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(537)アルフレッド アルフレッド 激動の一年…2019/12/14
(538)アルフレッド・猫との人生4…2019/12/27
(539)アルフレッド 猫との人生5…2019/12/27
(540)アルフレッド 猫との人生5…2020/1/10
(542)アルフレッド・ねずみは福の神…2020/1/25
(543)アルフレッド・猫との人生7…2020/2/16
(544)アルフレッド・「サンタは、いるの?」…2020/2/16
(545)アルフレッド・猫との人生8…2020/2/22
(546)アルフレッド・猫との人生9 …2020/3/7
(547)アルフレッド・猫との人生10 …2020/3/23
(548)アルフレッド・猫との人生11 …2020/4/2
(549)アルフレッド・布マスク …2020/4/7
(550)アルフレッド・社会的距離  …2020/4/21

  
(560)アルフレッド・「新しい日常―その2」

多摩おばさん
 お疲れの時、ちょっと心の安らぎほしい時、開いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=N8oZCpvGKLM
https://www.youtube.com/watch?v=2r_lvTjT1EE


アルフレッド―
女将さんが、近所の図書館が使えないって、へたりこんでる(※1)から、心配してくれたんですね、いいお友だちがいて幸せですね。
で、女将さん、普段使ってないお盆やグラス出して・・・パーテイーやる気になったんですか?
パーテイーなら、飲み物をもっと用意しておいたほうがいいんじゃないですか?

女将(=おかあ=ヤギ生徒)―
う〜ん、パーテイーっていうのかな。
私は招待されたんだけど、「ZOOM飲み会」だから、自分の分だけ用意するようにって。

定刻、うちのテレビ画面に向かって座ったおかあ、緊張して入室する。
なんたって、7年前のドイツ研修旅行以来の先生たちの集まりだ。(※2、写真)
おかあは、教員8人に1人だけ紛れ込んだ落ちこぼれ、「ヤギ生徒」だ。
職員室に入る時は、いつだって緊張する。

先生たち、コロナで外国旅行はおろか、国内旅行も、お店での会食もできないからって、いまふうに「ZOOM飲み会」やることにした。
オンライン授業を始めて日が浅いんで、先生たちも、入室にもたつく。
育ジー先生の声は聞こえるのに、なかなか姿が見えない。
何人かが迎えに行ったりしているうちに、居る人だけまず最初の乾杯。
例によって、かんかんがくがくの検討会が始まる。(※3)
おかあが庭にいたおらを呼びに来たんで、並んでソファに座ったら、
リカ女先生「あ、三太だ! 元気ぃ?」
うん、リアルじゃあ、お店での会食に参加できないおらも、オンラインなら、在宅で参加できる、って実感した。

これって、「新しい生活様式」か?

アルフレッド―
僕も誘ってください。

三太―
悪かった。おかあに注意しとく

ん? 中学の先生の姿が見えねい。
一人お先に出来上がっちゃって、寝ちゃったんだ。
「おうち飲み」の気楽なところだ。

※1 (559)アルフレッド・「新しい日常」 
※2 (301) 三太ドイツ旅行? 超豪華版修学旅行  (2013.7.12)
小学校の校長先生から、中学の先生、高校の先生、市民講座の先生、先生たちの研修旅行。生徒一人に引率教員8人の豪華版修学旅行。
出発前の課題をやってなかったおかあ、中学の先生にお説教されて、めそめそメーメー泣き出した。いつまでもメーメー泣いてる落ちこぼれに、「ヤギ」って名前がついた。
写真「ポツダム会談場(ツエツイーリエンホーフ宮殿)」

※3 (302) 三太ドイツ旅行? 道草(2013.7.18)
先生たち、行く先々で立ち止まる、道草食う。博物館で、路上で、電車内で、かんかんがくがく、検討会が始まる。



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(559)アルフレッド・「新しい日常」

アルフレッド―
女将さん、段ボール持ち出して・・・何するんです?

女将(=おかあ)―
注意札を作り直す。
暑くなってきて、草木が繁ってきたでしょ。
門やフェンスのあたり、剪定してみたら、門扉に下げてある注意札がボロくなってるのが目についたんで、更新しようと思って。
【手を出さないでね 咬むことがあるんだ】
 三太が庭にいると、道を通る人が「カワイイ!」「カワイイ!」って言ってくれるのはいいんだけど、門扉の隙間から手を出して撫でようとする子もいるし、検針や配達の仕事の人に咬みついたら大変だし。
 若い頃の三太の<凶暴>がハンパじゃなかったのは、私が一番身にしみてるから(※1)。
この頃じゃあ、すっかり穏やかになって、99%好々爺ぶってるけど、万が一の1%に備えて注意札を出してるわけ。
ま、「三太は健在です」というご挨拶みたいなもんね。


アルフレッド―
なるほど。
門の外側から、注意札の写真(※2)と、ナマの三太君が両方見られるわけですね。

三太―
うん、注意札の写真は実はおらじゃあねい。でも、よっく似てるだろ。
おら、緊急事態宣言が発出されようと解除されようと、「生活様式」を変えることはねい。

電話が鳴ってる。
おかあの悲鳴!

おかあ―
エーッ!? も、もう一度言ってください、何月の月末ですって? 六月じゃなく?

三太―
電話のあと、おかあ、茫然自失。
テレビの前にへたりこんで、夜寝るまでお気楽ドラマを眺めてた。

アルフレッド―
何だったんです? 電話は?

三太―
市立図書館から。
うちの近くのW分館が、<明日から11月末日まで休館するので、その間、予約本を受取るには他のどこの分館を希望しますか?>って。
コロナ休館が明けた、って再開を喜んだ(※3)ばっかりだったのに、突然、これから半年近く、休館だ、なんて…

そりゃあ、W分館の建物が老朽化していて雨漏りもするし、「環境改善のための施設改修」をする必要は否定できないけどさ、こんなに唐突にやるなんて…
図書館のHPを見直したら、この「W分館の臨時休館について」の掲載日は2020年6月11日だ。

おかあ、W分館を利用するのに、今までは徒歩で270m3分、自転車で1分、ひょっと思いついて出かけて、ふらっと帰って来られた。
代わりの分館をどこにするか聞かれたおかあ、距離と坂の傾斜なんかを思い比べて、C分館と答えたけど、徒歩1.2?16分、車で1.7?6分、急坂の上り下りがあるからだろう「自転車ルートは利用できません」だと。
これからは「図書館へ行く」って自分に言い聞かせないと、体が動きそうにない。

おかあ、いやおうなしに【新しい生活様式】だか【新しい日常】だかを暮らすことになった。

※1 (479)アルフレッド・狛犬さん へ
「つくづく、凶暴だったおらが、よくぞフレンドリーになった、って、深い感慨にふける。」
(499)アルフレッド・狛犬さん の  
 「 唸ると同時にギャンッ!と噛みついて来た瞬間湯沸かし器」「石の上にも三年、三太とも十年。太陽政策!」
※2 『憲法9条カレンダー』写真:岩合光昭
※3 (558)アルフレッド・図書館再開



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(558)アルフレッド・図書館再開

アシュラ童子― 
一応ニュートンのために弁じておきますと、彼はこれまで付き合った数多い猫のなかで、多分最も柔和な性格です。
他の猫に不機嫌な様子を見せたこともありませんし、お友達が多い、また、お隣りのチワワのハナちゃんとは仲良しで一緒に遊んであげています。
こと大きい猫(=人間)については、宅配のお兄さん始め、誰にでもスリスリするもので、とても人気があります。大きい猫に対する信頼感が最大度数ですね。
ちなみに、サスケはニュートンとほぼ正反対の性格です。ニュートンから一方的に仲良くされて、サスケはかなり迷惑そうな様子です。
以上、ニュートンのために一言弁明しておきます。

三太―
ニュートン君もサスケ君も、それぞれマイペースで元気だ。
ゾンビが言ったからって、生活様式(※1)を新しくしたりしねい、リッパだ。
おら?
ゾンビが「1世帯に2枚」って言うから、対抗上「おらの分はどうしてくれるんだ」(※2)
って言ってきたけど、ほんとは、若い時から、服を着せられるのは嫌いだ。
散歩にはノー・マスクで行く。
渋谷のハチ公が、マスクをつけられたりはずされたりしてる。本人の意向も聞かずに。

アルフレッド―
女将さん、そわそわしてどこ行くんです?

女将(=おかあ)―
図書館のじろちゃん(※3)から、会いにきて、って・・・



三太―

おかあ、一人で行っちまった。
このごろ、おらが図書館方向のコース行きたがらないからって。
おら、若い頃は、図書館から若葉の森へのコース、毎日のように行ってたんだが(※4)。
ずうっと休館してた図書館(※5)が、サービス再開したんだ。
まずは、?返却、?休館前に予約していた本の受け取り。
今日、「準備ができました」って貸し出してもらえたのは2冊。
おかあ、こんなことなら、全面休館になる前、3月27日までに、貸出点数20点まで目いっぱい予約を申し込んでおくんだった、って、「緊急事態」の間ず〜っと悔やんでた。
いまだに新しい予約は受け付けてもらえない。
おかあ、図書館が再開したら予約申込もうって、貯め込んだ本のリストがた〜くさんなってる。「新刊旧刊案内」だ。


※1 新しい生活様式
 「感染減は緩やか、長丁場へ新しい生活様式を 専門家会議」『朝日新聞』2020.5.1
 「「新しい生活様式」、食事や買い物は 専門家会議が例示」『朝日新聞』2020.5.4
※2 (549)アルフレッド・布マスク 
※3 (555)アルフレッド・図書館のじろ 
※4(60)三太図書館めぐり 
※5(548)アルフレッド・猫との人生11 




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(557)アルフレッド・アマビエ 

子どもへマスク送り方

アマビエ
 アシュラ童子-
たった今ニュートンが雀を見せに来ました。
捕まえたばかりだったのですが、助けられませんでした。
スズメは警戒心が強いと見えて、これまで捕まえたことがなかった。
しっかり言い聞かせましたが、即座に取り上げたもので、本人はかなり不満そうでした。


三太―
ニュートン君、しっかり「時の人(猫)」やってるね。

レトリバーのテラさんのおかーさん―
三太君のおうちに布マスクが届いたとのこと。
東京や首都圏に先に届いているようですね。こちらはまだ準備中のようです(今からでもやめればいいのに)。
で、もし使われないようでしたら、以下のようなプロジェクトがありますので、ご案内させて。
「児童養護施設へ贈ろう!プロジェクト」
トータルデザインセンター、マスク寄付係
岡山県下だけでも13施設あり、600人の子供がいるそうです。足りないので手作りしているとのこと。
アベノマスクは、13.5×9.5と大人には小さく子どもにぴったりなのだそうです。
送料がまたかかってしまいますが、何人かで集めて送ると小さな社会貢献かと。
700- 0932 岡山市北区奥田本町15-20

アルフレッド―
女将さん、何、一生懸命見てるんです?

女将(=おかあ)―
アマビエ。
厚労省がキャラクター(※1)に採用した、っていうから、なんなんだろうと思って。
初めてメデイアに登場したのは弘化3年っていうから、1846年だ・・・

アルフレッド―
僕がロンドンで生まれたのは1852年です。
1846年頃から1863年にかけて、コレラが3回目の世界的流行してたさ中でした。1854年は史上最悪の年の一つと言われています(※2)。

三太―
日本じゃあ、アマビエが登場した「弘化3年に大規模な疫病があったという記録はありません」って、「妖怪博士」として知られる兵庫県立歴史博物館の香川雅信さんが言ってる(※3)けど、「江戸時代には、伝染病は天然痘に限らず、いろいろなものがそれこそ入れ替わり立ち代り流行を繰り返していたのだ。」(※4)そうだ。
細菌だのウイルスだのの医学が広まる前で、病気が流行れば、「養生」して加持祈祷や臨時のお祭したり、病気除けの絵を張ったり、・・・
香川さんは、今アマビエが世界的に流行ってるのは「魔よけや信仰ではなく、遊びなのかなと思うんです」って言ってる。

おかあ―

自粛・在宅で逼塞してて、何かしてなきゃ、やってられない、って気分かもね。

アルフレッド―
100年どころか、174年前と今も、人って変わってないようですね。

※1 「アマビエロゴシリーズ」厚生労働省 2020.5.19取得 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html 
※2 Mary Dobson『Disease―人類を襲った30の病魔 』小林力訳(東京:医学書院、2010)。
※3「妖怪アマビエ、世界に拡散 独特の風貌が現代にマッチ?」『朝日新聞』2020年5月19日 9時00分
※4高浦照明『大分の医療史』大分合同新聞社、1978、p.146)




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(556)アルフレッド・アベノマスクがやってきた

アルフレッド―
やあ、お久しぶりです。国際的猫派のアシュラ童子さん、お宅のサスケ君とニュートン君、いかがおすごしですか?

アシュラ童子―
我が家の猫サスケは老人でもう狩りはしませんが、若いニュートンは獲物(小はセミ、トカゲから大はネズミ、モグラ、各種の鳥類)を小生の所へ持ってきます。
ニュートンは、実に利発なのでこんな名前になったのですが、「飼い猫は人のことを大きい猫だと思っている」(※1)というように、
どうも仲良しの「大きい猫」(=小生)は碌なものを食っていないと考えていて、一緒に食べよう、と持ってくる面もあるように感じます。
書斎が羽だらけになるし、床に血が付くので殺生をしないように言い聞かせると(?)、しばらくは隠れたところで遊んだり食べたりします。
完食するのは稀で、食い散らかしてそのままです。
よってへぼ短歌:
ニュートンが鳩食い散らし朝光(アサカゲ)の廊に羽毛と血があちこちに


おかあ―
今年はコロナで鎖国状態ですが、昨年は海外調査にいらしたんですね?

アシュラ童子-
イランとパキスタンに調査に行きました。
いつもカーゴパンツのポケットにマタタビ(小瓶入りの粉状のもの)を入れていて、どこのオス猫にも効果抜群です。
5秒で大の仲良しになれます。
あちこちで「小さい人間」と仲良しになっています。

おかあ−
マタタビって、地球上のどこの猫にも効くんですか? それもオス限定ですか?

アシュラ童子−
小生の実体験からはイラン、パキスタンの猫で、多分オス限定でしょう。すべてのオスというわけではないかもしれません。
マタタビ初体験でも、どの猫も同じような反応をします。


三太―
おら、門の内側で寝そべりながら門番を勤めてたら、郵便屋さんが来た。
「アベノマスク」だ!
噂に聞いたとおり、ガーゼ製、縦10?×横13.5cmが2枚。
(写真↓)

   

おかあ、新聞に載った「セイジカノマスク」(※2、添付)と見比べてみた。
大抵の政治家が「アベノマスク」よか大型のマスクをしてる。
党派とか忠誠度とかとは関係ないみたいだ。

おかあ―
アシュラ童子さんのお宅にも「アベノマスク」届きましたか?

アシュラ童子―
まだです。
散髪に行くのは不要不急か決めあぐねているうちに、2か月を超しました。
いっそのこと、このままロン毛にしてイメージチェンジするかな。81歳の長髪も悪くない(?)。
ついでに、顎鬚も伸ばして白式尉(はくしきじょう※3)ではどうかな?


アルフレッド―
アベノマスクでは、顎髭はカバーできません。
テニスする人の「フェイスマスク」それも「ネックガード」という、目の下から胸肩背中まで覆う形をお奨めします。


※1『月刊みんぱく』2018年1月号p。2「特集 ねこ 猫 ネコ」
※2 「セイジカノマスク」『朝日新聞』2020年5月13日
※3 白式尉(はくしきじょう) 
    能面の一つ。白く長い顎髭がある老人「翁」、神に近い。
※4 近所の友人が散歩の時付けているのを見て「すごいのを付けてるねえ!」とびっくりしたら、「テニス用なの」と教えてくれました。
    「フェイスカバーまたはフェイスマスク」で検索できます。




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(555)アルフレッド・図書館のじろ 

アルフレッド―
女将さん、だいぶ、ウツウツしてますね。

三太―
ず〜っと、図書館が休みだから。(※1)
おかあ、図書館へは、おらとの散歩ついでにも行くし、日中ひょいと一人でも行くし、二日に一回くらいは行ってたんじゃないか。
「図書館が利用できなくてどうしてますか?」ってえアンケートに、
「自宅に蓄積してきた資料を読み直しています」なんて、気取った回答していたけど、うちにある本は、勉強のためにいつか読まなくちゃって積んである本ばっかりで、楽しくねい。
現世を離れて楽しめる本は、もっぱら図書館の子ども室で手にとって見つけてきた。

おかあ(=女将)―
3月28日から4月12日まで、本館も分館もぜ〜んぶ休館。再度延長で5月31日まで。

アルフレッド−

本は借りられなくても、図書館のホームページは見られます。100年前にはなかったことです。

おかあ―
図書館のHPをうろついてたら、じろに遇った。鳥のメジロがモデルなんだって。
じろが、地下書庫を案内してくれた。(※2)
私が「レファレンスお願いします」って、オネエサンに奇問難問相談するのはカウンター
だけど、地下書庫や事務室や機械室なんかの、利用者からは見えないところで働いている
人も多いんだ。
私の友だちには、図書館で働いている人もいる。
地方公務員や国家公務員である正職員だけじゃなくって、下請会社の社員も、下請会社に
派遣で来ているパートタイマーも、ボランテイアスタッフもいる。
休館休館で、みんな、賃下げや雇い止めにされてないかな・・・


※1 まず、「サービス休止」 (547)アルフレッド・猫との人生10    ついで、全面的に休館 (548)アルフレッド・猫との人生11 
※2.じろの地下書庫ツアー https://www.lib.city.chofu.tokyo.jp/kidsinfocontents?1&pid=7304




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(554)アルフレッド・平常心 

アルフレッド―
女将さん、なんだかバタバタしてますね。

女将(=おかあ)―
「おうちにいましょう」って言われても、ゾンビみたいに紅茶飲んでばかりいられないもんね。(※1)
コロナだからって、夏が来ないわけじゃない、猛暑への備えをしないと。
時はゴールデンウイーク、毎年この時期でないと、ゴーヤの苗売ってないし。

三太―
おかあ、日よけのすだれは去年のが使えるから買わなくっていい、って買物メモに線引いて消して、ホームセンター行った。
庭いじりや外回りのモノはかさばるんで、年に2回まとめて買って配送してもらうんだ。
うちはクルマ持ってないし、おかあ、免許を去年返納しちまったし。
「不要不急」かどうか、わかんねいが、例年よか少し人が少ないみたいだと。
グリーンカーテンにするゴーヤの苗と、プランターに植えるトマトの苗、ナスの苗、パプリカの苗買ってから、2階のペットコーナーへ行った。
おらのごはん、ドッグフード買うんだ、手作りと併用がこのごろの三太メシ。
粒メシの大きい袋と、缶詰・レトルト。シニア犬用・11歳以上・14歳以上って書いてあるのをかたっぱしから2個ずつ、棚からカートに入れていく。
ふと、目を上げたら、無い!
いつもの子犬・子猫のウインドウが無い! 金魚の水槽も無い!

ヤギ生徒(=おかあ)―
育ジー先生、ミニダックスのショコラさん、このごろ、どうすごしてますか?(※2)

育ジー先生―
我が家のショコラは13歳で人間でいうと古稀を過ぎた私と同年配です。
幸か不幸か至って散歩嫌いなので、川沿いの土手にいつも以上に過密になっている犬仲間社会とは無縁にのんびり元気に過ごしています。

退職後に始めたテニスは8年目になります。
家庭菜園・太極拳・サイクリングなどよりもはるかに豊かな楽しみの交歓ができると日々満足していました・・・・が、
ここにきて公営コートが全て閉鎖になり、テニスレッスンを受けている私営コートのみがオープンです。
そこでプレーするのもなんか後ろめたい気もしていますが、週四回から一回というのは75%の自粛率? になるかなあなどと言い訳してやっています。
けれどそこにはいつもより沢山の利用者がきています。
もうひとつ加入のテニス倶楽部の定期総会も書面承認ということで処理しました。

・・・ということでもっぱら「ステイホーム」の日々に先送りしていた断捨離をしています。
なかなか時間も手間も掛かりますがいい機会だと思い定めてやっています。
・・すると思いもしない場所から忘れていたいろいろなものを発掘して新鮮な驚きを感じています。
なかなか先の見えないコロナ災禍ですが、くれぐれも御身大切にお過ごし下さい。


※1 紅茶 「うちで踊ろう 首相安倍晋三×星野源」
https://www.youtube.com/watch?v=HSwjr38vm8o
※2 チョコレート色のショコラさん、久々に登場してもらいました。
2013.11.11  (314)三太ドイツ旅行 ショコラ
2013.11.19  (315)三太ドイツ旅行 ショコラの安全
2016.5.21  (417)三太・○○焼き(その二四)イースター(ショコラ編)



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(553)アルフレッド・紅葉 

アルフレッド―
コロナ、コロナで、催しがすべて中止です。

神奈川のアキコさん―
ここのところの「むらき数子 情報ファイル」から、集会も映画の上映予定もなくなって、淋しい限りです。
行きたいなあと思いながら、コシが重くなって現実にはあまり動かないのですが、「諸日程」に予定が沢山並んでいると、みんなの関心がどこにあるかがわかって、見るだけで刺激になっていました。
早く戻ってほしいと思います


三太―
立川の先生からメールもらった。
毎年5月3日に立川でやってた憲法集会も延期したんだと。

立川の先生―
憲法集会をやむなく延期することにしたので、先週の日曜日に、立川駅北口で、各々訴えたいことをボードにして掲示して、マイクで話しました。
反応はいまいちでしたが、自粛要請のもとでも市民運動は健在なことを示す意義はあったかと思っています。
憲法記念日に何もしないのも悔しいので、5月3日にも同じ形でやります。(※1)
毎日お天道様に身をさらすことが、抵抗力や免疫力を増すことになると思い、ウォーキングのような散歩のような外出をしています。
昨日は約12000歩あるきました。
歩いている途中で、赤い葉の不思議な植え込みを見つけました。
写真を添付しますので、答えのわかる人は手をあげて。



ヤギ生徒(-=おかあ=女将)―
はーい!
赤い葉っぱの植込みは、「ベニカナメモチ」だと思いまーす。

三太―
落ち葉だけでなく、紅葉も、秋だけじゃなくって春にもあるんだ。(※2)
「ベニカナメモチ」って、茨城の庭でゴロー先輩がめんどう見てた木なんだと。(※3)

ルフレッド−
立川の先生、女将さんが「高齢者は、お天道様と仲良くし過ぎると、疲れるから、ほどほどに」って、言ってます。

立川の先生―
ありがとう。
このところ眠りが深いのは、お天道様のお陰だと分かりました。


※1 「平和といのちと人権を!5.3憲法集会2020」は集会形式での開催を中止し、5月3日(日)13時?14時ごろ(予定)、下記のURLにおいて、オンライン配信を行います。ぜひご覧ください。
ハッシュタグ #0503憲法集会 をぜひご活用ください!  youtube → https://www.youtube.com/watch?v=yG0pcSFR4h0
  発言予定:※変更の可能性があります
  堀潤さん(ジャーナリスト)
  古今亭菊千代さん(噺家・真打)
  浅倉むつ子さん(法学者、安全保障関連法案に反対する学者の会)
  稲正樹さん(憲法学者)
  主催者から   http://kenpou2020.jp/
※2 おかあは秋も春も落ち葉掃きしています 
(552)アルフレッド・みんなのマスク
※3 むらき家の先代犬・ゴローの故郷は茨城でした。
「ゴローちゃんファンクラブ」お手伝い2004.6.2
 



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(552)アルフレッド・みんなのマスク 

ワンワンとトラトラ アルフレッド―
女将さん、今年も池にカエルが来ましたね。2匹が何週間も「密接」しないんで、ヤキモキして見てたけど、ちゃんと卵産んでくれました。(※1)
自然はちゃんとめぐってます。
あれ、ハンカチマスクして、どこ行くんです?

三太―
すぐそこの鉄砲坂、落ち葉掃きだと。
コロナでうちにばかりいるんで、インイン滅々、健康度が下がってきた。

おかあ―
落ち葉って、晩秋だけじゃなくって、春にもあるって、知ってた?
落ち葉掃きしてたら、パグと男性が来た。
パグって、ブルドッグの小型みたいな、三太より一回り小さくって、顔が黒っぽい犬。
なんと、パグは黒いマスクしてた!(※2)

三太―
で、おらの分はどうしてくれるんだ?

宝塚のボイチャン―
三太君、
「おらの分はどうしてくれるんだ?」との三太君の声に思いをいたし、
娘が置いていったぬいぐるみの、「ワンワン」と「トラトラ」にマスクを作ってやりました。
検査はせずに、「自粛!自粛!」、生活は「自己責任」の安倍政権、
トランプのアメリカの方がまだましに見えてきます。
テレビを見ると日本のマスコミの「大本営発表」の体質がいやになります。
三太君、「おかあ」によろしく。


※1 むらき家の池には毎春、蛙が来ます。初めて産卵したのは、2010年でした。
    オタマジャクシの初登場 ((181) 三太産後にイワシ缶?(第399号 2010.4.17))
    カップルを初めて目撃したのは2013年((294) 三太ぼたもち(19)お使い蛙(第520号 2013.4.22))
※2 犬用のマスク 噛み付き防止用の口輪はネットで見られます。




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(551)アルフレッド・アベノマスク  

アルフレッド―
「昔、歌のオニイサン」に、「社会的距離は、どうなりましたか?」って訊かれました(※1)。

女将―
三太と子犬と、しばらくお見合いしてたんだけどね、
お父さんに呼ばれた女の子が子犬を抱きあげて「バイバイ」って行っちゃった。
それきり。
で、三太の分のマスクはどうしたものか、と思いながらうちへ帰ったらメールが来てた。

猫のこまる君のおふくろさん
 コロナ蔓延で市の施設利用はすべて中止、憲法ひろばの3月例会も、実現するはずだった前川喜平さんの講演会も中止になり、調布平和を歌う合唱団も練習場所が閉鎖になって、翼を奪われた感がありますが、「9条地球憲章の会」に送られてきた漫画には思わず爆笑。
みなさまにも笑って頂きたく、投稿します。
「アベノミクスからアベノマスク政策へ:首相は思った以上に無能でした」の注釈付きで世界中に出回っているそうです。(※2)



※1 (550)アルフレッド・社会的距離 
子犬に「お父さんでしょ」と聞かれました。
※2 https://twitter.com/punxjk/status/1245347220259393537
※2-2 「配布計画は裏目に出た」 アベノマスク批判、米欧主要メディアも報道」
     毎日新聞2020年4月3日 22時26分(最終更新 4月3日 22時39分)   https://mainichi.jp/articles/20200403/k00/00m/010/289000c
     ※2-3 「「マスク2枚」皮肉ったサザエさんパロディー 海外の大手メディアで紹介相次ぐ」2020/4/ 3 19:55     https://www.j-cast.com/2020/04/03383690.html



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(550)アルフレッド・社会的距離 



おかあ―
昨日、三太と散歩に行った。
地蔵坂を登り切ったところで、子どもたちに出会った。
8歳くらいの女の子が、抱いていた子犬を道におろして、三太に向かい合わせた。

三太―
おらとしたことが、とまどった。
突然、「お父さんでしょ」って言われたみていで。
おかあ、面白がって写真撮るし・・・
写真見たおとう「ちゃんと密着を回避したんだ」って褒めてくれたが・・・



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(549)アルフレッド・布マスク 

三太―
ゾンビが、布マスクを配るって言いだした(※1)。エイプリルフールか?って耳疑ったんだが、本気らしい。
そもそも、布マスクって、ウイルスを防ぐ効果あるのか?
新聞には「 WHO(世界保健機関)は、新型コロナ感染拡大期における布マスク使
用について「いかなる状況においても勧めない」と助言している。」って書いてあるぞ(※2)。

アルフレッド−
女将さん、3月初めに、「手作り「ハンカチマスク」の紹介」(※3)って書いてましたね。
あれって、布マスクですよね?

女将−
そう、2月半ばから、マスクの手作りをネット上で見かけるようになってたんで、ハンカチでおしゃれなのを作るのもいいかな、って紹介した。
だいぶ前に見た、ベトナムの都市で、バイクのものすごい排気ガスと、バイクに乗ってる人達がつけてたマスクがいろ〜んな色柄だったの思い出した。(※4)
昨年秋、香港でデモ参加者に対して禁止したマスクは、顔の半分以上を覆う「覆面」だった。(※5)
ゾンビの勧める布マスクって、鼻先と口元蔽うだけの、ガーゼ製でしょ。あれで自分は大丈夫だと思ってるのかな。
布マスク配る費用と人手・・・約200億円+送料、日本郵便の現場で働いている人たちによけいな仕事をふやして・・・
その税金を、感染の検査・治療で疲弊している医療関係者の休養にあてるとか、どーんと昇給して潜在看護師たちに就業をよびかけるとか、隔離されてる人の宿舎と生活・収入を保障するとか、緊急に必要な使い道があると思う。

三太―
ゾンビのエイプリルフールにあきれ返ったおかあ、気分転換に、花柄のハンカチでマスクを作り始めた。
ウン十年前の小学校の家庭科の復習だ。ひだを整えて輪ゴムで止めた。あごまで覆う立体的なマスクができた、って、ご機嫌だ。
ウイルスにゃ効かなくても、「うつさないように気をつけてます」というメッセージにはなる、って。
おらの分はどうしてくれるんだ?

おかあ−
君の顔は超立体的だからねー・・・
中国で散歩してる犬の画像があるんだけど・・・(※6)

※1 「1住所当たり2枚の布マスクを配布の方針 安倍首相
新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの品薄状態が続いていることから、安倍総理大臣は政府の対策本部で、全国のすべての世帯を対象に1つの住所当たり2枚ずつ、布マスクを配布する方針を明らかにしました。(下略)
※2 『朝日新聞』「布マスクは有効? WHOは「どんな状況でも勧めない」」   2020年4月2日 13時25分
※3 第776号 2020.3.3 ☆3.[転載] 手作り「ハンカチマスク」の紹介
※4 「これで何が防げるか?大げさでカワイイ!!ベトナムのマスク
※5 「香港政府、デモ参加者のマスク禁止 多数が激しい抗議」2019年10月5日   https://www.bbc.com/japanese/49932633
※6 「新型コロナで世界は今?特派員が総力取材 犬にマスク…挨拶も・・・」2020.3.12
    https://www.youtube.com/watch?v=CSU1Ie0DfHQ



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(548)アルフレッド・猫との人生11  

アルフレッド−
新型コロナウイルスで、パンデミックという言葉を毎日テレビで見聞きするようになりましたね。
僕には、1918年から19年のいわゆる「スペインかぜ」の記憶が強烈ですが。

三太―
21世紀、おらが生まれてから、世界じゃあ重症急性呼吸器症候群(SARS、2003年)や中東呼吸器症候群(MERS、2012年)、エボラ出血熱(2014年)があったが、日本は幸い大きな被害を受けないで鈍感にすごしてきた。
おかあ、図書館で『史上最悪のインフルエンザ 忘れられたパンデミック』(※1)ってえ本借りてきた。

おかあ(=女将)―
「スペインかぜ」って覚えてたけど、「スパニッシュ・インフルエンザ」と呼ぶのが正しいんですって。ただの「風邪」じゃなくって、インフルエンザ。第一次世界大戦の戦死者数の二倍以上の人が、このインフルエンザで死んだんだって。
返却に行ったら、図書館のとびらに掲示されてた
  「新型コロナウィルス感染拡大防止のため、東京都知事からの要請を受け、市は施設の休館・事業休止に関する方針を定めました。」
って。3月28日から4月12日まで、本館も分館もぜ〜んぶ休館。三日前までは、カウンターで、予約本は貸出して、返却本は受取ってくれた。今は、予約も返却も受け付けない、つまり、図書館が全く利用できない。
一気に、逼塞感が強まっちゃった。
しようがないから、買い物に行った。
スーパーやドラッグストアーの棚から、この間、トイレットペーパーが消えてた。
駅前のスーパー行ったら、トイレットペーパーが積んであった、人が買い漁っているようでもなかった。
ほっとした。
流通をはじめ、電気・上下水道・ゴミ・・・リアルワークを続けて、ふつうの暮らしを担ってくれている人たちに、感謝してます。

アルフレッド−
本は借りられなくても、メールのやりとりはできる。100年前にはなかったことです。
で、おふくろさんの子ども時代の「猫との人生」は今回でおしまいです。
おふくろさんの大人になってからの「猫との人生」の一部は、だいぶ前に「おいら、こまる」(※2)として書いてもらいました。その他の「猫との人生」は、いつかまた書いてもらいましょう。
読者のみなさんといっしょに、おふくろさんに感謝!


********************


猫との人生11」       猫のこまる君のおふくろさん

 ミイが死んでから間もなく、チビの第2の「おカアさん」だった年子の妹は26歳で亡くなり、チビは当然わたしの猫になった。
 毎朝出勤前の身支度のために鏡の前に立っていると、ぽんと肩に跳びあがり、そのまま階段を降りて玄関まで一緒に行った。わたしの部屋は道に面していたので、帰宅するときは、足音を聞きつけたチビがにゃんにゃん鳴きながら階段を駆け降りてくるのが外まで聞こえた。
 29歳のときわたしは結婚して家を出たので、チビの「おカアさん」だったのはそんなに長くはなかったと、書いてみて分かった。実家に帰るとチビはどこからでも出てきて、頭をこすりつけて甘えた。それが、子連れで行くと決して出てこなくなったのである。
 わたしが家を出た後、チビの世話はずっと独身で家にいた姉通子がしてくれた。ある秋の日の午後、年老いた両親にお茶を淹れてあげようと茶の間に行くと母が「チビが死んだよ」と言ったそうだ。チビは座布団の上で日向ぼっこをしながら息を引き取ったらしい。もうすぐ20歳で表彰されるところだったと、かかりつけの獣医さんに言われたとのことだった。ミイより8年も長生きだった。(おしまい)


※1 『史上最悪のインフルエンザ 忘れられたパンデミック』アルフレッド・W・クロスビー、西村秀一訳・解説、みすず書房、2004初版、2009新装版第2刷。
※2 「おいら、こまる」 http://murakifile.noor.jp/m1/cat/2.html



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(547)アルフレッド・猫との人生10 


アルフレッド−
女将さん、また、絵本借りてきましたね。猫ですか?

女将−
そう、新型コロナのお蔭で、図書館が「サービス休止」。
つまり、閲覧室もこども室も立ち入れない、本を並べてある書架の前で一冊一冊引き抜いて見る、という開架式の楽しみ方ができない。うちからメールや電話で予約した本はカウンターで貸し出してくれる、つまり閉架式になってる。
で、うちでネット検索して、せっせと予約申込んで、図書館から「用意できました」というメールが来ると、借りに行く、わけ。
今日借りてきた『天才コオロギ ニューヨークへ』(※1)は、児童文学というのかも。主人公はコオロギなんだけど、その友達になるトラ猫・ハリーの絵が良くってね。同じ画家の描いた白ネズミ『ミス・ビアンカ』シリーズ(※2)に登場する猫マメルークは凶悪でいただけないけど。

アルフレッド−
で、おふくろさんの「猫との人生」は二代目チビさんの時代ですね。


********************


「猫との人生10」       猫のこまる君のおふくろさん

 チビは白地の多かった母親と違ってお腹と鼻筋が白い他は全身三毛だった。「器量がいいから」と母が取っておいただけあって、耳が大きく目がぱっちりして愛くるしい顔立ちをしていた。いつまでも親と一緒だといつまでも子どものままだということの生きた証拠のような猫だった。

2階から屋根に出たのはいいが下へ降りられなくてにゃあにゃあ鳴き、「チビは私の猫」とかわいがっていた妹が、茶の間の濡れ縁に出て背中を差し出すと、それを踏み台にして降りるのが常だった。洗面所の格子つきの窓がいつも猫の出入りのために少し開けてあって、時々そこから野良猫が侵入した。ある晩ガタンと物音がして、チビが狼狽えた様子で部屋に駆け込んでくると、ミイがやおら出向いて行って、侵入した野良猫を追い払った、なんてこともあった。寝転がって3本の脚を使って襖を開けるという特技があり、そのかわいらしい姿は今でも目に浮かぶ。

 それでも一度一匹だけこどもを産んだが、お尻を舐めてやるなど、世話をするのはミイだった。真っ黒で頭の大きい不細工な子猫だった。幸いもらってくれる人がいて、「クモ」という名になったと聞いた。

 食事どきには2匹は並んでちゃぶだいに侍っていたが、焼き魚などがあると思わず鼻先がのびる。これがチビだと父はすかさず頭を叩いたのに、ミイがしても知らん顔していた。男には公平のセンスがないと、のちに夫や娘婿の子どもへの接し方をみて思い出したことだ。どちらも2人の子を持ったが、明らかに下の子には冷たかった(子どもたちが成長し、父親業も身についた今では、もちろん対応も理性的になっているが)。





※1 2004 『天才コオロギ ニューヨークへ』ジョージ・セルデン作、ガース・ウイリアムズ画、訳吉田新一、あすなろ書房(原著1960アメリカ)
※2 2016『1 くらやみ城の冒険』1987(原著1959、ロンドン)(『ミス・ビアンカ シリーズ』マージェリー・シャープ作、渡辺茂男訳、ガース・ウィリアムズ絵、岩波書店)




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(546)アルフレッド・猫との人生9 

アルフレッド−
毎年の『憲法9条カレンダー』には、岩合光昭さんが世界中を歩いて写した猫がいっぱい載ってます。
猫のこまる君のおふくろさんのミイさんは、三毛猫だそうですが、今年の『2020憲法9条カレンダー』に似た猫がいますか?

三太―
ミイさんは2月の親猫に近いんだと。(→写真)
2020憲法9条カレンダー2月(写真・岩合光昭)
おかあ−
ほとんど白猫といっていいくらいだね。
アメリカのホタル島の、ピーターサンドさんの猫たちみたい。(※1)

********************

猫との人生9」       猫のこまる君のおふくろさん

 ミイが最後に産んだ子猫の中の1匹は、うちに残ってチビと呼ばれるようになった。居なくなった子猫たちを家中捜し回るミイの、あの血を吐くような悲痛な鳴き声に胸を抉られる思いをしなくて済んだが、チビは親と同じくらいの大きさになるまでお乳を飲んでいたので、ミイはどんどん痩せていった。晩年には歯が抜けて部屋によく落ちていた。
 わたしが大学の研究室で働き始めたころのことだった。ミイは何も食べなくなり、姉たちが居なくなってわたしの部屋になった2階のベッドの上で寝ていた。3日目の晩、家族が夕食の膳を囲んでいるところに突然降りてきた。父は「ミイ、よくなったのか」と喜んで声をかけたが、ミイはまたすぐすうっと2階に戻ってしまった。
 その晩机に向かっていると、夜中近く、ミイが突然起き上がってベッドの下に潜り込もうとした。猫は死ぬとき姿を隠すと聞いていたので、もしやと抱き上げて膝に乗せた。ミイはじっとして眼をつむったままだった。そして足の先からだんだん冷たくなっていった。
 朝日が空を染めるまでわたしはミイを抱いていた。大往生だった。涙は出なかった。
 庭の大きな柿の木の下に埋めた。墓標には「美威の墓」と書いた。



※1 『ピーターサンドさんのねこ』ルイス・スロボドキン作・絵、清水眞砂子訳、あすなろ書房、2012 




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(545)アルフレッド・猫との人生8


アルフレッド―
日本では2月22日が「猫の日」なんですね、「ニャンニャンニャン」だとか。

おかあ―
ああ、それで、地下鉄の駅のポスターにも、猫がいっぱいなんだ(※写真)。
猫のこまる君のおふくろさんは、365日いつでも「猫の日」。

*******************

「猫との人生8」  
     猫のこまる君のおふくろさん

 怪我をしたり、体調の悪いときにはどこかに姿を隠してひっそりと治癒を待つのがミイのやり方だったが、飼い主が何かに集中していると邪魔をして注意を惹こうとする猫の性さがは十分に持ち合わせていた。新聞は畳の上に広げて読むのが一番読みやすいのだが、そうするとちょうど読んでいる箇所にミイが座り込む。机の上に本やノートを広げているときもそうだった。そこで勉強を中断してひとしきりミイと遊ぶことになる。ミイが居なかったらもう少し勉強してましな者になっていたかもしれないとも思うが、後悔はしていない。期末試験のときなどはさすがにそうはいかなかったのか、気がつくとミイが無表情でよその猫のような顔になっていた。父に叱られて部屋で泣いていると、心配そうにそばに寄り添っていたこともあった。

 わたしが帰宅するときにはいつも玄関に出迎えたが、途中にある柱で必ず爪とぎをするので、柱が抉れてしまっていた。その後の代々の猫の観察からしても、猫は嬉しいときにも爪とぎをするらしい。猫の爪を切れという人がいるが、切る気になれなかった。

     ・「2020年2月11日〜3月1日 第10回ねこまつりat湯島〜猫でつなぐ湯島のまち」(ポスター@水天宮駅) 



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(544)アルフレッド・「サンタは、いるの?」

アルフレッド−
「猫との人生」が続いてるので、犬派読者さんから「三太は元気?」って訊かれます。
前回は、猫のこまる君のおふくろさんが、どっぷり猫派の家にも、バスカ君が外犬していたって、書いてくれましたが。(※1)


三太―
うん、元気だ。
けど、おかあ、「コロナウイルスが怖いからうちに居なさい」って、おらこと留守番させて朝早く出かけちまった。
埼玉県の市立図書館に行った。
どこの図書館でも、こども室へ行くヒトだ。

小さな女の子に「サンタは、いるの?」って訊かれた。
「ええ、いますよ」
答えてから見たら、訊いたのはバージニア、アメリカの【永遠の8才】だった。
このやりとり、1897年、今から123年前の英語だと、こうだ−(※2)

  “Is There a Santa Claus?”
  “Yes, Virginia, there is a Santa Claus.”

バージニアが訊いたのは、サンタクロースは実在するのか、ってこと。
おかあが答えたのは、三太は留守番してますよ、ってこと。
おらあ三太だ、若いころから「サンタクロースのサンタ?」って言われてきたもんだ。

※1 (543)アルフレッド・猫との人生7。「猫との人生」は今回はお休みしますが、まだまだ続きます。
※2 『サンタの友だち バージニア』村上ゆみ子、東逸子画、偕成社、1994(2016年、第12刷、p.125)



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(543)アルフレッド・猫との人生7  

三太―
猫派読者さんから、「猫との人生」終わっちゃったんですか? ってえ質問が来た。
ネズミ年に敬意を表して、寄り道してた。

連載再開。

*******************

「猫との人生7」       猫のこまる君のおふくろさん

 ちょっと寄り道。

大きな白い犬が迷い込んできて庭に住みついたことがあった。ラプラドールだったかもしれない。すぐ上の姉恵子と回し読みしたシャーロック・ホームズの「バスカビル家の犬」からの連想で、「バスカ」と呼んでいたが、やがて小さな黒犬がお嫁さんに来て、縁の下で子どもを産んでしまった。母が保健所に連絡して引き取ってもらったが、その時「クロ」も連れていかれたのかどうか、とにかくバスカはずっと庭に居た。

 ある日学校から帰ってくると、庭のモッコクの樹の下で、ミイが雀か何かを捕ろうと身構えている後ろから、バスカがミイを狙っているではないか。わたしが大声をあげて駆けつけたので事なきを得たが、こういうことは他にもあったらしく、ミイはお尻をひどく咬まれたことがある。

 餌を与えていたわけではないが、追い立てるでもなく、バスカは当然のように庭に居た。ある冬の寒い朝、庭の一隅で死んでいた。兄が巨大な穴を掘ってその場に埋めた。




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(542)アルフレッド・ねずみは福の神

アルフレッド―
女将さん、今年の年賀状は、干支キャラが少ないようですね。

女将―
でも、調布のデコちゃんからはしっかり「ねずみさん」が来た。(写真)
去年はイノシシ家族3頭だった。(※1)
今年は多産の象徴・ねずみだから、1ダースくらい作ってるだろうと思ったら・・・

デコちゃん―
本当はねずみさん、あと数匹作りたかったのだけれど、時間切れと根気切れで一匹になってしまいました。

アルフレッド−
少数精鋭ですね。

女将―
韓国には「隠してあるものは、ねずみが守ってくれる」とか、「ねずみ年生まれの人は、一生食べることに困らない」ということわざがあるんですって。(※2)
忠清道では白ねずみが、おばあさんとおじいさんの二人暮らしに、思いがけない宝物をもたらしてくれた、って。
デコちゃんの白ねずみさんも、一匹で充分に働いてくれると思うよ。

※1 昨2019年亥年のデコちゃんのイノシシは 「(514)アルフレッド・狛犬さん み」 で紹介しました。
※2 『ふしぎなしろねずみ 韓国のむかしばなし』文チャン チョルムン、絵 ユン ミスク、訳かみやにじ、岩波書店、2009年。


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(541)アルフレッド・戦争はイヤだ!

アルフレッド―
女将さん、落ち込んでますね。

三太―
うん、おかあ、年末に、年賀状の準備しながら、『天子蒙塵』ってえ本読み始めてた。
だいぶ前に書いたことがある、『蒼穹の昴』の続きだ。(※1)
お目当ての美少年「蘭琴」は早く去っちまったが、『天子蒙塵』には、美形の貴公子・張学良が登場したんで、おかあ、喜んでたんだけど…

おかあ―
正月早々、或る国が、宣戦布告もなしに、移動中のよその国の要人を殺した…(※2)
<人を殺してはいけない>って、一番あたりまえのことだと思うんだけど…
ふと、気づいた、移動中の張学良のお父さんを殺したのは、宣戦布告もなしに次々に戦争をしかけていった日本だった。
『天子蒙塵』を読み続けられなくなった…

三太−
言葉が出ねいおかあに代って、おら、くり返す。
「戦争はイヤだ!」
イヌ年にゃ13才だった、今、15歳。

※1 浅田次郎作『蒼穹の昴』シリーズ。
   テレビ放映を「(186)三太日清戦争、(187)三太1937年」で紹介しました。
※2 「米軍、イラン革命防衛隊幹部を空爆で殺害 高まる緊張感」2020年1月3日 13時01分『朝日新聞』デジタル




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(540)アルフレッド・猫との人生6


アルフレッド―

お正月ですね、女将さん、今年の机上展覧会のテーマは?

女将−
今年は「ネズミ」。
わが家では、「ねずみは福の神」。何ドシだろうと「福の神」。(※1)
で、昨年にひきつづき、今年も「ねこ年」でいきます。
「ねこ年」派の同志から、猫の写真が寄せられているし。
今日は、「もも」ちゃんに代表で登場してもらいます。(※2 写真)



*******************

「猫との人生6」       猫のこまる君のおふくろさん

 要領がいいといえばこんなこともあった。姉の一人が2階の部屋でカナリアを飼っていたが、小鳥にとって猫は天敵だから、ミイの入室は厳禁だった。わたしが姉の部屋に遊びに行くときは、ミイは殊勝げに階段の下で待っていたものだ。ところがある日、カナリアがやられた。事件をわたしが知ったのは、高校の修学旅行先の京都で急性盲腸炎を起こし、手術、入院中に受け取った手紙からだった。当然犯人はミイということになったようだが、どんなお仕置きを受けたのか、詳しいことは分からない。かばってやることもできなかったが、大したこともなかっただろう。

 というのは、家族はみんな動物好きで、ミイはみんなのアイドルだったからだ。ミイが膝の上に居ると、お茶を淹れるとか、何かを取ってくるとかいう用事は免除された。動くことの少ない父の膝に居ることが多かったが、わたしが「おいで」といってもミイが応じないと、いい齢をした父が「嫌だって」と得意そうに言った。

 すぐ上の姉と妹との3人で布団を並べていた時期には、みんながミイを自分の床の中に呼び込もうとした。姉は煮干を布団の中に持ち込みさえして釣ろうとしたが、ミイは素知らぬ顔で枕元に座っていて、灯りを消すとすぐわたしの布団の中に入ってきた。気配りもできたのだ。


※1  「ゴローちゃんファンクラブ」23.太陽政策 〜 28.ネズミは「福の神」




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(539)アルフレッド 猫との人生5 

アルフレッド―
エミール・ゾラさんの叔母さんの家では、家の外に一歩も出さないアンゴラ猫に、いつも肉ばかりしかも血が滴る、極上の肉を出していたそうです(※1)。
アンゴラ猫は、閉じ込められている毎日にうんざりして、ある日、開いていた窓から抜け出して、屋根の上で出会った野良猫に導かれて、街へ……。
憧れの自由……しょぼふる雨に打たれて、猫殺しから逃れながら、空腹でごみ箱あさり……
一日で叔母さんの家に戻ってきたそうです。
ミイさんのように鼠を捕って自活しようとは思わなかったんですね。



猫との人生5」       猫のこまる君のおふくろさん

 古い大きな屋敷の天井裏には鼠が住んでいて、夜になると彼らが駆け回る音が聞こえた。猫の首筋をつまんでぶら下げて、脚をひっこめるのは鼠をとる猫、だらんとぶら下げる
のはだめな猫、と言うテスト基準に合格してもらわれてきただけあって、ミイは鼠をよく捕った。
鼠を捕ると必ずわたしのところに持ってくる。
それからひとしきり鼠と戯れるのだった。
パンチをくらわしたり、逃げるところを追いかけて、咥えて振り回したり、抛りあげたり、飽きることがなかった。
獲物を玩具にする動物は他にはいないのではないかと思う。
逃げ出した鼠が首筋からわたしの寝巻きの中にはいってしまったこともある。
ビートたけしが「万物創世記」という動物番組の中で「猫は飼い主のところに獲物を見せにくるというけど、猫にそんな気があるわけがない。あれは飼い主に獲物の捕り方を教えているんだ」と言っていたが、それならわたしは鼠捕りの名手になっていた筈だ。

 ミイの狩のために、茶の間の天袋の中の天井の羽目板が1枚ずらしてあった。
夜中に父がトイレに起きると、ミイはわたしの布団から這い出して、茶箪笥を踏み台にして跳び上がり、天井裏の見回りに行った。
お役目大事に励んでいるところを家長にアピールしていたのだろう。
でもその儀式はやがて茶箪笥に跳び上がるだけで終わるようになった。

なかなか要領もいい猫だった。


※1 2018 『ゾラ ショートセレクション 猫の楽園』エミール・ゾラ、平岡敦訳、ヨシタケシンスケ画、理論社。
  ★前号(538)アルフレッド 猫との人生4 は、挿絵が本文に重なってしまい、読めない方があったようです。 http://murakifile.noor.jp/m1/santa/santa.html でご覧ください。



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(538)アルフレッド・猫との人生4

おやじネコは縞模様』群ようこ、文芸春秋多摩おばさん−
三太くん、元気になってくれて良かった。(※1) 
年末、嬉しい話題、ありがとう!

アルフレッド―
ミイちゃんの頃、つまり70年くらい前の日本では、飼猫は自給自足だったんですか?(※2)
飼うからには、基本的な食事は飼主が供給するのだと思うんですが―

三太−
2010年頃、群ようこさんのマンション最上階には、飼猫「しいちゃん」にくっついて外猫「しまちゃん」がやって来るようになった。(※3)
体はずんぐりと大きく、こげ茶と黒の縞柄で、顔がでかいわりに目がとってもちっこい、「おやじネコ」。あちこちの家で食べ歩いてる。
しいちゃんが一日、一缶も食べないのに、しまちゃんは最低四缶、最高六缶は食べる日々が続いて、キャットフードを購入しているインターネットのサイトから、
 「一年間のご購入金額が十万円を超えました」ってメールが来たって。

おかあ―
キャットフードに10万円! 気絶しそう・・・
猫のこまる君のおふくろさん、なんとか言ってよ。

猫のこまる君のおふくろさん−
ミイの食生活について質問がくると思っていました。
もちろん、猫缶というものはなく、出入りの魚屋さんがもってきてくれる魚の「あら」が主食でした。
まだ御用聞きというものが機能していて、品物は配達され、勝手口の壁にぶらさがっている「大福帳」につけられた代金を多分月ごとに払っていたのでしょう。
配達の自転車が裏門でキイっと停まる音がするとミイは勝手口にとんでいきました。
そしてなぜか魚屋さんに向かって「ウ〜」と唸り声を出すのです。
配達される魚も自分で捕った餌だと思っていたのでしょうか。
早く寄越せと威嚇していたのでしょうか。
とにかくミイには野生的なところがありました。
その娘のチビ以降代々の猫たちには全く見られないような。


※1 (537)アルフレッド 激動の一年 
※2 (535)アルフレッド 猫との人生2
※3 『おやじネコは縞模様』群ようこ、文芸春秋、2012



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(537)アルフレッド 激動の一年

三太が突然「拒食」し始めた日からちょうどまる一年たった。

一年前、冬。
食べない。食べようとしない、みるみる痩せてきた。(※1)
ガリ痩せして、足を踏ん張る力も弱まって、散歩に出てもヒョロヒョロ、とぼとぼ・・・
「なんでもいいから、食べるものを食べさせる!」
試行錯誤の毎日、ドッグフードを少しずつ取り合わせてみたり・・・
春が過ぎ、夏の盛りには、体重も戻り、動きもよくなった。
秋、9月初め、歩かなくなった、「哲学!」(※2)
哲学と綱引の秋。
12月。以前の3分の2くらい歩く。

激動の一年をふりかえる−
一年前、拒食の寸前と比べると、一日三食→一日二食。
つまり、食べる量は3分の2、体重は元通り、10?。
献立は、おかあ手作りの三太めし(またの名「犬まんま」「雑炊」)とドッグフード。
いつのまにか、フレンドリーな犬になっていた!

三太―
朝、おかあにひとしきり、マッサージしてもらう。
逆鱗に触れられてもちょっと唸るだけにしておく。反射的にガブった瞬間湯沸かし器と同じ犬だとは思えない、っておかあ、感激の日々。
毎日、おかあ、新聞ボックスと座卓の下に、おらのベッドを用意する。おら、気分次第でメーキングし直す。
玄関で、ドアをカリカリひっかく、おかあが飛んで来てドアをあける。
庭のあちこちに掘りくぼめた『三太窪』で、気のむくまま過ごす。
ドアの外で「くぅ」と鼻を鳴らす、おかあが飛んで来てドアをあける。

平和共存の日々。
ヒトの世界もかくあれかし。

※1 (523)アルフレッド・箸使い    新メニュー「天ムス」
※2 (532)アルフレッド 黒猫(3)   哲学−犬はなぜ歩くのか?


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(536)アルフレッド 猫との人生3

 猫のこまる君のおふくろさん

 ミイは凛とした猫だった。
お産のときも、古新聞入れに籠もって新聞紙を細かく食いちぎり、自分で産褥を作った。悪露(おろ)もきれいに舐めとって跡を残さなかった。
 寒い夜は、そこから子猫を1匹ずつくわえてわたしの寝床の中に運んできた。
一度わたしの布団の中で産んでしまったことがある。なんだか生暖かい感触と匂い、子猫たちの丸い頭がうごめいていたことは憶えているが、不思議と詳細は思い出せない。

 あぶれた牡が子猫を食い殺しに来たこともあった。
学校から帰ると、縁側に子猫の手足がちらばっていた様は、今も鮮明に思いだす。
後にテレビで、あぶれた牡ライオンが同じことをするのを見た。子どもがいると雌が発情しないからだ。
どこから見ても「しっかり者のビジン」だった彼女だが、ふすまの陰に座っていて通る人の脚をひっかく、という奇癖があった。

 動物嫌いの甥は、これが怖くて祖父母の家に来られなかった、と後で話してくれた。
わたしもやられたことがあるから、人を選んでいたわけではないだろう。
優等生の秘かな愉しみだったのだろうか。



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(535)アルフレッド 猫との人生2

「猫との人生2」           
 猫のこまる君のおふくろさん

 運よく何匹かの子猫が助かって子育て始まると、わたしたちの勉強部屋は子猫の運動場になった。
狩りの訓練なのか、ミイは自分の先の曲がった尻尾をくねくねと動かし、子猫たちがそれに飛びついてじゃれつくに任せた。
ミイが障子に率先して駆け上がると、子猫たちが後を追って駆け上がり、鈴なりになっている様は見ものだった。
子猫たちが大きくなると、本物の鼠を捕ってきて子猫たちの前に置くこともあった。
自分は脇に控えて子猫たちがどうするか見守る。
鼠が逃げ出しそうになると、ちょいと手を出して押し止めるのだった。
訓練用にはちゃんと仔鼠を捕ってくる賢母だった。
 ある時、仔鼠が手にはいらなかったらしく、大きなどぶ鼠を持ってきたことがある。
子猫とみて侮ったのか、鼠はくるりと向きを変えて子猫たちに立ち向かってきた。
そんな時はすかさずミイのお出ましとなったのである。
当時の猫は、捕ってきた鼠を食べました。




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(534)アルフレッド 黒猫(5)   

三毛猫ホームズの謎』編・三毛猫ホームズ研究会
トット、トットと、三太が歩く
てくてく、てくてく、おかあが歩く
渡りおえてから気がついた、「哲学橋」を哲学しないで渡ってた
2か月ぶりに歩いた丘の上コース、あの家この家、解体中。
綱引しないで、帰りついたらメールが来てた

猫のこまる君のおふくろさん―
前回の「猫との人生」の挿絵は違うよ〜。(※1)
夢二の猫ではなく、夢二描く美人のような猫と書いたでしょ。
それにあの猫は三毛猫じゃなくきじ猫です。


おかあ―
あ〜あ、やっぱり、「違うよ〜」って言われちゃった。
弁解―
夢二のノートの猫たちを見まわしたら、黒猫を抱いてる美人が見当たりませんでした。
ので、ミイちゃんを思わせる三毛を探したけど、満足できる三毛はいませんでした。
ので、「しましま猫だけど、色合いからすると三毛」だと思う絵を載せました。
でも、「しましま」じゃなくって「きじ猫」っていうのかな。
手元に、た〜くさん、ストックしてきた猫の画像を見直したんだけど、三毛猫って少ないんだよねー、なんでだろう?

猫のこまる君のおふくろさん―
三毛は日本猫で「絶滅危惧種」です。
とくに三毛のオスは昔から珍重されて、船乗りが連れて行ったそうです。
白地に黒と茶色がべたべたと貼りついたような、あまり美しい毛並みではないから、絵にならないんでしょう。
ミイは白が多く、背中の一部と尻尾が三毛でした。


若いころ、三毛猫を飼っていたプライドにかけて、おかあ―
三毛は美しいですよ、まだら模様があるからこそ、絵になりやすいと思う。

日本で最も有名な三毛猫・ホームズのプロフィールを探す。
「ほっそりとしなやかな体つきで、毛には絹のような光沢があって、実に艶やかである。背はほとんど茶と黒ばかりで、腹のほうが白い。前肢は、右が真っ黒、左は真っ白だ。」って。(※2)

※1 (533)アルフレッド・黒猫(4)
※2 2012『三毛猫ホームズの謎』編・三毛猫ホームズ研究会、
角川書店、2012年、p.54「図解」より。カラーの図は裏表紙より)




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(533)アルフレッド 黒猫(4) 

三太―
毎朝毎晩、おかあと、綱引と哲学を続けている。

「ワレモコー」さん―
「情報ファイル」いつもありがとうございます。
三太、まさに今のわたしです。
歩く量は半分に我が身の筋肉もきっと
減り続けているような、増えるのは体重のみ、何とかしなければです。


おかあ―
ワレモコーさんにも言われちゃった、歩きなさい! 
爪のお手入れにもなるんだから。
犬はどうして、体のケアに無関心なのかねえ、
猫は、しょっちゅう自分で体を舐めて綺麗にするし、
爪が伸びれば自分で削るのに―

というわけで、「猫との人生」はじまり、はじまりィ〜
* 2019.8.24三毛猫(夢二郷土美術館、猫ノートより)

  *   *   *   *   *   *   *   *

猫との人生」       猫のこまる君のおふくろさん

 わたしが子どものころうちにビジンの三毛猫がいた。
父がいつも「ミイは夢二の絵のようだ」と言っていたのだ。夢二には美人が黒猫を抱いている絵があるが、その猫ではなく、夢二の描いた美人のようだというのである。(↓図)
三毛猫(夢二郷土美術館、猫ノート
 父が農家の出身だったせいか、うちにはいつも猫がいた。昔の農家は鼠対策に猫を飼っていたのだ。
 わたしは赤ん坊のときから猫と一緒に育ったらしく、「康子がはいはいして猫のご飯を食べちゃった」と姉から聞いたことがある。
ミイは一緒に暮らした3番目の猫で、わたしが小学校5年生のときうちにきた。
 なぜかわたしに一番なつき、わたしがトイレにはいっていると前で待っているので、大家族の中で誰が今トイレにはいっているか一目瞭然だった。
 
 猫でもビジンはもてるらしく、シーズンになるとうちのまわりで牡猫たちが壮絶な闘いを繰り広げた。
 月夜にミイが屋根の上から冷ややかに彼らを見下ろしていたのを覚えているが、それから忽然といなくなった。
わたしが「ミイがいない」と泣きじゃくると、焼け出されてうちに同居していた中川さんのおばあさんが八卦をみて、「大丈夫、きっと帰ってくる」と請け合ってくれた。
  1週間くらいするとほんとに彼女は帰ってきた。痩せて、汚れてよれよれになって。
そのようにして何回も子どもを産んだ。1回に3〜4匹産むのだから貰い手をみつけるのがたいへんだった。
まだペットの避妊手術などない頃で、わたしは必死に貰い手を探したが、予約のつかない子猫たちは、母が「目のあかないうちに」と庭に生き埋めにした。

  
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(532)アルフレッド 黒猫(3)

三太―
おかあが、「歩け、歩け」って、やかましい。
おら、9月に入ったころから、あまり歩かないからだ。
それまでの10年以上の散歩コースいくつもの、どれも行く気にならない。
おかあは、今までの半分くらいしか歩いてない、って文句言う。
食べる量も半分くらいだから、収支は合ってる。
ふと、足が止まる、哲学する−そもそも、犬はなぜ歩くのか?

おらの体重測定したおかあ−

10?超! 太り過ぎ!
歩かないと足が弱る+体が重い→運動不足×肥満→足が弱る… の悪循環。
歩きなさい! 

三太―
哲学してるおらを、おかあ、強引にひっぱる。綱引じゃおらは勝てねい。
今朝は、久しぶりに、遠出して『中学周回コース』につきあってやった。
おかあ、機嫌よく帰宅したら、メールが来てた。

猫のこまる君のおっかちゃんのおふくろさん−
三太くんのオカアさんから岡山みやげに夢二の描いた猫の表紙のノートを頂いた。
でも、いつものことだが、ただではすまない。
何かコメントを、とのこと。
猫のことならコメントはいくらでも書けるので喜んで引き受けた。

三太―
名前があんまり長いんで、短く「猫のこまる君のおふくろさん」って呼ぶことにする。
おいら、こまる」 を2006年に書いてくれて以来13年ぶりで書きおろしてくれる「猫との人生」だ。
次号からのお楽しみ。


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(531)アルフレッド 黒猫(2)  

アルフレッド―
女将さん、今年の「恒例夏の家出」はどうだったんですか? 報告がないようですが。

女将-
それがねー、今年はねー、ミナコさんが、どうしても家出してこられなくて、年に一度の「七夕様」デートができなくて、寂しかったもんで。(※1)

アルフレッド―
なるほど。
で、どこへ行ったんです?

女将(=おかあ)―
岡山県瀬戸内市、岡山市の東隣。
瀬戸内市って、竹久夢二の出身地なのね。
『竹久夢二 殺人の記』(※2)って本もあるんで、読んでみた。合併で瀬戸内市になってる牛窓町が舞台。
牛窓行きのバスにも乗った、牛窓直前の、岡山市東端のバス停で降りちゃったけど。
「竹久夢二美術館」は東京にあるけど、岡山城のすぐそばには「夢二郷土美術館」があるんで行ってみた。
黒猫!
夢二の絵から抜け出た?
肉球もまっ黒の福猫「黒の助」、郷土美術館の中庭で「お庭番」を勤めてるんだって。
気まぐれ出勤だとかで、私が行った時には逢えなかった。
で、ショップで買ってきたノートとファイルケースがこれ(→写真、※3)
イヌ年の昨年の家出では、青森県鯵ヶ沢で真っ白な秋田犬の「わさお」君ノートを買い(※4)、ネコ年の今年は真っ黒な猫の「黒の助」ノートを買ったわけ。

アルフレッド―
今年は、むらき家では「ネコ年」でしたね。(※5)
「黒の助」ノートは、自分で使うんですか。

女将―

猫のこまる君のおっかちゃんのおふくろさんにプレゼントした。いろいろお世話になってるんでね。
ところで、『竹久夢二 殺人の記』読んで、違和感覚えるのは、登場する女性たちの言葉遣い。
十津川警部に質問されて答えるのに「ありませんわ」「いましたわ」「…ですわ」。
中年の専業主婦だけじゃなく、美術館長も「いませんわ」とか言う。
昭和戦前の小説ならともかく、昭和戦後から平成の暮らしのなかで、「……わ」って聞いたことがない。警察官に対して職務上応対するのに「……わ」なんて言うとは思えない。
西村さんって、1930年生れ、戦前文化なのかな・・・

    


※1 ミナコさんとの七夕デート (496)アルフレッド・狛犬さん む 
※2 2001『竹久夢二 殺人の記』西村京太郎、講談社ノベルス
※3 「黒の助」はこちら→ https://yumeji-art-museum.com/kuronosuke/
※4 鯵ヶ沢町特別観光大使の「わさお」(497)アルフレッド・狛犬さん う
※5 福島県のミユキ家とむらき家では、2019年は猫年にすることにしました。従前からいつも猫年という猫派読者もいます。 
    (509)アルフレッド・狛犬さん あ   (511)アルフレッド・狛犬さん き、  (514)アルフレッド・狛犬さん み



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