新しく道路作るってえのもヘンだ。

繰り返す、おら、ボスが誰でも、散歩コース「若葉の森」を壊す道路計画をストップしてくれれば、それだけでいい。(※3)
「人にやさしい」うえに、犬にもやさしければ、ベストだ。



※1 調布市東つつじヶ丘から若葉町3丁目までの「調布3・4・10号線」計画。品川通りを延伸するとして、多くの住宅を立ち退かせ、入間川を横切り、国分寺崖線「若葉の森」を伐り開くもの。
交通事故が少なくて空気のきれいな地域に、この道路ができれば、入間川沿いに内水氾濫の危険が増し、樹林が減り景観が損なわれ、若葉小学校校庭に騒音と排気ガスが降りそそぎます。地元住民は「国分寺崖線の緑を守り、調布3・4・10号線を考える会」を作って、<もう新しい道路は要らない、緑を減らすな>と計画の見直しを求めてきました。

※2 「平成21年度国土交通白書」「維持管理費・更新費の推計?」

※3 (102) 三太かぶと虫の危機, (161) 三太ふた月遅れの七夕様
(280) 三太「我欲」

おかあ、ある集まりで、ドイツの魔女を紹介した。(※1)
「ドイツの魔女さんが代表でやってる魔女集会は大変論議が活発なので、私はもっぱら【座敷わらし】です」
すかさずドイツの魔女「嘘です!」

東京城を占拠してた元・作家が、突然城を出ていった。
さんざん、税金を無駄遣いして、ヒトの悪口いいまくり、ヒトとヒトをいがみ合わせてきた揚句、「最後のご奉公」するんだ、と。
「我欲」の仕上げをするってことか?

で、突然選挙風が吹き始めた。

多摩のかぐや姫さんから―
三太くん、君の出番。選挙犬やると、君の福祉が向上するんでしょ」(※2)

う 〜ん、おかあと選挙の御輿担ぎやってた大姐御もトシとったしなあ。
5年たつとおらも【おじさん顔】とか言われるし・・・。
11.11の国会包囲に出かけたおかあ、冷え込んで背中が痛くなった、って早々にリタイアしてきた。
御輿担ぎに出歩かねいで、うちで座敷わらしやってるほうがいいんじゃねいか?
うちにいたってできることある、って、おかあ、自分で言ってたろ?(※3)



※1 (148) 三太魔女修行・台湾編「小さな魔女」
※2 (75) 三太顎の運動 ・ (76) 三太三代目
おかあ、贔屓の候補が当選したんで、おらにでっかい骨くれた。選挙がおらの福祉に直結してるのを実感した。
※3 (63) 三太選挙犬(せんきょけん)
ひとりでもできる選挙運動
?候補者の遊説の「追っかけ」。「サクラ」になって手を振る。
?イベントに参加する。
?候補者のビラを配布する。(告示の前と後では、制限が違います)
?公営掲示板にポスターを張る(勝手にやっちゃダメ)。立ち止まって掲示板を眺める。
?選挙を話題にする。
?電話をかける。
?手紙を出す。
?カンパする。
?選挙事務所に陣中見舞いに行く。(一升瓶はダサい)
?自分のブログに画像をアップする。
?「おらあ三太だ!」を転送する。

(279) 三太座敷わらし・本場篇「オシラサマ」その2 

遠野の伝承園、千体オシラサマの御蚕神堂(オシラ堂)(※1、写真)へ行ったら、四方の壁一面にオシラサマ、オシラサマ、オシラサマ・・・
恋愛祈願のスポットになってんだろうか。
古いうちのオシラサマは、年に一度、新しい赤い布を着せられ、お化粧されるんだと(※2)


おかあ、針箱持ち出した。年に一度の大イベントだ。
おらの畳(座布団)、カバーがぼろぼろなったんで、新調する。ついでに、畳そのものも作り直すってえ意気込み。<BR>
古布をリサイクルして、座布団の皮を縫った。ついでにカバーも1枚縫った。
古い皮を剥いでむきだしにした綿を、どうやって新しい皮の袋に入れるか?
プロのやり方はこちら→ 布団作り一筋に生きてきた生粋の職人 - YouTube

おかあ、何十年も前にお母さんのやってた手つきを思い出した。
綿をすべりの良い広告チラシでくるんで、新しい皮と一緒に折り曲げて、押し込んでひっくり返す、チラシを引き抜く。

新しい皮を着た座布団のできあがり!
新しいカバー、古いカバー、重ねてかける、まるでオシラサマだ。

おかあ、感激のあまり、おらを呼び立てる。
「三太! 三太! 来てみて!」
しょうがねいから行ってみる。ん? おらの定位置近くに立って騒いでる。
「ンギャンッ!」
「怒ることないでしょ、君の畳をきれいにしてあげたのに」



※1 遠野伝承園、千体オシラサマの御蚕神堂(オシラ堂)
http://www.densyoen.jp/ennai/index.html#ennai_02
※2 児玉房子『母と子でみるA29 女たちの遠野』草の根出版会、2003p。123 【オシラサマ】
姫頭と馬頭のオシラサマは養蚕の神、眼の神、女の病の神、子どもの神そして狩りの神といわれてきた。一年のうち1月16日だけ箱から出されて新しい赤い布を着せられ、頭に白粉を塗られ祭られる。老女が神さまの由来を語り、集まった娘や女たちは「ミヨンコ ミヨンコ ミヨンコの神はトダリも無い、七代めくらになればなれ」と呪的な文句
を合唱し、一年の吉凶を占うという。今でも古くからの根づきの旧家ではおこなっているという。
(278) 三太座敷わらし・本場篇「電信柱」

高校の生物の先生、背が高い、あだ名は【電信柱】。
今年、「軟弱組」入りして、レンタカーを運転する。
山の中腹にあるお寺の本堂までくねくね曲りながら登る。
山門まで降りて、今度めざすは五重の塔。
山門のすぐ横に、もう一本道がある。幅2メートルほど舗装されて、アーケード状に屋根がついてる。まっすぐ登って行く急坂。
「五重の塔の入り口、そこっ! 右折してっ!」
おかあの叫びを聞き流して、【電信柱】は、アクセルを踏み続ける、
「ドッテテドッテテ、ドッテテド」(※1)
直登あるのみ! また本堂まで登っちまった。


授業、【電信柱】先生は、黒板の一番上から書き続ける。
「ドッテテドッテテ、ドッテテド」


おかあ、高校3年生の教室―
日替わり自由席、だった。
「内職」に励みたい日は一番後ろに座る。授業を聞く日は一番前に座る。
休み時間、黒板を消しに行く、シュッ、シュッ、シュッ。
おかあが消すのを、男子たちが見物してる。誰も手伝おうとしねい。おかあがどの高さまで消せるかって、賭けをする奴もいる。
おかあ、上3分の1が残ったとこで、手近にいる男子に無言で黒板拭きを差し出す。
男子、無言で受け取って残りを消しに行く、シュッ、シュッ。

それで?

それだけ。
あのクラスの男子たちとは、相合傘に書かれるような展開はなかった。
あのクラスに、【電信柱】がいたら、白馬の王子ならぬ黒板の王子になってたかも・・・

シュッ! おらのしっぽ一振り、見果てぬ夢を拭き消す。



※1「月夜のでんしんばしら」(『よだかの星』 新版 宮沢賢治童話全集 5 、岩崎書店、1978第1刷、1993第24刷)1921(大正10)年9月14日作品。
(277) 三太座敷わらし・本場篇「ジッコ・バッコ」

遠野の佐々木喜善さんは、座敷わらしにもいろんなのがいるって書いてる(※1)。
たいがいは小さな子どもだ。けど、娘二人組とか、夫婦もんもいる、爺さんの「ザシキジッコ」や、婆様の「ザシキバッコ」もあるんだと。
喜善さんは、姿形をヒトに限ってるようだ。
「座敷イヌ」は、昔はチョウ大事にされる飼犬のことだった(※2)。今は、八幡山のオジサン(※3)も勧める、あたりまえの飼い方だ。おらもそう。

「情報ファイル」にゃあ、何年も黙んまりの、座敷わらし読者がいっぱいいる。
けど、「「返信」が少なかったら、おら、「情報ファイル」からおろされちまう。」(※4)の一言が効いたらしい、おら宛メールが続々―


◎埼玉県の川口さんから―
「犬好きでも、今は飼えない私には、三太ちゃんの記事は、とても楽しみです。これからも情報をお願いします。」


◎ROSEさんから―
「三太日記は、社会風刺有り庶民の暮らしにまつわる風習やらなにやらありで、それだけ冊子にしてもいいほどの力作と思います。」


うん、「むらき数子の情報ふぁいる」の中に、「おらあ三太だ!」のページを、Sinceさんが丁寧にとじ込んでくれてる。

http://www.geocities.jp/muraki_file/santa/sant.html
いつでも、必要なとこが検索できる、って、一番活用してるのがおかあだ。
紙の本よか便利だ、って。
おらの写真も見られるし。


◎八王子のおばさんから―
「原発のこと、オスプレーのこと、中国、韓国との領土問題、それに民主党、自民党のていたらくにやり場のない怒りを感じる時、三太くんのつぶやきに溜飲をさげています。」


◎西東京のおばさんから―
「私も犬が大好き。今、私が住んでいるマンションはペット可。この頃はそうですよね。
 でも、私は都心に出掛ける用事が多いですし、病気や怪我をした時、死のことを思うと、とても飼えません。一人暮らしで飼っている人もいますが。
 2年ほど前から犬の本を買って読んでいます。犬の本はいつもブックオフから購入。気づいたら50冊にもなっていました。さらに図書館から借りてもいます。」


 おかあは、本は図書館から借りる主義、今日もこども室で『しろいいぬ? くろいいぬ?』(※5)ってえ本借りてきた。  おら、茶色い犬だ。


◎ずーっと座敷わらし状態だった「愛情深さに自信のない飼い主」さん(※6)から―
「御無沙汰しております。
なんと、この10月には名実ともおじいちゃんになって、来年は定年を迎えます。
気持ちの上ではまだまだ若いつもりだったのですが、老後が具体的な現実問題になってきました。」


「愛情深さに自信のない飼い主」さん、「『愛情深い親の心子知らず』との箴言に改めて思い致す親」って改名するんだと。
長くておぼえらんねい、「座敷ジッコ」って呼ぶことにしよう。



※1 佐々木喜善『遠野のザシキワラシとオシラサマ』宝文館出版、1974
※2  晴犬雨読/座敷犬
※3 八幡山のオジサンの職場は「東京都動物愛護相談センター」だ。
(12) 三太 迷子札
※4 (130) 三太人気投票
「返信」が少なかったら、おら、「情報ファイル」からおろされちまう。
※5 M.B.クック作、光吉夏弥やく、池田龍雄え『しろいいぬ? くろいいぬ?』大日本図書、1977第一刷、1990第6刷
(1)三太 自己紹介―茶色の犬 (49) 三太茶色の犬
※6 猫のクロさんとチビさんから「愛情深さに自信のない飼い主」って呼ばれてるヒト。
(12) 三太迷子札(14) 三太家庭犬(19) 三太医療事情(56) 三太きょうだい愛
(276) 三太座敷わらし・本場篇「かて切り」

山登り―ウン十年前の若者は、麓から、20〜30?背負って、4〜5時間歩いて頂上をめざす。
今、元・若者は、ロープウエーの頂上駅から、1〜2?背負って、30分歩いて頂上に至る、それでも「健脚組」。 「軟弱組」は麓で観光する、初めはおかあ一人。年々、増える。来年あたり、逆転過半数に迫る勢い。

軟弱組おかあ、博物館へ行った。
「かて切り」!!
初めて見た、「かて飯」に入れるために大根をアラレ状に刻む道具だ。
学芸員のオネエサンに聞いたら、明治の末頃から、東北地方で使われたらしい。
民具研究の翁にお伺いたてたら、写真を見せてくれた。(※1)


おかあ、おらの「犬まんま」に入れるのに、毎日、大根や菜っ葉の屑野菜を包丁で刻みながら思う。
「おしんちゃん」ちは、毎日が「大根めし」(※2)。大量の大根を刻むおふくろさんは大変だったろうなぁ。
今どき、ネットに載ってる「大根めし」(※3)は、ピカピカの白米+大根少し+調味料たっぷり、おいしい料理だ。
けど、100年前のおしんちゃんちじゃ、大根が主で、つなぎにくず米を入れた「かて飯」だったんだと思う。醤油も、かて切りも、カネがかかるから、使ってなかっただろう。
おかあが作る「犬まんま」=「三太めし」も、調味料は入れない。
「犬は味オンチだから」とか「塩分過剰にならないように」とか言って。


調布の平和オバサンから―
「いつもいつも情報ファイルを有難うございます。広く役立っている事を感謝と共にご報告いたします。今後も大変でしょうが、宜しくお願いいたします。
三太さんは緊張や憤怒の記事が多い情報の中で、ホッとさせてくれる息抜き、憩いの役割を果たしています。貴重な存在です。愛読者であると共に三太君のファンです。
だから、食事の出る会合の後には、三太君へのお土産をと気にします。11月に予定している会合でも50人分の弁当が出るので、お土産があると思うのですが、お渡しする方法は無いかと、今から考えているところです。」

オバサン、こないだ、9月の集まりでも、「残ったお弁当、三太君に」って、おかあに持たせてくれた。
おら、オバサン大好きだ!
オバサンちに住み替えてい。



カテキリ(『日本民俗文化大系 第14巻』小学館、1986、p。294)※1-1
写真は『日本民俗文化大系 第14巻 技術と民俗(下巻)』小学館、1986、p。294 「カテキリによる大根切り(岩手県江刺地方)。大根を賽の目に切って飯に炊き込んだ。」
1−2
「東北歴史博物館」 http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=84630
※2 「おしん」
1983年(昭和58年)4月4日から1984年(昭和59年)3月31日まで放送されたNHK連続テレビ小説第31作。
※3 ネットで「大根めし」を検索すると
白米に、刻んだ大根を炊きこむのだが、醤油・ダシ・砂糖・油・酒・塩などの調味料を入れる。油揚げを入れるものもある。
調味料を入れない稀な例:「NHK連続ドラマ『おしん』の大根めし」http://cookpad.com/recipe/1171126が、「白米+大根+水」。
(275) 三太「投票」

永田町じゃ、あちこちで選挙やってた。国の行方、ってえのを左右するはずなんだが、おかあもおあらも、指咥えてるしかねい。投票できるのが「党員」だけだからだ。
間接民主主義にもなってねい。

おかあとおら、読者さんに投票をよびかける。
「『情報ファイル』を読み続けたい人は、返信してください」って。
4年ぶりの人気投票だ(※1)。
候補者はおらだけ、事実上の信任投票だ。
ふだんは無投票当選、独裁体制を敷いている。
たまにゃあ、読者さんに意思表示の機会を提供して民意を問う。
それが、直接民主主義ってもんだろう。


発信40分後、草木も眠る丑三つ時、返信第一号!


「脳疎」おかあを支え続けて三十五年、多言を弄せず、気くばりしつつ、しっかり実行する名幹事さんから―
「こんな時間に目が覚めてしまいました。
眠いのに眠れない…そんな夜が年に数回ありますね。
情報ファイルが500号になったら、『拍手!』メールをしようと思ってました。
もうすぐですね。身体に気を付けて続けてくださいね。私にも続けてお送り下さい。
よろしくお願いします。
三太君の情報を楽しみにしている読者より。
おやすみなさい。」


「会津若松のぼた餅」さんから―
「いつも犬大好き人間で三太の大ファン、一票と言わず三票分位のファンです。よろしくお伝えを!」


杉並の猫オバサン―
「『むらき数子情報ファイル』をこれからも送ってください。
手帳代わりに愛用しています。
付録か本題かはわかりませんが、『おらあ三太だ』の大ファンですし。」


附録じゃねい! 「情報ファイル」はおらのもんだ!



(129) 三太支持率
「情報ファイル」はおらが乗っ取った(※)、おらのもんだ。
つまり、おらへの人気投票だ。
返信が少なかったらショックだ。
(130) 三太人気投票
「返信」が少なかったら、おら、「情報ファイル」からおろされちまう。
(274) 三太座敷わらし・本場篇「オシラサマ」

おばさんたちの一人から―

「キツネ目の女の子、って、ヒトでしょ?
 三太君は、犬だし、ツーショットの相手は猫だし・・・縁談、成り立つの?」


遠野はオシラサマ信仰の土地だ(※1)。
オシラサマにもいろいろあるそうだが、遠野じゃ、ヒトの娘と馬のカップルだ。
ヒトと、動物の物語―異類婚姻譚ってえ、世界中にあるお話の一種だ。
陰陽師・安倍晴明のお母さんは狐だ。最近じゃあ、「おおかみこどもの雨と雪」(※2)のお父さんは狼だ。
キツネ目の女の子と、柴犬のおらや黒猫がつきあったって、不思議じゃあねい。

おら、黒猫と張り合う気はねい、ベルリンの「若い娘さん」(※3)に立候補しよう。
おかあ「ベルリンって、沖縄よりもっともっと遠いのよ。写真で満足しといたほうがいいよ」

子の心、親知らず―



※1 後藤総一郎監修、遠野常民大学編著『注釈 遠野物語』筑摩書房、1997、p。215―
文禄3(1594) 岩手県最古の馬娘型オシラサマ(遠野市小友町 菊池家)
※2 「おおかみこどもの雨と雪」http://www.ookamikodomo.jp/index.html
※3 ベルリンの「若い娘さん」=梶村太一郎ブログ「明日うらしま」8月1日の記事のまん中辺りに写真があります。
http://tkajimura.blogspot.jp/2012/08/blog-post.html
(273) 三太座敷わらし・本場篇「サムトの爺」

「ドイツの魔女」さんから―

ベルリンの警察は、200人のデモでも車を全部停めて車道を開放するそうです(※1)。
「再稼動反対」はいまや国際語で、ドイツ人が日本大使館前で「サイカドウハンタイ」と叫んでいる動画がみられます(※2)。

なーるほど、これだけゆったりと歩けるデモなら、踏みつぶされる心配ないだろう。
おら、この「若い娘さん」って呼ばれてる「反原発ワンチャン」に会ってみてい。

梶村さんは、60年ぶりに会った媼に「汝白髪になりて現れたるか」って言われたんで、「うらしま太一郎」って名乗ることにしたんだと。
美少女マユミさんは、白髪になって戻ってきた、遠野じゃ「サムトの婆」って呼ばれる。(※3) 


おかあ、遠野行き―
新幹線が動き出したのに、幼稚園の園長先生の席が空いてる。
背中の丸まったお爺さんが近づいてきて、坐ろうとする、
「そこは人が来ます」
「うん、僕の席だよ」
あまりの老けように、愕然とした・・・「サムトの爺」だ。

「サムトの爺」は、毎日たくさんの園児に囲まれてる、夏休みの間、小学生たちも預かってる。
子どもたちに精気を吸い尽くされちまったんだろか。


鍼灸師のSSさん―

「80のおばあちゃんの治療してると、精気を吸取られちゃうのね。私はもっと若いもんから吸取って補充しないと」

おかあが、噛まれても噛まれても、おらをかまってくるのは、おらから精気を吸い取ろうとしてるのか。



※1 梶村太一郎ブログ「明日うらしま」8月1日の記事。 http://tkajimura.blogspot.jp/2012/08/blog-post.html
※2http://www.youtube.com/watch?v=bo_TJDk6YEo&feature=g-upl
※3 鷹羽十九哉『新釈「遠野物語」殺人事件』悠思社、1992
(272) 三太座敷わらし・本場篇「ノウミツ」

三日目、ホテルを出たのは14人。
洞窟入るとき、4人減った。
洞窟出たとき、おかあが抜ける。
新幹線乗るのは何人だ?


企画段階から、13人13通りの希望が出る。
新幹線で行く、朝いちで、2時間おくれで。夜行バスで。飛行機で。
登山したい、温泉入りたい、津波の被災地へ行きたい、途中で単独行動したい・・・
「わかった、わかった」
幹事さん、すべて飲み込んで精密なスケジュールを組み上げた。
直前まで変更希望が相次ぐ。
おかあ「過密なんじゃあない?」
心配ご無用、いさぎよくカットして辻褄をあわせていく。
その緻密なこと、いや綿密というか・・・「濃密」という名が捧げられた。
「濃密さん」に、みんなが幹事再任を求めた。お世辞、讃辞、懇願、果ては脅迫まがいまで雨あられ、柳に風と受け流す。


「濃密さん」、おっとりしたおばさんだ。「バックで車庫入れできないの」って笑ってる。
実は、化学実験の専門家だ。
企画から実行まで、「この条件を変えれば、どうなるか」って、すべての反応を楽しんでたらしい。座敷わらしの出没てえ条件まで織り込んでいたんだろう。
脳みそが密なんだ、「脳密」さんだ。


おかあ、先月、35人のグループの幹事やった。
資料館に案内した。
「何時までに戻ったらいいですか?」訊かれて初めて、再集合の時・所を告げてなかったことに気づいた。資料館中を走り回って34人に触れ回った、大汗・・・
発車時刻、バスに皆ーんな戻ってるか?
おかあ、何回数えてもわかんなくなる。
みかねた「布袋様」が代わって数えてくれた。
おかあの脳みそは密の反対・疎(そ)、「脳疎」さんだ。
(271) 三太座敷わらし・本場篇「呑兵衛」

14人のパーティーで岩手県遠野市へ行く、座敷わらしの本場だ。
おかあ、本場の座敷わらしに会ったら、なんて挨拶しようか、考えながら出かけた。

大宮駅のホームに集まったのは6人。
新幹線が動き出したら、7人になってた。
新幹線から降りたら、8人になった。
宮澤賢治記念館を出る頃にゃ、10人。
宿の曲り屋に入った時、12人。
二日目、朝また一人増えて13人。
昼間13人が三つに分かれて、夕方遊覧船乗り場で14人になった。


夜、宴会。
おかあの向かいに、地質調査屋さんが座った、「山師」だ。
昔は、奥さんに金の鉱脈を教えてもらって長者になった山師もいた、奥さんはキツネだったらしい。(※1)
現代の山師はコンピュータを使って社長になった。ソフトを買い替えると元が取れなくて馬鹿馬鹿しくなった、って廃業した。奥さんはヒトだ。
宿の人が飲み物の注文聞く「ビール・日本酒・ワイン・ノンアルコール…全部で15ですね」
15? 14人のはずなのに。座敷わらし?
おかあ、みんなを見まわした、14人。みーんな平然としてる。


飲み物が運ばれてきた、山師が両手で、日本酒とビールを取った。
ホテルに住みついてる座敷わらしは呑兵衛だ。
山師(と、座敷わらし)が飲んだ分、予算オーバーした。



※1 井上ひさし『新釈 遠野物語』筑摩書房、1980年。
(270) 三太夏バテ

おらこと、ホテル暮らしさせて、おかあ達、家出しちまった。
博物館で、おかあ、うろうろしたあげく、インフォメーションのオネエサンに
 「アイ ミスト マイ ハズバンド」
オネエサン、館内電話かけて探してくれた。

待つ事しばし、現れたおとういわく「これって、同んなじ展開があったよね」
言われて、おかあ、はじめて気が付く、6年前、所も同んなじ韓国で、博物館の中ではぐれた。
あの時も、オネエサンが探し出してくれた。(※)
ったく、進歩のないヒトだ。
いや、退化してるんじゃねいか?


ホテルから帰ったおら、食が進まねい。
散歩に誘われても、行く気になんねい。
うちじゅう、少しでも涼しそうなとこを探して腹這いになる。
突然「ク゛ギャンッ!」叫んで飛び上がる、お腹をかきむしる。

八つ当たりを恐れたおかあ、おらことひきずって行って、獣医先生にお伺いをたてる。

「皮膚炎ですね。体重は9.6?、冬は9.1?とか、一年のうちで波がありますね。」
ノミ除けを注射され、飲み薬を処方されて、帰ってきた。

おかあ「三太も、夏バテするんだ」
ヘンな感心するな、って。



(31) 三太韓国旅行 ?ロストワールド 
(269) 三太お嫁さん?(その2)  

! おばさん達からメール
「お〜ぉ。 お嫁さんとは…あの三太くんにねぇ」
「いくつになった?」


訊かれておかあ、育児記録をひっくり返す。
しっぽのない息子のトシも、指折って数えてるヒトだ、しっぽのある息子のトシが即答できなくたって、不思議じゃねい。
おかあとお見合いしたのが、2005年6月、その五日後にこのうちへ来た。
だから、おらの誕生日は6月、ってことになってる。その頃、もう1歳になっていたから、今年は8歳だ。
おばさん達から、前に「お嫁さん?」って聞かれたときにゃ、おかあ、
「まだまだ早い」
って、言ってた。(※1)
今回は、写真をおらに見せて、「この子、どう思う?」って尋ねてきた。(※2)
おかあもトシとったもんだ。


7.24アジサイ革命?プラカード、団扇、三太ダイイン
おばさん達の一人から―

「三太くんとおかあさんへ
こんにちは。お久しぶりです。
三太くんはこの連日の暑さにも負けず、庭で大声をあげているんですってね。
『サイカドー反対!』と叫んでいるつもりの三太くんに、『お嫁さん貰えば』… ですって?」



うん、おかあ、踏みつぶされちゃうから、って、官邸前へ行かせてくんねい。
おら、うちでできるデモやることにした。
おかあ、びっくり「君、【ダイ・イン】なんて知ってたの!」(※3)



※1  (162) 三太お嫁さん?
※2  (266) 三太ぼた餅(16)嫁さんとぼたもち?
※3 「女たちが抗議のダイイン」
(268) 三太ぼた餅(18)嫁さんとぼたもち?  

おかあ、恒例・「夏の家出」。
冷蔵庫に作り置いてった「三太メシ」三食分のあと、おとうが出してくれるのは粒メシ。

おらの好みじゃねい、って。
ガマンしながら食ってるうちに、気が付いた。
子猫だった山のトムさんだって、「ニーイ、ニーイ」って声あげたんだ。(※1)
ガマンしてちゃいけねい、声をあげよう、世間に訴えよう。
官邸前で「サイカドー、反対!」って声あげてるヒトたちにならって、
庭へ出て、空に向かって大声をあげる
「ゥワァ〜ォ、ゥワァ〜ォ、ゥワァ〜ォ」
閉口した大人たち、「三太に、お嫁さん貰えば」って言いだした。
嫁を貰って、おら専属の飯炊きにしようって。
嫁さんって、毎日ぼた餅作ってくれるもんなのか?

或る男、嫁を欲しがっている家へ行き、娘の写真を見せる。
親たちゃ、縁談を進めて貰おうと、男に酒を飲ませて小遣い銭を渡す。
男が持ち歩いている写真の娘は、実はもう結婚しちゃってる。
半世紀前の農村にゃ、そんなインチキ仲人がいた、んだと。

キツネ目の女の子の、オトーサンが作ったアルバム(※2)を見る。
あの子の写真がたーくさん。ときどき違う子の写真もあるけど。
ずーっと見てったら、20段目に、ムムッ! ツーショット!
相手は黒猫、青いネッカチーフして、すかしてる・・・
なんだ、親が認めた相手がいるんじゃねいか。
うさ子おばさんも、おとうも、おかあも、インチキ仲人にひっかかったんだ。

だいたい、おら、キッチンも冷蔵庫も持てねいペットの身だ。
稼ぎたくても、狩りに出かける自由がねい。
アニメのビーグル犬グルミットは、料理も編み物も得意だ(※3)。
けど、生の犬が料理する話は聞いたことねい。
嫁さん貰っても、性別役割分業を実行するのは不可能だ。
そもそも、飯炊きさせるために嫁貰う、っていう発想が不純だ。



※1 (267) 三太ぼた餅(17)嫁さんとぼたもち?…
※2 奈良美智 no nukesの画像(4,340件)
※3 (164)三太まぼろしの犬 「ウォレスとグルミット」 
(267) 三太ぼた餅(17)嫁さんとぼたもち? 

山のトムさんが、自分のちゃぶ台に、すましてお座りすると、お客さんたちは、
「まるで婚礼のときのおよめさんみたい」ってほめる。
山のトムさんのちゃぶ台は、ブリキをはった、古いストーブ台だ。
夜中でも、おなかがへると、じっとすわって、「ニーイ、ニーイ」とないて、さいそくする。
この座り込み戦術に、うちのヒトたちは閉口してる。(※1)


戦後生まれのカズコさん、着物を着せられて、お座りさせられた。
新しく来た【嫁】を、【姑】が、近所の「女衆」に紹介する儀式だ。
姑はあずき餡のぼたもちを女衆に配る。
昭和27(1952)年に、町の「生活改善に関する申し合わせ規約」で、
   「おはぎ行事は廃止する事」
って決めたのに、それから20年以上たった後でもまだまだやってたんだ。(※2)


いきなり【嫁】扱いされたカズコさん、カーッと頭に血が上った
「私は結婚したのであって、【嫁】にきたわけじゃあない!」
悔しくって、ぼたもち食わなかった。

ああ、もったいねい、おらが食ってやったのに。



※1 『山のトムさん ほか一篇』石井桃子、絵・深沢紅子、箕田源二郎、福音館文庫、2011.
山のトムさんは、石井桃子(1907−2008)が、戦後、宮城県鶯沢村で開墾生活に入ったときに、ネズミ退治を期待して、飼った雄の黒猫です。

ちゃぶ台におすわりするトム

9歳のトム
※2-1 『清水町史民俗調査報告書 清水町の民俗』静岡県駿東郡清水町、2001、p。348
「(祝言の)【オチツキノボタモチ】
 挨拶回りから戻ると、クミの女衆がオチツキ(ノ)ボタモチという塩餡のぼた餅を作る。嫁も一緒に一つくらい作る。これは嫁が家に居座るようにという意味で、嫁が甘くならないように塩餡にした。湯川では塩餡は仏事のものなので、祝い事のときは避けた。ぼた餅は手伝いの女衆とクミに配り、神棚にも供えた。現在は女衆が集まって作ることはなくなったが、家で作ったり購入したものをクミの女衆に配っている。」
※2-2 『清水町史 資料編?(近現代)』静岡県駿東郡清水町、2001、p。658 
【329 生活改善に関する申し合わせ規約  1952(昭和27)年 清水村生活改善実行委員会】
「四、披露宴に関する改善事項
3 披露宴当日の新郎新婦の親戚近所への土産物及びおはぎ行
(266) 三太ぼた餅(16)嫁さんとぼたもち?

こないだ、嫁入りして三日目の嫁さんが配る「みつめのぼた餅」のこと話した。(※1)

おかあ、婚礼の当日、披露宴の膳につけるぼた餅もある、って、言う。
富山県の砺波地方じゃ「ねまるがいもち」てえでっかい「かいもち=ぼたもち」を嫁さんが到着したとき、搗いた。今から九十年前くらいからは、前もって作っておくようになった。(※2)
ゴロー先輩の故郷、茨城県古河市じゃあ、「おちつきぼた餅」を椀に二個盛って、出席者全員に出した。料理屋とか公民館なんかで結婚式・披露宴をやるのが流行ってきた頃にゃ、折箱入りを席に配るようになった。(※3、添付写真)

嫁さんが婚家で最初に口にする食べ物なんだ。
呼び方は、いろいろ―
「落ちつきぼたもち」「おちつきのぼたもち」「おっつきのぼたもち」「ぶっつぁりぼたもち」・・・(※4)、
小豆あんだったり、きな粉だったり。

うさ子オバサンに、キツネ目の女の子の写真を見せられた。(※5)
このごろ、あっちこっちで、同んなじ女の子の写真を見せられる。
おとうまで、おらに見せる。
おらに縁談か?

おかあ「この子、どう思う?」
どう、って聞かれてもなあ・・・
ぼた餅食ってから、ゆっくり考えさせてくれ。
おかあ「【おちつきぼた餅】は話が決まってからよ。その前に」
写真じゃあ、匂いがないし、シッポの巻き具合もわかんねいし、・・・



※1 (264) 三太ぼた餅(14)嫁さんとぼたもち? 
    
※2 『日本の食生活全集 16 聞き書 富山の食事』農文協、1989、p。322

※3 茨城県古河市(旧三和町)「おちつきぼたもち」『三和町史 民俗編』 2001、p.330
   写真は、1976年、自宅での「ご祝儀」の宴席。中央に、生きた鯉2匹を腹合わせにして載せた皿、客個々にぼた餅入りの折箱。







※4『日本の食生活全集 50 日本の食事事典? つくり方・食べ方編』農文協、1993
  落ちつきぼたもち―― 岐阜、滋賀、栃木
  おちつきのぼたもち―― 神奈川
  おちつきもち―― 茨城
  おっつきのぼたもち―― 千葉
  ぶっつぁりぼたもち―― 神奈川
  ぼたもち―― 千葉、東京、神奈川、鳥取、徳島

※5 「紫陽花の乱!」(「想風亭日記」2012.7.2)
   奈良美智 no nukesの画像(4,340件)
(265) 三太ぼた餅(15)月替わり

おかあ、今年のバスには遅れずに乗った。一昨年の醜態(※1)をさすがに反省したらしい。
熱海で、温泉入って、しゃべって、食べて、おみやげ買って、またしゃべって・・・
帰りにバスが停まったのは、小田原の「かまぼこの里」(※2)。
中に、『五穀豊穣おはぎ』って店があった。
「月替わりのおはぎ」に、6月は「ほうじ茶あん」、7月は「白ごまあん」とある。
おかあ、眺めるばっかりで、買わなかった。


帰宅したら、テラさんのオカーサンからのメール―

かまぼこ屋の副社長さんが、“政府が「原発は再稼動させない」とはっきり宣言すれば一斉にソロバンがはじかれ、市場が動いたはずです。”と、ビジネスチャンスの芽を摘んだ政府を批判しています(※3)。
商人のソロバン勘定、なかなか説得力あります。かまぼこ買うなら鈴廣さんにすることにします。

「かまぼこの里」に、「お誕生日おめでとう」って焼印を押すコーナーがあった、500円也。
うちにゃ6月生れが【ふたり】いる、おとうとおらと(※4)。
おかあ、注文すれば良かった、って悔んだ。


2012年6月29日、ドジョウのおうちの周辺は、どんぐりならぬ人、人、人、オキュパイ状態だった。(※5)
ドジョウは「大きな音だね」って言ったんだと。
乱鬼龍師匠が新しいムシロ旗にアジサイの花を飾り付けてる。
「みーんな、百円ショップだよ」
カンパしたら、団扇にすらすら書いてくれた―

団扇さえ 脱原発の 風確か   乱鬼龍

月が替わって7月。
ダイゴ先生に「経済にもっと関心持ちなさい」って諭されて、出かけたおかあ、朝どりトマトを抱えて帰って来た。
「枝豆とトマト、どちらかお好きな方をお持ちください」
って、オネエサンが言ったから。
シンヨーキンコって名前の畑へ行ってきたのか。(※6)
おら、枝豆のほうがよかった。



(264) 三太ぼた餅(14)嫁さんとぼたもち?

トムさんが子どもを産んだ。(※1)
うちの人たち、騒ぐばっかりで「ボタモチ」作ってくんねい。
三日目なっても誰ぁれも持ってきてくんねい。
どうしてだ?

「みつめのぼたもち」は、産後三日目ばっかりじゃねい。婚礼三日目のもあるんだと。

東京都狛江市の本に書いてある―
自宅で結婚式やってたころ、「翌日は、みつ目といってボタモチを作り、重箱に詰めて親戚などに配った。」 (※2)


狛江の隣の調布市で―
昭和10年代(1940年前後)、自宅で結婚式やった頃―
「お嫁さんをもらいますと、必ずね、三日目にお嫁さんのおはぎっていうのを配るんです、親戚へ。とにかく農家ですからね、大きくするほど、皆さん「ああ、あそこで作ったからうちの方も、もっと大きく」なんていうんですよ。
 うちも息子に嫁さんをもらったときも組合とか親戚はみんなまわりました。三つ目のおはぎと鰹節も持ってきましたよ。でも、こういうことも、もう終わりですよね。」(※3)


いや終わるどころか、15年前(1997)式場で結婚式やったスワンさんも―
「嫁に来ると、ボタモチ配った。15年前です。新婚旅行から帰った翌日か、オバアチャン(=大姑)が作ったボタモチを、姑に連れられて近所の人に御挨拶に配った。ボタモチは、丸めたもの、重箱じゃない、ポリパックに入れて。」


今、和菓子屋さんのオカミサン―
「赤ちゃんが生まれたときだけでなく、結婚式のときも【みつめのぼたもち】あります、親戚など、式に来てもらうのはそれぞれの家の主人だけだから、持って挨拶に行く、んですね。今は、新婚旅行行っちゃうから、旅行から帰ってきてから挨拶に持って行く。

」 嫁の顔見せの挨拶に、ぼたもちを近所や親戚に配ってまわるんだと。
このぼたもちを貰った家は、お返ししなくっていい、食べっぱなし出来るんだと。(※4)
 

農家だった家同士では今もやってるらしい―かく言うおらんちは「新住民」だから、そういうつきあいをやらない、おかあが特に「もの知らず」だというわけじゃねい。
調布市は1950年(昭和25)にゃ人口34,865人だった(※5)。
昭和30年代に入って、急激に人口が増え続けた。とくに1965年前後の数年間にゃ、大規模な公営団地がいくつもできて「全国第二位の人口増加率」(※6)と言われた。市内の世帯主の82%が「外来」、つまり家同士のつきあいのない「新住民」という地域になった。
いま、調布市民は約22万人。そのうち、8割以上が、【みつめのぼたもち】なんかの民俗を知らないで暮らしてるわけだ。

じゃあ、トムさんのうちも「新住民」だったのか?
トムさんの住んでたイギリスにゃ、小豆やもち米がなかったんじゃないか?(※1)
なによりも、雄だと思われてた黒猫トムさんが子どもを産んだんでびっくりしたんだ。



※1 『ソフィーは子犬もすき』デイック・キング・スミス作、デイヴィッド・パーキンズ絵、石隋じゅん訳、評論社、2005。
    黒猫トムの飼い主ソフィーはイギリス南西部のグロスターシャーに暮らす5歳の女の子。トムという名はオスだからと、「トムボーイ」に改名します。“おてんばで元気のいい女の子のこと”だそうです。
※2『狛江市史』1985、p。1586
※3『調布の里ものがたり 女たちの明治・大正・昭和 聞き書き集』 調布市生活文化部女性課、1999、p。38
※4調布市内で、むらき聞取り2012年3月から6月)
※5 『調布市報』第63号 昭和36.1.1
※6 『調布市報』第123号 昭和40.2.5
(263) 三太ぼた餅(13)「みつめのぼたもち」五つ目 

水戸の現役助産師K.M.さん

「【ぼたもち】とか、江戸時代の領地、で異なるんですね、習慣が違うんです。
【みつめのぼたもち】、元の水戸藩領でやっていたんです、古河は領主が違うから、違いますね。
【みつめ】は三日目、ですけど、数え年とおんなじに、生まれた日が一日目と数えて、翌日は二日目、だから、三日目はすぐ。忙しいです。
ぼたもちは、元々、お乳が出るようにと、食べさせたんです。こちらの方では、精をつけなくちゃお乳がでないから、と、甘いもの・餅・モチ気(もちけ)のものがよい、って言ったんですね。
戦時中には、砂糖が貴重品だから、塩でやっていたんですけど、」
おかあ「人間(母子)が甘くなるといけないから、産婦に食べさせるのは塩味、という土地がある(※1)のですが・・・」
「砂糖が無いからです。」
「この頃は『甘い物は駄目』って、厳しい助産院もありますね。」(※2)
「今は、体格良くなったから。栄養状態も昔と変わって、良いから。
私も、『甘い物摂りすぎないように、お乳が張り過ぎるから。張ったら痛いよ』って注意してます。」


栃木県・茨城県・埼玉県・東京都・千葉県・神奈川県でも、「みつめのぼたもち」の話を聞く(※3)。
やらなくなった、って言う助産師さんもいるけど、調布市(東京都)の幼稚園長さんは、

「今、【みつめのぼたもち】を配るのが、復活してるみたい。最近は、菓子店、デパート等へ注文する場合が多いですね」
調布市の和菓子屋さんのオカミサン
「【みつめのぼたもち】ですね。たまーに、ありますよ。元の農家のおうちですね。東京でも、いろいろですからね。」
千葉県じゃ、「現在でも行われていて、スーパーマーケットの和菓子コーナーで予約受付をしている。」(※3-2)

みーんな、水戸黄門が漫遊したとこなんだろか?
千葉県の病院で「みつめのぼたもち」にであって、パラグアイからの留学生はびっくり仰天した(※4)。
黄門さまも、地球の向こう側・パラグアイまでは行かなかったんだ。


現役助産師「調布の魔女」さん―
「修業時代の助産院で、産婦さんのために、ぼたもちを作りましたね、甘さ抑えて。
今、うちでは和食系の【まごはやさしい】献立で一日四食出してます。夜じゅう起きてる赤ちゃんもいて、お母さんがお腹すくので、甘くて、ちょっとお腹に入って、ってものを夜食に出します」
おかあ「四食出してるんですねー。夜食まで! 大変だあ」
「その分、食べ物の差し入れは禁止してます。黙ってると、ケーキから果物から、どっさり差し入れがくる、ショートケーキなんか食べられたら、お乳が出る頃を見計らってやってるこっちのカロリー計算が無駄なっちゃいますから。」(※5)

ミツメどころじゃねい、二つ目でも一つ目でも、ぼたもちはお断りだと。



※1 「塩味のぼたもち」の例
  • 『栃木市史 民俗編』1979、
  • 『大宮町史』茨城県那珂郡大宮町役場、1977、
  • 『日本の食生活全集 8 聞き書 茨城の食事』農文協 1985、
  • 『日本の食生活全集 18 聞き書 福井の食事』農文協、1987
※2 近年は、妊娠中に栄養の過剰摂取が戒められている。
例えば―西村正子(岐阜大学医学部看護学科)「妊婦の栄養摂取量と食生活の意識調査」 『母性衛生』第45巻2号、2004.7、p。253−259
 「妊娠中毒症予防のために塩分、水分を多く摂取してはいけない、また、妊娠中の肥満や妊娠糖尿病とならないために甘い物の摂取を少なくしなければいけない」

※3 産後三日目の食べ物として、「みつめのぼたもち」をあげている例
  • 『栃木市史 民俗編』1979
  • 『小山市史 民俗編』(栃木県)1978、1985再版、
  • 『山方町誌 下巻』茨城県那珂郡・山方町文化財保存研究会、1982
  • 『大宮町史』茨城県那珂郡大宮町役場、1977 
  • 『日本の食生活全集 8 聞き書 茨城の食事』農文協 1985
  • 『日本産育習俗資料集成』 第一法規出版、1975      埼玉県北足立郡白子村、千葉県香取郡>女性20人―聞き書き集―』2004      神奈川県厚木市戸室
  • 『日本の食生活全集 18 聞き書 福井の食事』農文協、1987
  • 『日本の食生活全集 44 聞き書 大分の食事』農文協、1992      大分県日田郡中津江村 「三つ目牡丹餅」http://www.ne.jp/asahi/anesaki/ichihara/tenji/kurasi/botamoti/botamoti.htm
※3-2白井千晶『地域社会における助産師の活動に関する調査 報告書』2011年8月
   「みつめのぼたもち」をあげている回答....茨城4、群馬1、千葉県9、東京7、神奈川3、新潟2。
※4 「ラテン日系留学生」」三つ目のぼた餅 [2009年10月26日(月)] 
       ※5  マザリーズ助産院
      ※食べ物の差し入れはご遠慮いただいています
(262) 三太ぼた餅(12)「みつめのぼたもち」四つ目

茨城県―西端の古河市(旧猿島郡三和町、そのもっと前は結城郡名崎村)で―


1946年、結城郡西豊田村(現・八千代町)から西の方の名崎村の非農家へ娘を嫁にやったS.M.さん。
娘のお産がちかづいて、婚家は非農家だからないだろうと、小豆ともち米を届けておいた。
これで「みつめのぼたもち」を作ってください、というつもりで。
産後三日目に見舞いに行ったら、「ぼたもち」はなかった。うちへ帰ったら家族に「あっちのうちのぼたもちは甘かったかい?」って聞かれて、返事に困った。
姑さんは、「みつめのぼたもち」の習わしを知らなかったんだ。


名崎村で育った88才の助産師T.A.さん―
うち辺りでは「みつめのぼたもち」は聞かなかったですねぇ。


古河市(旧三和町)で戦後に、自宅へ出張してお産を取り上げて歩いた87才の助産師T.H.さん―
「みつめのぼたもち」は、やるうちも、やらないうちもある。食べてくれって。部落まで配るうちもある。丸めてあんこをまぶすんじゃなくって、ご飯に餡を載せたぼたもち。
うちの集落で「みつめのぼたもち」を出されたのは、一軒だけ、八千代町の実家から作って持ってきた。


結城郡八千代町で―

71歳のオジサン―
産まれて三日目に、おはぎ。「みつめのぼたもち」だな。丸めない。重箱に、もち米とふつう米炊いたご飯に、あんこをのせて。
丸めないのは「ぼたメシ」。
「みつめのぼたもち」は、実家でも婚家でも作って、本家から実家から親戚にひく。


八千代町の87才の助産師S.K.さん、自宅でのお産に出張して行った頃―
三日目に沐浴に行くのは、楽しみだったな、今日は甘いもの食べられる、って。


八千代町(旧中結城村)で1986年、病院に入院してお産したT.M.さん―
うちから、母(=姑)が、「みつめのぼたもち」作って持ってきてくれました。


「みつめのぼたもち」をやるとこと、やらないとこ―
昔の結城郡の中で、昭和の大合併(1955年前後)のときに、猿島郡三和村になった西端の名崎村と、結城郡八千代村になった中結城村の間あたりが、境目なのかな。
間にゃ、山川沼排水路ってえ小さい川があるだけだ(※)。鬼怒川みていに大きな川じゃねい、おらでも飛び越せそうなくらい、ちっこい水路だ。

※合併前の旧地名・地図は → こちら
(261) 三太ぼた餅(11)「みつめのぼたもち」三つ目

千葉県から利根川を渡ると茨城県―

霞ヶ浦の真ん中にある行方市の元気なオネエサンに届いた層状の【みつめのぼたもち】、

迫力! 写真見てくれ→(※1)
龍ケ崎市でも、【三つ目のぼた餅】は層状らしい。(※2)

v 水戸を通り越して、ずーっと北へ行く、
常陸大宮市の元気なオネエサンのうちでも、孫が産まれた、って、【三つ目のぼた餅】を配 った。こっちは丸めたもんだ。
近所やきょうだいのうちに配るのに、80個!も用意したんだと。(※3)


ずっと西のほうの、結城市のワイワイねえさん―

お彼岸に、母が作ってくれたのは、大きく丸めて、あんこをまぶして。
よそのうちから貰ったのは、重箱に、ご飯敷いて、そのうえに平らにあんこ。だから、(取 出すのに)箸で十文字に切り分けてた。なんのときだったのか・・・お産に関係あったの かなぁ。



お産に関係あろうがなかろが、おら、口に入ればいい。
生体実験の影響から立ち直ったおかあ、そろそろぼた餅買ってくる頃だ。



※1「みつめのぼたもち」が届いたhttp://ameblo.jp/shokokai-namegata/entry-10494652718.html重箱から出すのに、箸で切り分けてますね。

※2 白井千晶『地域社会における助産師の活動に関する調査 報告書』2011年8月、p.307
「出産3日目頃に、あずきを使っておはぎや、おこわの上にあずきあんを乗せたもの等で、母乳が出る様、願いを込めてお祝いをする。現在でも実家で行われている様である。茨城県竜ケ崎地域。(昭和20年代生れ、大阪)」

※3「三つ目のぼた餅」