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(30) 三太韓国旅行? ホテル暮らし 

ヤッホー! ホテルにお泊りだ! うるせいおかあと離れて、食事付き個室だと。

花荻先生(※1)みていなネエチャンに、体重測定だ、予防注射だ、って、次々に体をいじくりまわされる。
今日もお泊りだと。

ネエチャンに、今日は、シャンプーしてもらった。
おかあ、おらを磨き上げて、池田さんち(※2)に婿入りさせよう、ってんだろうか?
お泊りも飽きてきた。ホテルっちゃあ聞こえはいいが、窮屈な独房だ。食事メニューはいつもいつもおんなじ。毎食違うおかあの三太メシが食いたくなってきた
。 そろそろお迎えが来てもよさそうなもんだ。

今日も、おかあはお迎えに来なかった。おとうも、池田さんも、誰ぁれも来なかった。
おら、忘れられちまったんだろうか?

おら、もう、傷ついた。
おかあなんか、シカトしてやる・・・
サタン気分でやけ食いしてると、先生「この子は何でもよく食べる」って褒めた。
犬の気も知らねいで! よく獣医が務まるもんだ。噛み付きたくなった。

「三太!」
おかあの声に、思わずシッポ振って飛びついちまった。
キムチの匂いがした。



※1『三太物語』の主人公(=元祖「道志川の三太」)の、小学校の担任の先生。((1) 三太自己紹介―茶色の犬  第206号 2005.9.18

※2 三太が、あのうちの子になりたい、と憧れているうち((7) 三太美意識 第212号 2005.11.4


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(29) 三太おまわりさん

「犬のおまわりさん」は迷子に優しい。おらが迷子なったときの警察の人も優しかった(※)。

5月3日のKITのおばさんたちがやった十条基地デモんときも、警備のおまわりさんは優しかった。


けど、4月30日、原宿のデモんときゃ、警察は、音楽を流すことを禁じて、DJを車からひきずりおろして逮捕したうえ、自宅まで家宅捜索した。殴られたり蹴られたり、あのキラキラ銀色のジュラルミンの盾で押し付けられた人もいる、痛かっただろうな。

申請条件を守ってるデモなのに、どうしてこんな乱暴するんだろう?

おんなじ「おまわりさん」でも、地域によって、種類が違うのかな。おらたち柴犬と、ドーベルマンや土佐犬みていに。


おかあ、「日本のおまわりさんは、みんなおんなじ日本人って種類だよ。十条のおまわりさんも、原宿の機動隊も、うちに帰ればフツーのお父さんさ。

三太だって、いい子だと思ってるとサタンになっておかあに噛み付くじゃないか。」



「おらあ三太だ!(12) 三太迷子札」 第218号 2005.12.21 



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(28) 三太テレビ出演

子沢山でゴロー先輩を仰天させた、アイフルのくぅ〜ちゃん、テレビからおろされちまった。(※)

アイフルが全店業務停止の行政処分を受けたあおり、だと。

ペット業界じゃあ、チワワ種の値段が暴落してるらしい。

「どうする? アイフル!」どころか、「どうする? ブリーダー?」だ。


修行中のおらにゃテレビ出演の予定は入ってねいが、ヒトってえのは、ほんとに勝手だ。



ゴローちゃんファンクラブ58「ゴローのお仕事 綴り方編」

※「くぅ〜ちゃんCM打ち切り アイフル行政処分で」『朝日新聞』2006.4.27



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(27) 三太食育

文部科学省が食育基本法って法律に基いて、「早寝・早起き・朝ごはん」の国民運動を始めるんだと(※1)。

文科省によると、”朝ごはんを食べないことがある小学生は15%、中学生は22%にもなる。”んだと。朝飯抜きだなんて、おらにゃ考えらんねい。

文科省は「家庭教育手帳」ってのを、99年以来4200万部も配ってるんだと(※2)。最新の「手帳」にゃ、早起きや朝ごはんを食べることも書いてある。朝ごはんを食べると、生活リズムが向上するばかりか、学力・体力が向上すんだと。

子どもの飯のしつけを親にしつけるなんて、お節介が好きなおかみだ。


おかあ、ゴロー先輩ってえ健康マネージャー(※3)に督励されて、11年間、「早寝早起き」励行してきた。朝ごはんは、元々抜いたらへばっちゃうたちだから、誰に言われなくっても食ってる。

ゴロー先輩は一日一食だった。ってえことは、24時間ごとのはずだが、毎日2-3時間ずれてって、朝起きぬけの頃もあったし、昼だったり、夕方だったり、夜寝る前だったりした。それでも、ゴロー先輩は一言も不満言わなかったそうだ。


おら、育ち盛りの大食漢だ(※4)。このうち来て以来、朝起きぬけに一食、夕方に一食の一日二食だ。ちょっとでも遅けりゃ厳しく催促する。

おかみにとやかく言われるまでもねい、「早寝・早起き・朝夕ごはん」実行中だ。

おらの体力・気力が向上してるのは確かだが、学力向上のほどはペーパーテスト受けてねいからわかんねい。



※1 「朝日新聞」 2006.4.9「社説」「食育 早寝早起き朝ごはん」

※2 「朝日新聞」 2006.4.9「あんてな」「生活リズムの国民運動 高橋庄太郎」

※3 「ゴローのお仕事  綴り方編」第148号 2004.6.17(「むらき数子の情報ふぁいる」「ゴローちゃんファンクラブ 58」)

※4 「おらあ三太だ!(4) 三太1キログラム」第209号 2005.10.13



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(26) 三太ミステリー

道端の白い小さいモンに突進、ゲット!
おかあ、「タバコなんか、やめなさい!」一瞬早くおら、噛み噛みしてる。
おかあ、「タバコは噛むもんじゃないでしょ」
世界にゃ、噛んで味わってるヒトもいる(※1)。おかあが知らねいだけだ。
おら、煙吸うなんてヘンなこたしねいで、飲み込む。
おらが去年11月に腹痛(はらいた)起こしたのは、タバコのせいだ、って、おかあ、おらがタバコに触るのを厳しく禁じている。
禁じられればよけいやりたくなるもんだ。

ところで、おかあ、おとうにはタバコを禁じてねい。どうしてだ?

最近、「インスリン殺人未遂事件」ってのがあった。
おかあ、インスリンで人を殺せるものか、って、糖尿病の本(※2)読み直してる。
その本にゃ、タバコは命取りにもなる危険なものだ、って書いてある。糖尿病だけじゃねい、肺がんの危険もある。
イランってえ国じゃ、タバコが王制の命取りになりかけたこともあったんだと(※3)
この国のお上は、タバコの危険から国民を守ろうと努力してきた。未成年に喫煙を禁じたり、配給の時代にゃ女性への割り当て本数を少なくしたり。高率課税したり、専売制しいたり、何とかしてタバコ離れさせようとしてきた(※4)
それでも喫煙やめねいヒトは、自己責任で、緩慢な自殺をしてるわけだ。
危険を知ってて止めねいのは、緩慢な人殺しじゃねいのか? 

おかあ、門のとこで、立ち話してる。相手は生命保険の外交員だと。
怪しい。



※1「たばこと塩の博物館」『たばこの歴史と文化』 

噛みたばこ
葉たばこを口の中でガムをのように噛む「噛みたばこ」は、世界中に広まることはありませんでした。しかし、アメリカ合衆国では、19世紀の半ばには、たばこ生産のほぼ半分を噛みたばこが占め、現在も一部で愛用されています。またインドなど、噛みたばこが広く普及している地域もあります。


※2 平尾紘一『安心して治す 糖尿病』池田書店、1995、p。79

   「◇タバコの影響
   糖尿病の合併症のひとつに血管障害があります。眼底出血や動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中などは、血管障害による病気です。 
   その血管障害を促進するのが喫煙です。タバコを吸うと、血管が収縮し、血行異常が起きます。
   タバコは、さまざまな病気の原因になるものであり、とりわけ糖尿病患者にとっては命取りにもなる危険なものです。ぜひやめましょう。」


※3『イスラーム世界がよくわかるQ&A100』

 タバコについて有名な事件として19世紀後半のタバコ・ボイコット運動があげられます。イランで国王がタバコの利権をイギリス人に譲ってしまったことに対して抗議運動が起こり、それを支持するナジャフ(今日のイラク領、シーア派の聖地)のアーヤトッラーがフクム(教令)を出してタンバークー(水煙管で吸う煙草)を当分の間禁じたものです。これが効を奏し、タバコの独占利権は撤回されました。この事件は近代に入ってのイスラームによる反帝国主義運動と位置づけられています。


※4「たばこと塩の博物館」『たばこの歴史と文化』 明治以降のたばこ文化:専売の時代(戦前)

明治時代以降、・・・政府は、明治9年(1876)、「煙草税則」で、営業税と商品個々の印紙税の徴収を実施しました。ついで同16年(1883)、21年(1888)の税則改正、同31年(1898)に「葉煙草専売法」を施行して、税収入の増大を図りました。そして明治37年(1904)「煙草専売法」により、原料葉たばこの買い上げから製造販売まで国の管理(製造専売)で行われることになりました。

以来、大蔵省専売局から日本専売公社へと引き継がれながら、昭和60年3月まで専売の時代は続きました。


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(25) 三太疑獄事件

公正取引委員会ってえところが、

「教科書業における特定の不公正な取引方法」の廃止についての意見募集(PDF) をしている、って。

“採択関係者への利益供与等によって教科書の採択がゆがめられるおそれは著しく減少 し”ているから、規制を緩めるんだと。


「つくる会」の人たちは、“積極的に評価すべき画期的な内容です。”って、公取委に支持激励の意見を送ろう、ってよびかけてる(※1)。

“「物品(教材や書籍なども含む)を贈ること」「研修会なども開ける」「教科書見本の配布制限も緩和」「教科書の採択を勧誘依頼するための金銭の提供」、「採択関係者等の刊行物などへの過大な広告代支払い」、「宴会への招待、接待」、「観劇、旅行、催し物などへの招待」も禁止項目から除外されます。”ってえ、大歓迎してる。

つまり、「つくる会」が5年前・1年前の採択に向けてやってきた違法行為が合法化されて大手を振ってやれる、ってわけだ。


おかあ、このニュース見て反射的に「教科書疑獄の再来か?」ってつぶやいた。

教科書採用をめぐる汚職事件をきっかけに、検定制度だった小学校教科書は一気に国定化された(※2)。明治35(1902)年、てえ、今から104年前のこった。

おかあ、「つくる会」や政府の人たちは、104年前の例にならって、疑獄事件を起こして国定化させようとしてるんじゃあないか? って、勘ぐってる。

「歴史は繰り返す」んだろうか?
おら、未熟者でわかんねい。

けど、ゴロー先輩、実はG(※3)だったら、日本国は、また、おんなじこと繰り返そうとしてる、って、眉をひそめるだろうな。



※1 「つくる会Web ニュース>平成18年3月24日」


※2 唐沢富太郎『近代日本教育史<新・教職教養シリーズ>』誠文堂新光社、1979第9版、p。131

  「このような教科書国定化への動きを現実化する導火線の役割を果たしたものは、明治三五年に起こった教科書疑獄事件である。この事件は出版書店や教科書審査委員を巻きこんだばかりでなく、知事、代議士、視学、師範学校長、中学校長、小学校長にまでも波及した。
 このような諸情勢の中で、結局政府は三六年に、「小学校の教科用図書は文部省に於て著作権を有するものたるべし」という小学校令の改正によって、教科書国定制度に踏み切ったのである。」

  参考:詳しくは唐沢富太郎『教科書の歴史』


※3 ゴローのお仕事 SF編「Gの手記」


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(24) 三太鎮魂譜

おかあが、戦争末期には犬も供出させられた、って書いた(※1)ら、八王子の人が、供出を促す当時のビラ(※2)を見せてくれた。「犬の皮を、特攻隊の戦闘帽に作ってた」と、話してくれた人は、「犬の皮は丈夫じゃないけど、特攻隊は一度使うだけだから」って、言ってたって。


つらい返事ももらった―



私は9歳で東京から学童疎開に行きましたが、あらゆるものを供出させられたあの頃の様子を思い出し、ぞっとしました。

子どものおもちゃも、でした。セルロイドは火薬になるということで、キューピーの人形も供出でした。まったく、何ということだったのか!と、あらためて思います。

私の家にいたセパード犬のゴロも供出させられました。ゴロは、親戚のおじさんが、オーバーの中に入れて連れてきてくれました。ほんの子犬の頃から、一緒に遊びました。ぐんぐん大きくなりましたが、いつもじゃれてとびついてくるので、私は、たおされそうになりました。抱きついたときのあたたかさや大きさ・・・今もおぼえています。

飼っていたネコのミーも空しゅうのとき別れたままでした。

以来、私は犬もネコも飼っていません。戦争は、人間だけでなく、すべての生きものにとってあってはならないものだと思います。

 ネコのミーとの別れを手づくり紙しばい「ミー、かえってきて」にして、小さい子どもたちに見てもらったりしています。
                   ―Y・瑞江さん(東京都)―



※ 1(9)三太マイホーム主義(第215号 2005.12.1)(12)三太迷子札(第218号 2005.12.21)

※ 2『八王子の空襲と戦災の記録<資料編>』編集八王子郷土資料館、発行八王子教育委員会、1985、口絵写真「犬の献納運動の隣組回報」
 

犬の献納運動の隣組回報





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(23) 三太多言語

「アメリカのバアチャン達のバレンタイン・デイ」―Grandmothers Against The War “Take Us Instead!" ―(※1) を読んだ猫のチビちゃんのオカーサンから―

室謙二さんの原文、言葉がひどいですね。
タイトルからして「戦争に反対するばばあ達」だなんて。

元の英語のどこにも、「ばばぁ」なんて書いてないじゃない。「おばあちゃん」よ。

つまり、「孫」に相対する存在として「おばあちゃん」。ばばぁの反対語はじじい。

さらに「代わりに私たちを連れていって!」と書いてあるだけ。
「戦争に反対するばばあ達、若人の代わりに我らばばあを戦争につれていけ」なんて、強調のし過ぎ。




おかあ曰く、“元の、Grandmother は、私や孫を持つ友人たちなら「バアチャン」と訳すところです。”
時々現れるおらのライバル「チッコイの」は、おかあのこと、「バアチャン」って呼ぶ。もう一人のことは「バアバ」だと。
おら、自分のバアチャンにもジイチャンにも、会った覚えねいけど、多くの言語が使われているインドネシアじゃあ、なんて呼ぶんだろう? ゴロー先輩と親しかった「ジャカルタさん」(※2)に聞いてみた。



「ジャカルタさん」からのレポート―

中国系のある若い夫婦は、母方の祖母をアマと呼んでいます。これは南中国あたりの方言で祖母の意味です。父方の祖母のことをオマと呼んでいる、オマはオランダ語です。

祖母のことを、マレー語ではネネ、中国語ではナイナイ(ナイは乳の意味です)或いはボボ(婆婆と書きます、一目瞭然ですね)、英語ではグランマ(偉大なる母の意味!)スマトラの北部のバッタク族はオブン・ボル、西部ジャワではニニ、中部ジャワではエヤン、東東部ジャワではウンバと呼びます。

文語・口語の区別や社会階層による区別はあまりないと思いますが、共通語としてのインドネシア語でネネム、つまり「あなたの祖母」は、なんと「そんな馬鹿な!」という意味になりますので、使わないように。




※1第226号 2006.2.17。訂正第227号 2006.2.24、
   http://www.jca.apc.org/beheiren/Muroken40Babaatachi-demo.htm

※2ジャガイモ談義(13〜15) 「ジャガタラのジャガイモ」(第105号 2003.9.7〜第108号 2003.9.24) 



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(22) 三太独り言

おらあ三太だ!

お見舞いメールたくさんもらったおかあ、少し元気なって出かけた。梅もようやく咲き始めたし。

行った先で出会った読者さんにも気遣ってもらって嬉しかったって。

けど、聞いたお話はすご〜く怖〜い話だったと。


2月に与党が出した「共謀罪修正案」って法案が成立すると、メール発信したときの「送信元、送信先、通信日時」てログってえのが、プロバイダから捜査機関に任意提出される、ってことになるかも。

ログって、紙の封筒の表書きとおんなじだろうとおかあ思ってたが、「詳細な配送経路情報など膨大なものになり、通信を行なった個人のパソコンを特定することも可能である」って、小倉利丸センセイは言う。

「堀江メール」にあったのは、与党の候補者と与党の有力議員の名前だった。警察は表向き動かなかったけど、これが、野党の議員の名前があったりしたら、どうだったろう?


おかあ、ときどき、テストのために、でたらめな内容のメールを自分宛に発信してる。

いわば独り言だ。が、これも、プロバイダってえ、他者が関わらなくちゃ不可能な行為、つまり「組織的」行為だってこって、「共謀」したとみなせる、って言うヒトもいるんだと。


独り言つぶやいても、「共謀」か? 憲法学のセンセイ、教えて欲しい。

「共謀罪」ってのは、思想・言論・表現・結社などの自由を侵害する、とんでもねい憲法違反だと、おら、思うんだが。



参考:盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会 




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(21) 三太おこもり

おかあ、ウツ。

昨日はあったかだったんで、穴掘りで紛らしてた。

今日は一転氷雨。ウツウツ。

おまけに腹痛(はらいた)が起こりそうだ、って、ベッドにこもる用意してる。

おらにも、早く寝ろ、ってうるせい

いい若いもんが、宵の口から寝てられっか!




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(20) 三太お仕事・その2

初夏みていなあったかい日で、チューリップがいっせいに出てきた。
おかあ、4週間、腹痛は再発してねい。お見舞いメールに感謝しつつ、また庭で穴掘り。
うちん中で針仕事してるより、外で穴掘りしてるほうが、腱鞘炎の右手にも気分にも楽でいいんだと。
おかあ、新聞見て、犬にもいろんな仕事があるもんだ、ってつぶやいてる。

去年6月には、「爆弾犬」(※1)。今年2月には「麻薬密輸犬」(※2)。犬の体に爆弾をつけたり、液体ヘロインの包みを埋め込んだり・・・ヒトってえのは、とんでもねいこと思いつくもんだ。
「麻薬探知犬」は、成田空港の東京税関で働いてるモデイ(雄8歳)とノーブル(雌3歳)(※3)。両君が、ほんとにその仕事を好きかどうかはわかんねい。
おら、イギリスの大先輩「ディド」(※4)を尊敬してる。チョコレート色のラブラドル・レトリバー「ディド」は、飼い主から「もっぱら頭脳労働を任とする知識犬」と呼ばれている。彼女は、ヒトのために猟の獲物を回収するという労働をする気がなく、したくない仕事は覚えようとしなかった。



※1『朝日新聞』2005.6.27「爆弾犬 イラク北部、警官けが   自爆攻撃も3件、25人が死亡」

※2『朝日新聞』2006.2.2「NYで麻薬密輸犬  ヘロイン埋めた組織摘発」

※3『朝日新聞』2005.12.27「麻薬探知の鼻 財務相に披露」 

  ※4 著者ディド、協力者チャップマン・ピンチャー、訳者中村凪子『犬のディドより人間の皆様へ』草思社、1994年




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(19) 三太医療事情

○愛情深さに自信のない飼い主さんから―

こんにちは
ウ〜ン、怪我したらやはり医者に連れて行くんですねぇ_(_^_)_
(犬の)交通事故は飼い主の責任。
喧嘩とか、ネコの交通事故、はどうなんだろう。
「事故責任」なんちゃって(-_-;)

クロちゃん




クロさんの写真、昨年の暮れの怪我(※1)の痕。1月半ば撮影だと。
「円形脱毛」は気の毒だけど、クロさんって、おかあが30年前に飼ってたパンダ猫の「さくら」(※2)にすごく良く似てるんだと。

犬猫の飼い主がみんな、「愛情深さに自信のない飼い主さん」のように、自然治癒主義だったら、獣医さんの口が干上がる。
昭和30年代の茨城の農村には、牛馬豚という大型の家畜がいっぱいいた(※3)。どこの農家にも豚が1-2頭いたし、小学校で開かれる畜産共進会は2万人も集まる大イベントだった(※4)。獣医さんは「牛の流感」や「豚コレラ」などの家畜伝染病に大わらわだった。
最近は乳牛も豚も少数の専業農家へ行かないと見られない。農村地域の獣医さんにとっても、犬猫は大事な患者だ。魚や鳥に専門特化してる獣医さんもいるんだと。


このところ、おかあ、元気ねい。
半月前の明け方、腹痛(はらいた)に襲われた。20年前の手術痕の癒着だと。それからも、小っちゃい盃一杯の日本酒に頭痛起こしたり、ウーロンハイで悪酔いして倒れたり・・・
おとうに、「アクセル踏みすぎないように」ってブレーキかけられて、シュンとしてる。

このうち来て半年、おらのせいで医者通いが多かった。おらに噛まれておかあが外科行ったり、おらの予防注射や腹痛で動物病院行ったり。

12月になってから医者に行かなかったのに、寒さが厳しいせいかな。

  アニマル・セラピストたるおらとしては、早寝早起き、あったかく着込んでの散歩を奨励している。



※1(14)三太家庭犬  第220号 2006.1.5

※2猫じゃらし「 紙芝居「実録・安兵衛物語」その1〜その8」 第195号 2005.6.27〜第202号 2005.8.13

※3 「離農者が大幅増加 農業センサス県分わかる」(『いはらき』1960(昭和35).12.30)によれば、10年前(1950年)に比べて、乳牛6倍、豚11万余で3倍、ニワトリ2倍半。馬と役用牛は農用機械の普及で減り、馬は10年間で半分に減った。

※4 「猿島地方畜産共進会」(『いはらき』1961(昭和36).2.22)。
2月16日から20日までの4日間、猿島郡猿島町沓掛小で開催され、のべ2万人が集まった。
 




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(17) 三太しばいヌ

○柴犬ハルちゃんのオカーサンから―

  我が家のハル・・・・交通事故にあいました。お父さんが、酔っ払ってリードを離してしまいました。道路を走ったハルはひき逃げされました。

痛みは1週間、全治1ヶ月という診断で大過ないことがわかりましたが、親戚の獣医は「痛みは3日、あとは芝居をするぞ!」と言ってい ました。その通り、4日で元気になり、2週間足らずで飛び回っていますが頭に擦り傷。かさぶたが取れましたが、毛が生えるまでは円形脱毛のようで、やっぱり可哀想!

交通事故は飼い主の責任。痛かったのは事実で、本当に可哀想なことをしました。

ところが、柴犬は賢いのでホントに芝居をします。元気で散歩に行ったあと、お父さんが帰宅したら、撫でも触りもしないうちに、事故にあったときのようなスゴイ悲鳴を上げるのです。家族みんながびっくり! ただの甘えでした。



交通事故! おかあ、ドキドキしながら、読み進んだ。
”大過ないことがわかりました。”まで読んで、ホッとした。v

おとう、ハルちゃんが芝居した、って読んで
「芝居するから、しばいヌ、か?」


おら、このごろ昼間は、クルマの荷物室にいる。後部ドアを開け放してあるから、地面より60センチ高い視界を楽しめる。
おら、自分じゃ、飛び乗れない、ってアピールしておかあに抱っこして載せてもらうんだ。降りたくなったときも、抱っこして降ろしても らう。
夕方4時過ぎた。腹減ったア、って催促鳴きした。
おとうが、出てきた。おらが、「降ろしてくれ」ってアピールしてるのに、おとう、知らん顔で「降りてきな」って、食器を地面に置いた 。
おら、思わず、クルマから飛び降りて食器に飛びついた。
おとう「ちゃんと、自分で降りた! しばいヌだ!」

おかあ、「笑う犬」って題のページを見つけた、って言ってる(※)。



亀井淳の「笑う犬」(マスコミ九条の会のホームページ)




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(17)三太寒中見舞

○大阪のオオさんからの年賀状(※1)、

新年 あけましておめでとうございます


イヌ年ゆえか
このワンちゃんたちと お正月を迎えております
少し寂しげに見えませぬか 独居壮年の飼い主が
急に入院越年されたため 医療費の心配 介護の不安
  年金は 大増税は なにより憲法改変の動きは と
国を憂えるのであります 人間さまも もうちょっと
仲良く 心あわせてがんばらなくっちゃなりません

 2006年 元旦



ご主人が入院しちゃって、ジョン君とハチさん、寂しい正月だと。

おかあが寒中見舞い出したら、

“一月近く寂しかったジョンとハチのもとへご主人が無事ご帰還、大喜びの彼らですが、ピンチ付添い人としては少し寂しくなりました。”

よかった、よかった。オオさんにはパートナーがいるんだし。



○猫派のSinceさんから− 

 この冬の寒さは厳しいですね。
三太くんも元気そうでなによりです。
わんちゃんは本当に寒いの好きなんですか?
うちのシェラは家中の暖かいところを捜して回り、移動しながら昼寝をむさぼってます。マッタク、80歳近いおじいちゃんなので寝てばかりです。
今はもうストーブも消しちゃったので、キーボードの上に上がろうとて隙をうかがってます。



○田舎のヒロイン1年生から―

こちらは、本当に寒いです。 今夜の予報は、最低気温−7℃…。
薪ストーブを焚いてるので、台所の布巾も凍らずにすんでますが。ご近所では風呂場の水道管が破裂してしまいました。
コーギー犬のモモは、農機具小屋の軒下に犬小屋を置いて、そこで寝ているので、ストーブの恩恵は受けていません。
犬小屋の中に、念のために毛布を敷いてあるのですがコーギーは寒さに強いらしいので本当はそれも必要ないのかも。




おら、寒くっても雪降っても、散歩は大好きだ。けど、雪の上に座る気にはなんねい。
モモさんはすごい。
おら、外の小屋じゃ寂しいし寒くって夜中に目が覚めちまう。玄関ホールのボックスのほうが安眠できる。
うちの近所の柴犬ナナちゃんは、座敷犬で、夜はオカーサンの布団の上で寝てるんだと。千葉のワンコさんは、オカーサンの布団の中にもぐりこんで「特大湯たんぽ」って呼ばれてる(※)。

うちのゴロー先輩は、毎晩おかあのベッドの上で寝てた。ゴロー先輩が載ってると、掛け布団がずれ落ちなくってよかったって、おかあ、言ってる。おら、ゴロー先輩は深夜労働しなかった、って思った(※3)けど、重石の仕事もしてたんだ。

おら、そのうち、おかあの部屋も縄張りにする予定だ。けど、ホリエモンみていに汚い手使うこたあねい。

スリッパかじらねいで「いい子」ぶってるだけで、次の冬にゃあ、きっと・・・



※1 オオさんからの年賀状
※2 『朝日新聞』2006.1.5「声 癒やし」「湯たんぽ犬でぬくぬくの夜」
※3  (3) 三太お仕事 (第208号 2005.10.5) 




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(16)三太生存権

い〜っぱいもらった年賀状のいくつか―



○ 雪国育ちの雪子さん―

大雪の新潟に帰っていました。私がこちらに戻ったあともっともっと大雪になっています。
いつも三太くんのことば(?)楽しく読んでいます。
うちには17歳のネコがいます。おじいさんです。



○ 「川口」さんから一言―

 三太ちゃんに会いたいナ〜 



○ 茨城の76歳のオバサン―

いやあ!! 三太君、美男子犬だね



親ばかおかあ、ニコニコして出かけた。有名な学者先生のお話聞くんだと。
帰ってきたおかあ、機嫌がよくねい。

「税金払ったんだから、年金も、健康保険も受ける権利がある」

って、学者先生が言ったんだと。働く者の歴史・無産階級の歴史を追求してきた学者先生が、言うことか、って。

税金払った見返りに権利が保証される、ってえ考えは、昔の憲法の頃の、制限選挙制とイッショだ。
おかあ、税金払えないヒトや犬は、どうなんだ、ってむくれてる。

この国にゃ、一生懸命働いてるのに収入を得られないヒトや、稼ぐどころか医療費介護費の支出に苦しんでるヒトもいる。女性にゃ、 一生、自分の名義で税金払ったことないヒトもいる。反対に、税金払ってるのに、選挙権ないヒトもいっぱいいる。



○ お医者のスミレ先生からのおたよりに―

隅田川の野宿者医療相談も5年経ちましたが、「健康で文化的な最低生活」さえ守られず棄民状態の人たちは、どんどん増えています。




現実に合わせて憲法を変えるんじゃあなくって、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法第25条※)の実現に努めるのが、国のやるべきことだろうが、って、おかあ、いきまいてる。
おらが病気なっても、健康保険きかねい。スミレ先生はヒト専門だし。


○ 豊島区のN姉さんから―

三太君は、なかなか立派な風ぼうですね。
戦争と人権は共存しない、犬権もない。



憲法が国民を縛る道具になるのを許せるか




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(15)三太 年賀状

年賀状、いっぱいもらった。
おかあは、憲法のこと書いてきた人が60人以上もある、って感動してる。次の号で紹 介したい、って言ってる。

おらへのメッセージもい〜っぱいあった。嬉しい。
そのうち、写真(※)の諸君を紹介しよう。
 



「(4) 三太1キログラム」に登場の太郎くん、マルチーズとポメラニアンのハー フ、15歳。
ボク宛の葉書に、
三太君の顔がボクの若い頃に似ているんだって。
って書いてくれた。ほんとに、似てるのかな???




「(12) 三太迷子札」で、お世話になったサクラ姉さん、15歳。
あんときゃ会わなかったけど、うちん中に、猫のみいちゃんもいたんだ。




憲法学でがんばってる先生んちの、ころちゃん、14歳。




「アワビの名付け親」さん(アワビのつぶやき9.いろいろ)ちの、たあちゃん、 プレーリードッグ5歳だ。
おら、まだ会ったことねいが、ドッグってえ名前だから、おらの仲間なんだろう。




Since さんちのシェラちゃん(ゴローちゃんファンクラブ25.「太陽政策」に相 次ぐ波紋!!)
Since さんちは、いつでも猫年だ。





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(14) 三太家庭犬

猫のクロさんとチビさんからメールもらった―


 おらたち、クロとチビだ!

 暮れが近づいて干支が話題になると、ベトナムみたいに猫年があったらいいね、と飼い主が声をかけてくれた。

 やさしい気遣い嬉しいなと思ったのに、縄張り争いで胸に怪我したクロをそのままにして、正月はスキーに行ってしまった。

 愛情深さに自信のない飼い主さんと言われているらしいけど、おらたち、当たっていると思う。


どこでも、ヒトとの関係に苦労してんだ。
夜、おとうが帰ってくる。
おら、玄関ホールのキャリイー・ボックスに入って寝てる。
おとう、「迎えにも出てこない」ってブツブツ文句言ってる。
次の晩、おとうが門をあける音でボックスから出て、ドアの前で待ち構えた。
おとうが開けたドアの隙間っから、おとうに飛びついて歓迎してやった。
「三太がしっぽ振ってる! 見て! 見て!」
おとうに呼び立てられて、おかあも飛び出してくる、ってえ大騒ぎだ。

このうち来て半年、おら、人前でしっぽ振ったことねい。
たまーに、ぬいぐるみなんか、狙ったおもちゃをゲットしたとき、思わずしっぽが動いちまう、おかあに目撃されると、きまりが悪くって困った。
人前でしっぽ振るなんて、はしたない、って思ってたからだ。
ヒトは、犬ってえのは、いっつでもしっぽ振るもんだ、って思ってる。
とくに「ちぎれるほど」振るのを見るのは、飼い主の喜びなんだと。
それが「期待される飼い犬像」ってもんらしい。
「期待される人間像」ってのは、ヒトを「家庭人」と「職業人」に二分して、高度経済成長期の日本人にしっかり性別役割分業を浸透させた、って、おかあ言ってる(※)。うちにいて帰宅した男の機嫌をとる、ってえのが、「家庭人」の仕事なんだと。労働力の再生産てえわけだ。
とすると、おらに期待されてる飼い犬像も、「家庭犬」ってえわけか。

理屈はどうでも、おとうとおかあが、あんなに喜ぶのを見るのは気分いい。
しっぽ振るくらいで、家庭平和が実現できるんなら、おら、しっぽ振ってやってもいい。



※ ジャガイモ談義(28) 赤毛のアン?少女たちの行方




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(13) 三太サンタクロース

出会うたんび、「サンちゃん!」って声かけてくれる女の先生、
「サンタくんって、サンタクロースのサンタですか?」
「『三太物語』の三太です」(※1)って答えたおかあ、念のため、『大辞泉』って辞書で「三太」って引いてみた。
   “犬が前足を上げ、後ろ足で立つ芸。ちんちん。”とか、“愚鈍な者をいう擬人名。三太郎。”に、「エーッ? そんなぁ」
「三太郎」と引いたら、
   “《「迷子の迷子の三太郎やあい」と呼んで捜したところから》迷子。”
おかあ、ガックリ、「わざわざ、迷子の名前つけてたんだ」
おとう「これがほんとの、三太(で)苦労す(=サンタ・クロース)、だネ。名前、変えるか?」

そこへ、横浜のIオバサンからメールが来た―


むらき 三太さま

初めて写真でお目にかかりました。
三太くんはとてもスマートでダンディなんですね。
誇り高いことは良く存じ上げていましたが。

新年をますますご活躍下さい。
期待しています。


メール読んだおかあ、とたんにニコニコ。親ばか。
ま、なんとか、元気回復、年越しだ。



※1 「おらあ三太だ!(1)  三太自己紹介―茶色の犬」





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(12) 三太迷子札

「愛情深さに自信のない飼い主」さんが、ジロー先輩のオカーサンが、迷子の犬サス ケ君を保護したときのこと、書いてる、って知らせてくれた。

“皆さん、迷子の犬を見つけた時は、まずは「保健所」ですよ!!” (※1)



おらが迷子なったのは、このうち来て10日目だった。
帰ってきたおかあ、鎖だけあっておらが居ない、って頭マッシロなった。
近所を2時間もウロウロ探し回ってから、ようやっとおとうに電話した。
おとうが、「警察、電話してみたら」って言ったんで、おかあ、初めて警察に電話す る、って思いついたんだ。
どうせ無駄だろう、って思いながら電話かけたら、警察の女の人が、
「柴犬を保護しているという連絡が入っています」
教えてくれた電話番号にかけたら、そこのオトーサンが
「赤いタスキしてる犬です」
「それです! うちの犬です!」

出かけるおかあを追いかけようとひっぱったら、首根っこのとこの鎖がはずれた。
おら、急いで、走ったが、見つかんねい。気がついたら、まだ来たことない通りにい た。おら、とっても心細くなった。
角のうちに、レトリバー系のサクラ姉さんの姿が見えたんで、入って行った。
サクラ姉さんは優しかった。オトーサンと一緒に、おらを連れて、柴犬を飼ってるう ちを何軒も訪ねて一時間以上も廻ってくれた。けど、どっこも、「うちの犬はいます よ」
オトーサンはおらを連れ帰って玄関で休ませてくれた、食事もさせてくれた。
オカーサンは警察に電話してくれた、前に、猫の迷子を警察が教えてくれたことが あったからって。

犬の迷子は、警察と保健所、だ、って、おかあ、肝に銘じた。
おかあってヒトは危機管理能力ゼロだ、って、おら、肝に銘じた。

八幡山のオジサン(※2)は「登録して鑑札つけてあれば、迷子になっても、わかり ますから」って言ってた。
おら、まだ登録してなくって、鑑札もつけてなかった。
60年前、登録されてた先輩たちは、「供出」だの「献納」だのされて、飛行帽にされ ちまった。かろうじて犬狩りをのがれたのは、未登録の先輩だった(※3)。
いっつの世も、登録、ってえのは、功罪両面あるんだ。



※1 「続続・コマちゃん はサスケ君!!」

※2 東京都動物愛護相談センター「収容動物情報」

※3 「犬を連れて」暮しの手帖編集部『戦争中の暮しの記録 保存版』暮しの手帖社、1980、p.80

“年も明けた二月の始め、犬は全部供出せよということになった。東京では「なるた け」という条例も、末端の役場までくると、このように強制的になるのか。殺して毛 皮を飛行帽につけるのだという。

  この地方でも、めずらしい大雪の中を、町の猟師たちが、登録してある家々をま わって、泣いて命乞いをする飼主の眼の前で射ち殺した話。用事から帰ってきた奥さ んが、自分の家の犬が四つ足をしばられ、鉄砲の先に血だらけになってぶらさげられ てくるのに出会い、肝をつぶして、せめてその死体を返してくれるように頼んだら 「そんなにほすくば、肉をやっからこう」といったという話。夜は猟師たちがその肉 で酒盛をしているという話。“





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(11) 三太歳末分かち合い

猫のウメちゃんのオカーサンから

三太の写真(※1)見ました。いたずら坊主みたいで可愛いいですね。
ゴロー君との性格の違いが面白い。
あーこれって孫を評価している気分ですよね。
今育てている人は大変なのに少し引いてるから良いところが見えるのよね。



おかあ、小屋の脇の花壇を見て
「ありゃー」
こないだ、おかあが植えたアジサイの苗を、おらが掘りあげといたからだ。
おかあの楽しみは、穴掘りと植えること。おらも穴掘りの楽しみを味わって、おかあにゃおんなじ苗でもう一度植える楽しみを味わわせてやる。
楽しみは分かち合うべきだ。
独り占めはよくない(※2)、っておかあの持論を、おら支持する。

おかあが植え直した苗を、次の日、おら、もう一度掘りあげた。
おかあ「おお・・・」
苗一本で三度も楽しめる、って大喜びだ。
グリコは、「一粒で二度おいしい」、都教委は「不起立1回に3度の弾圧」(※3)。
おかあ、こんだ、おらの手が届かねい遠くに植えた。
おらにゃ「一本で二度掘りあげる」しかやらせてくんねいで、自分だけ「一本で三度植える」楽しみ味わってる。
ずるい! 



※1 三太の写真、2枚一挙に初公開!「おらあ三太だ!」でご覧下さい。
※2 「ゴローちゃんファンクラブ」「9ゴローの食生活」
※3 澤藤統一郎の憲法日記:12月1日付け■不起立1回に3度めの弾圧■
http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/sawafuji/index.cgi?no=40

・・・グリコは、「一粒で二度おいしい」と言った。「日の丸・君が代」強制は、不起立で弾圧1度目。再発防止研修の嫌がらせが2度目。そして、抗議行動への懲戒が3度目。1不起立に3度の弾圧である。・・





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(10) 三太住宅事情

柴犬ハルちゃんのオカーサンから―

留守の多い我が家ゆえ、昼間は外に出しました。そしてジュニアのために買ったのに、ジュニアは嫌いで入らなかった大きな犬小屋にも入ってノンビリしています。

それは一瞬のこと。今ではすっかり座敷犬になっています。ヤッパリ親ばかですね。カラスに突付かれるのではないか?なんて、可哀相で・・・

心配で玄関近くのfax台に紐でつないで出かけますが、一人(?)で留守番は「ツマンナーイ!」ようですね、紐の伸びる範囲で悪戯の数々。

夜は、ソファーの上でエラソーに寝ています。

家内にいれば「居住移転の自由」を満喫しているようです。

でも、自由な外出は無理ですね。まだ自動車の危険を理解してないし、知らない人についていってしまうし、交通事故や誘拐が・・・



ハルちゃんも小屋はお下がりなんだ。
おらの小屋も、元はパピー姉御のうちだった。ゴロー先輩は姉御に遠慮して足を踏み入れなかったそうだ。
おら、むらき家に来たとき、屋内にサークルだのトイレだの用意してあったけど、暑っつい頃だったし、お外がいい、って騒いだ。おかあ、閉口して、庭に設置したままゴロー先輩が使わなかった小屋をおらにくれた。
11月下旬になってからは、寒くなった、って、夜は玄関ホールで過ごしてる。これもパピー姉御と同んなじに、バスケット用意してくれてるんで、眠いときはバスケットに入って丸くなる。退屈すると、バスケットの敷布を引っ張り出したり、バスケットひっくり返したり、齧ったり、狼藉働いてる。

日本国憲法にゃ、「居住、移転の自由」(※1‐1)が明記されてる。永田町のポチでも、おんなじこと(※1‐2)言ってる、ただ、?の「何人も」を「2 すべて国民は」に狭めた、ってえのはおらたち犬も国境を越えて移動してる時代にふさわしくねい。
前の憲法の頃にゃ、戸主ってえ人に居所指定権があったんで、夫に戦死された嫁さんは舅の言うところに居づらくても住んでねいと、離縁されちまって、遺族扶助料を受取れなくされちまったんだと(※2)。

おかあ、小屋だのバスケットだの、用意してはくれるが、門の外へは自由に行かせてくれねい。池田さんちに住み替えるのも許してくれねい。
電柱にゃ、「犬のひとり歩きはいけません」って張り紙がある。おらも「迷子だ」って、警察に通報されて「保護」されたことがある。住所不定で「野良犬」ってよばれると、生命の保証がねい。
つまり、おらの居住・移転の自由は大きく制約されてる。これって、裁判所が言う「受忍の範囲内」なんだろうか。

三太、小屋前でお座りおすまし

※1‐1 日本国憲法第二十二条
? 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
? 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

※1‐2 自民党新憲法草案 第二十二条(居住、移転及び職業選択等の自由等)
1 何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 すべて国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

※2 参考:川口恵美子『戦争未亡人―被害と加害のはざまで』ドメス出版、2003.4、P.42「遺族扶助料」 




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(9) 三太マイホーム主義

いつでもゴロー先輩の味方だったTオジサンから、メールをもらった。

 11月25日の「特報首都圏」、偶然仕事先で見てました、何を感じたかって? 
   大木晴子さんというひとを見ながら、むらき数子を思い浮かべていたということ。



テレビじゃあ、柴犬ジロー先輩は、プラカードの写真だけしか登場しなかった、残念。
その分、オカーサンの大木晴子さんの人となり(※1)がていねいに写されてた。

おらんちのおかあ、ジロー先輩のオカーサンほどたいしたもんじゃねい。
おらの世話と庭の土いじりとが生き甲斐だ、ってえ、おばさんだ。
今日も、穴掘って、アジサイとチューリップの球根植えてた。おらに手伝わせてくれないで、一人占めして楽しんでる。
おかあ、おんなじ掘るのでも、防空壕なんか掘るのは真っ平だ、って言ってる。
おらも、「お国のために」毛皮にされる(※2)のなんて、真っ平だ。

三太、花水木にぐるぐる巻き

※1 「明日も晴れ―大木晴子のページ」http://www.seiko-jiro.net/

※2 1944年末、特攻出撃・空襲の日常化という敗色濃厚な中、国は毛皮を取るために犬を献納あるいは供出させた。

供出犬の慰霊供養を報じる『毎日新聞戦時版』(※2-2)は、同じ紙面に「猫の徴用」という連載小説を載せている。

 「猫の徴用」(伊馬鵜平、絵・佐倉愛土)の連載は、第1回1月7日〜第9回(終)1月16日。女子挺身隊員・矢須子の家の猫ミイ助は、隣家の魚をこそ泥する。“非国民”として死刑になるところを、助命されて矢須子の勤務する工場の寮に“徴用”されて、鼠退治に活躍し、ご褒美に防空頭巾をもらうというお話。

※ 2-1 『朝日新聞』1944(昭和19)年12月17日
「畜犬の”献納運動” 各地で買上げも行ふ

軍需毛皮の増産確保、狂犬病の根絶空襲時の危害除去をはかるため全国的に野犬の掃討、畜犬の供出の徹底を期することになり、軍需省化学局長、厚生省衛生局長の連名で各地方長官あて十五日附通牒を発した、軍用犬、警察犬、天然記念物の指定をうけたものおよび猟犬(登録したものに限る)を除く一切の畜犬はあげて献納もしくは供出させることとし、二十日から明年三月末日までに畜犬献納運動を断続的に実施させる

 献納、供出についてはあらかじめ町会、隣組常会を通じて趣旨の徹底を図り、日時と場所を指定して献納の受入、供出の買上げを行ふが、買上価格は一頭につき大が三円、小は一円見当とする、なほ軍用犬、猟犬、警察犬などは一斉検診を行って狂犬病予防注射を行ひ、狂犬病の疑あるものは強制的に供出させる畜犬繋留期間中(各都府県で公示)放置してある犬はすべて野犬とみなして捕獲されるから注意が肝要―」

※2-2 『毎日新聞戦時版』1945(昭和20)年1月10日

「ふるさと 供出犬の慰霊供養

 神奈川県 決戦兵器として出陣した畜犬の霊を慰めようと大岡署管区大岡、井土ヶ谷、桜丘、日野、永谷各連合町内会では弘明寺観音堂に供養塔を建立し、十日午後二時供出畜犬慰霊法要を執行する、これが畜犬供出運動開始以来県で初めての慰霊法要である」





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(8) 三太平和主義

すっかり、三太ファンになった池田さんから―

 隣の家は大の猫好き、しかも野良ちゃんで三毛、ぶち?白と色々いる。
隣の人は夜中に猫の餌をやっている。
最近の事、いつものように夜中に餌をやっていたら、突然、狸が現れたそうな。聞くところによると、その狸は某区議の庭に住んでいたとか。最近は、近所に越してきたらしい。
 ああそういえば、この頃隣の猫ちゃんが増えた。
もしかすると、狸が餌にありつこうと昼間は猫に化けてるのか? 狸も棲家を追われ、必死だ。思わず、尻尾を見せてしまったのかも?
 それにしても、人間は勝手だよね。環境問題とかもったいない、とか言っているけれど。



おらんちにもいろんな猫がくる。黒虎、純正パンダ、縞パンダ、茶虎のロング、茶虎のショート、白三毛・・・池で水飲んで、おかあが積んだ腐葉土の山で用も足してく。
おとう「猫が来てもキャンとも言わない、それでも犬か?」
おかあ「三太は、まだ猫とのつきあい方知らないんだと思う」
おらの小屋の位置は、猫たちが水飲んでからお隣の庭へ行く最短径路だ。今ではおらがいるから、猫の子一匹通らない、みんな迂回して行く。
おら、ポチみていに、わざわざ縄張りの外まで「自衛」に、しかも手下を行かせる、なんて、へんなことはしない。
おらがいる、だけで、猫が来ない、それが「自衛隊」の存在意義だ、って元自衛官のオジサンも言ってた。
おら、憲法九条っていいと思う。

大木さんちの柴犬ジロー先輩が、テレビ(※)に出るんだと!!



※25日(金曜日)NHK総合午後7時30分から放送される「特報首都圏」「西口地下広場から反戦意思表示!」 http://www.seiko-jiro.net/





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(7) 三太美意識

池田理代子さんならぬ池田等子さんから―

三太くん、音大志望なんですね。
実は私もそうなんです。ちょっと年くってるし、理代子さんみたいにレッスンに投資できないし、実現への道は険しいですが。
お会いして励ましあいたいですね。



おら、池田さんちの子になりてい。

散歩してると、いろんなもんが目に入る。
電話ボックスのそばに、ペットボトルが転がってる。500mlのお茶の空き瓶だ、ゲット! 咥えて投げる、カラカラッっていい音たてて転がる、アメフトのボールみていに、予想のつかない方角に転がる、おら夢中で追いかける。
ボトルを咥えちゃあ転がして遊びながら来ると、中学の門の近くに赤いもんが落ちてる。小学生の赤と白の野球帽だ。
おら、ボトルを置いて帽子を咥えた、すぐ、帽子を離してボトルを咥えた。
でも、帽子も捨てがたい、ボトルと帽子両方咥えられないか、ためした。
通りかかったオバサンが、「どっちにしようか、迷ってるのね」って、笑った。
大いに迷ったあげく、ボトルは珍しくないんで、帽子を持ち帰ることに決めた。
キャップを咥えるのがいいか、ツバを咥えたほうがいいか、ためしながら、赤と白の帽子を運んでる、おら、赤いタスキ(=胴輪)とのコーデイネートちゃんと考えてんだ。

ヒトは、犬が散歩中に落し物する、って非難する。おらに言わせりゃ、片付けない付き添い人が悪い。
ボトルだのタバコの吸殻だの、菓子の袋だの、とにかくヒトってえのはいろいろ落として行っちまう。
60年来の言い方だと「公共の福祉に反する」(※1)ってんだろうが、最近の永田町のポチの言い方だと、「公益および公の秩序に反する」(※2)てのに当たると思う。
裁判所はポチが何やっても罰することはないが、おらの美意識が許せない。

おら、散歩しながら、道路美化に努めてるんだ。
おらのコレクションの整理は、おかあの仕事だ。



※1 「日本国憲法」第三章 国民の権利及び義務 第12条、第13条
※2 10月28日に発表された「自民党新憲法草案」の第三章 国民の権利及び義務 第12条、第13条  





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(6) 三太学習権


仕事はしてるが、まだ、勉学中の身だ。
散歩圏内には、保育園幼稚園から小中学校、高校・大学まで揃ってる。
「犬のようちえん」ってとこは、おら年齢オーバーだ、って断られた。
暑っつい日、学童保育所でプールやってた。流れ出た水が道路ぎわに溜ってる。おらもチャプチャプ、チャプチャプ長いこと遊んで涼んだ。
小学校で男の子たちがサッカーやってる、一緒に走りたくってうずうずする。ボールを両手(ヒトだと反則だけど、おらの両手は「前足」だからオーケーだ)で止めてキープした。
中学校のコートでテニスやってる、こぼれ球を拾ってやった。バスケもいい。
中学校の校門が開いてるんで、入ろうって、おかあをひっぱったが、入学させてくんねい。「元祖・道志川の三太」が永遠の小学生だから、か?


おら、今は体育会系だが、大学は芸術系へ行くつもりだ。近所の大学は有名な音楽大学だ。
おら、声楽科志望だ。
救急車の「ピーポ」にハモッてみた。
「不要電化製品、引取ります」ってえトラックのアナウンスに合唱したら、おかあ「遠吠えしてる」って言う。
散歩中、発声練習すると、おとうは「ガフ、ガフ、ってまるで豚だ」って言う。
夜中に自主トレに励めば、「夜鳴きしてうるさい」って言う。
おとうは、おらにトレーナーってえ家庭教師つけよう、って言ったんだが、おかあは「自分で教育します」って突っ張ってる。
緑色の鳥が1羽、電線に止まって、一声鳴いた。「ワカケホンセイインコ」だって、おかあ騒いでる。あんな声がいいのか?

おかあのセンスで教育されるんじゃあ、声楽家としての将来は望み薄だ。





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(5) 三太ジェンダーフリー

「豊島さん=ハルちゃんのオカーサン」から―

4月に迎えたメスの柴犬、ハル(※1)は元気に順調に育っています。たしかに柴犬は気性がキツイですね。

歯の生え変わりのときは、柱が傷つき、古くなってチョットはげ始めた壁紙は破れ、玄関に置いた靴やサンダルはボロボロ・・・もう8ヶ月になったのですっかり歯が生え変わり、「咬む」ということはなくなり、玄関に靴を置いておくことが出来るようになりました。子育ても終わり、甘えてくれるハルは可愛い!です。

オスと雌の違いかなあ? 手がかかりませんよ!

あまり反抗しないので、自分の息子の子育てより楽です(笑)



道の向こうから来る白い犬に「クゥクゥ」って呼びかけた。ゴロー先輩とおんなじ位の大きさだ、おかあ、呆れて言う、
「三太、間違ってるよ、あの犬、オスだよ」
草地へ来た、おら、ちょいとしゃがんでオシッコした。見て、おかあ、ショック受けてる。

犬は同性には恋鳴きしないし、オス犬はオシッコのときには後ろ足をあげて三本足でやるもんだ、って、おかあ、ゴロー先輩・パピー姉御との経験から強固に思い込んできた。昭和三十年代の民俗学の調査報告には、四本目の足は弘法大師さんがくれたんでありがたいからオシッコんときはあげてるんだ、って書いてあった(※2)と。

おら、れっきとしたオス犬だ。おら、オシッコは三本足でもやるし、パピー姉御とおんなじしゃがみスタイルでもやる。

オスだから、メスだから、って、それって、ジェンダーって偏見じゃねいのか?


おかあ、「性別にとらわれないで生きられる社会が理想だ」なんて、言ってるけど、ほんとはジェンダーに骨がらみだ。

ポチは「○○○トウをぶっこわす」って言って、永田町を乗っ取った。

おら、おかあの常識をぶっこわして、「情報ファイル」を乗っ取る。



※1 「猫じゃらし第1回 子犬がきました」『むらき数子情報ファイル』第190号 2005.5.23

※2小林梅次「牧野民俗誌―神奈川県藤野町―」『昔風と当世風』第89号、2005.10、古々路の会、p.22

   犬はもと三本足であったが、それではどうも不自由だというので、弘法大師に足を一本もらった。その足はありがたいから小便する時はあげてする(伏馬田)。





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(4) 三太1キログラム

太郎のカッカさんから―

三太くんはわんぱくで元気なタイプなのでしょうね。
それにしても、すごい運動量ですね。
大変だー

うちの太郎、マルチーズとポメラニアンのハーフです。年齢は15歳。
7月に倒れて病院へ行ったときの体重は2.7?、奇跡的に元気回復して、昨夕、病院へ行って体重測定したら、3.8?、この体重の1?ですから大変なことです。
医者に、これ以上は足に負担が掛かるから、減量するように言われました。
太郎も大変なワンちゃんでした。今でこそ耳も遠くなり、ほとんど寝てすごしていますが。



太郎クンの体格で1?の増減、ってものすごいことですよね? 37%も増えたんだー

おかあがおらを選んだ理由の一つは、おらが8kgと、小柄軽量だからだ。腱鞘炎と加齢を考えると、1キロでも軽く、って。牛乳パック1個分だ。
断固太らせない、っておかあは、体重がゴロー先輩の半分だから食事もゴロー先輩の半量って決めた。


足んねい、腹減って、腹減って・・・体重が1?減ってきた。12%減だ。目が回る、イライラする、おかあの手にあるもんすべてが食い物に見える、おかあが近づくたんび噛み付いた。
おかあ、もう、やってけない、と追いつめられて、獣医先生に相談したら、
「ためしに餌を増やしてみたら」
ようやっと、おかあ、飯増やしてくれた。2、3日で、イライラがおさまってきた。
おとう曰く、
「表情がおだやかになってきた。『食足って礼節を知る』、だね」
おかあ曰く、
「とにかくよく食う、底なし」

今じゃゴロー先輩と同量食って、二倍働いて、半分の体重8キロを維持してる。





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(3) 三太のお仕事

☆ゴロー・ファン・クラブ茨城理事長から―

サタンかも?と言う気持ち、良ーくわかります。
我が家で飼っている元野良猫も、客間は出入り禁止にして障子を締め切っているのですが、ある晩バリバリと音がしたので見ると、障子を破ってそこから出入りしておりました。

今は出入り自由になっております。夏布団におしっこされ、ソファーに水たまりを作り・・・(T_T)



国勢調査があった。「仕事」って欄になんて書くか、おかあ悩んでた。

最近の新聞によれば、ニュージーランドで有権者登録証を貰った犬「トビー・ローズ」の職業は「ネズミ駆除業」(※1)、佐賀・唐津の海沿いではかつて野良犬の仕事は野生動物から作物を守る「村の用心棒」(※2)だったそうな。

むらき家のゴロー先輩のお仕事は、「オカーサンの健康マネージャー」だった。

おらのお仕事? 毎日トラブル起こしては、おかあとおとうのボケ防止に努めてる、「アニマルセラピスト」だ。収入をともなわないから、国勢調査では「仕事」じゃなくて、「家事」か「その他」ということにされちまうが。

ゴロー先輩との散歩は一日2回、距離にして合計2−3km、その1回は買物を兼ねてた。スーパーの駐車場の、金網に囲まれたコーナーに入れてもらって、ゴロー先輩はおかあが買物してる間静かに待ってた。整理係のオジサンもゴロー・ファンだった。

おらが駐車場デビューしたとき、オジサンはニコニコして「三太、かい? おいで」と、ゴロー先輩の後継者として認めてくれた。

おかあが、スーパーから出てきたとき、よそのネエチャンがコーナーの内側に入って来ておらの頭を撫で撫でしてた。おかあ、真っ青なって叫んだ。

「この犬、まだ慣れてないから、噛み付くんです!」

おらが可愛いのは、おらのせいじゃねい。誰でもおらを撫でたがる。おらがガブッとやったら、おかあのせいってことになるんだと。

以後、おかあはおらを連れずに、買物に行く。

おらが一日におかあに歩かせる距離は、ゴロー先輩の倍以上。

ゴロー先輩は、おかあを寝かせつけると朝まで自分も眠ってた、深夜労働はしなかった。

おらは、丑三つ時だろうと明け方だろうと、おかあをたたき起こして歩かせる。深夜労働も厭わずにおかあの足腰鍛えてやってんのに、おかあは「膝が壊れるゥ、強制労働だ」って呻いてる。

おかあは「強制された」って言うが、おら、「強制します」なんて言ったことない。おかあの言葉づかいは間違ってる。

「日の丸・君が代を強制します」って言ったことない都教委の人たちは、おらのリクツに同感するはずだ。



※1『朝日新聞』2005.9.26「ウチの犬に選挙権?  いたずら申請 通ってビックリ  NZ紙報道 選管、見抜けず登録証」

※2『朝日新聞』2005.9.26「山下惣一の 佐賀・唐津の田んぼから その1」




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(2)三太・サンタ・サタン


☆ゴロー・ファン・クラブ茨城理事長から―

ワンちゃん飼ったのですね。

三太君ですか。可愛い名前ですね。3匹目の天使ですものね。
今はアニマルセラピーとか言って、ペットが病人やお年よりの回復に役立っているとか。
病人じゃなくても、我が家のような倦怠期の夫婦には多いに役立っています。
うちでは娘が子猫を拾ってきてしまい、結局、わたしが世話をしています。
でも、この子猫がいるお蔭で夫婦に話題があります。

犬のノビタは可愛いヤツですが、外犬なので、夜などは別居ですしね。
昼間はファーマーである夫のお供をしていますが。





理事長からのメールに「3匹目の天使ですものね。」ってあった、って聞いたおとうは
「ウフッ」
とだけ応えた。
おかあも
「ウフッ、だね。天使、ねえ」

おかあはこの頃、おらに「サンタ」って名前付けたけど、ほんとは「サタン」じゃないか、って疑ってんだ。
おら、どこへ行っても「可愛い!」「可愛い!」って声がかかる。
うちへ帰ると、気分次第でおかあに噛みつく。この頃は夜鳴きするもんで、おとうもおかあも寝不足と近所への気兼ねでへとへとだ。

おかあ、永田町のポチは、どうしてあんなに遠隔地飼い主に対して従順なんだろう、って不思議がってる。
ポチは、近所には昔の傷を思い出させて嫌われてるが、飼い主には自分の縄張りから獲物くわえ出してまで貢いでる。
ポチも、たまにはおらみていに反抗して存在感示したほうが、外交上手なんじゃないか、っておらも思う。

おかあが相談したら、獣医先生は
「薬漬けにすれば、おとなしくはできます」
ポチ、すっごく美味い餌貰ってんだろな、薬入りの。





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(1)三太自己紹介―茶色の犬


おらあ三太(さんた)だ! 縁あって、むらき家に来た柴犬だ。

このうちへ来て3ヵ月、いろいろあったが、先週、ようやくおかあが市役所で登録して鑑札もらってきた。名実ともにこのうちの子になったんで、「情報ファイル」にデビューさせることにしたんだそうだ。


おらの名前は「三太」。

丸大ハムの「腕白でもいい、たくましく育って欲しい」の腕白坊主。青木茂先生が書いた『三太物語』(※1)の主人公(=元祖「道志川の三太」)にあやかった名前をつけられたんで、おらの言葉遣いも50年前の相模の山村のもんだ。

おら、実は、すっごく格調高い本名がある。けど、おかあは通名の「三太」を使うんだと。紫式部みていに、本名は明かさないんだと。

このうちは、おとうもおかあも、小難しいことひねくりまわす、頭でっかちだ。
9月11日の衆議院選挙の結果みて言った、
「茶色の犬、飼っちゃったんだから、はらくくらなくっちゃ」
おらのコートは茶色だ、それが、選挙と何の関係あんだ?
『茶色の朝』(※2)って本に、茶色の猫飼ったことのある人は逮捕される、って書いてあんだと。
おら、猫じゃねい、ってのに。



※1 『三太物語』偕成社文庫の表紙裏に「相模湖に近い山あいの小村を舞台に,腕白でたくましくて飾り気の無い少年三太が巻き起こす愉快な騒動の数々,日本版『トムソーヤの冒険』といわれる痛快悪童物語」とあります。
藤田圭雄の解説中に「三太は『聖(サンタ)』である。」ともあります。
「三太物語」をホームページ「三太物語(おらあ三太だ)」で紹介している、高橋孝三郎さんは、”腕白坊主のほうが、悪童よりも三太のイメージに近いと思う。”と言っています。

※2 『茶色の朝』フランク・パヴロフ物語 ヴィンセント・ギャロ絵 高橋哲哉メッセージ 藤本一勇訳、大月書店、2003.12




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