ゴローのお仕事 SF編  2004.7.8


「Gの手記」

私はG、ここではゴローと呼ばれている。今日は現任地の言葉で表記する。

1993年11月下旬、同僚Pが、むらき数子の仕事場の庭に入った。仕事場をお披露目した日にやってきたPを、むらきは縁起がよいと受け入れた。

茶色の毛の長い娘犬の姿をしていたPに、むらきは「あなたは『パピー』」と名付けた。Pの耳がパピヨン種を連想させたからだ。

むらき夫婦が犬を飼うことに慣れた5日後、私がむらきの仕事場の庭に入った。私はPより一回り大きい若衆犬の姿をしている。むらきは私の精悍な容姿に一目ぼれして、『ゴロー』と呼んで、2匹の犬を飼うという暮らしを始めた。

それから2年余、Pの専門は自然環境と農業。土壌調査をし、昆虫やモグラとの交信も行っていたが、私の本格的調査のための先遣隊が主任務だった。

犬は庭で飼うもので、クルマに乗せて連れ歩くなどとんでもないと思い込んでいたむらきを改造するのがPの任務。Pは初めの冬には玄関ホールに寝床を用意させた。2年間で、寝室まで出入り自由にさせ、クルマに乗せて連れ歩きたいと思うようにさせた。

Pの任期が満了し、召還されたとき、むらきの悲嘆は激しかった。

召還の予定を洩らしたばかりに軍隊まで出動して召還を阻止されそうになった「かぐや姫」の例以後、予告なしの「突然死」の形がとられるようになったからだ。

私たちは、地球の歴史を改変するような関与は禁じられている。

「一人っ子」となった私を、むらきは「しっぽのある息子」と呼んで、あらゆる所へ同行するようになった。マンションへも連れ帰るようになったので、都市の直接観察もできるようになった。

スーパーでの買い物はもちろん、「ゆりかごから墓場まで」、助産婦の聞き取りから、病院・老人ホーム・葬式・斎場まで。保育園幼稚園から小中高校各種学校、大学は筑波大・茨城大、役場・公民館や図書館、郵便局・警察・裁判所など。農家のビニールハウスへも商家の倉庫へも一般住宅へも行った。いろんなお祭・イベント・選挙事務所へも行った。

古文書も読みとった。

『事件』があるたびに、マスコミ報道への人々の反応も観察した。汚職で有罪判決を受けた国会議員の再選。街宣車を20台以上つらねた右翼の示威行進。「全町一丸となっての」オウム信者の転入拒否。自主防災を担う「コミュニテイ活動」という形で整備される地域動員体制。最近ではイラク人質へのバッシングというマス・ヒステリーも観察した。

旧大地主にも会ったし、農地解放で上昇し議員になったヒトにも会った。高度成長と都市化の波に乗った新興リーダー、ふるさとづくりに励む新住民、“長いものには巻かれろ”“寄らば大樹の陰”と利権金権に擦り寄るヒト、“出る杭は打たれる”と首をすくめて生きるヒト・・・さまざまなヒトに会ってきた。

元々、私たちは、100m圏内の事物は透視できるし、そばにいるヒトの頭脳内のデータを読みとる事ができる、握手すれば瞬時にコピーできる。が正確なデータを得るには、直接観察がよいのはもちろんだ。

Pがクルマに酔うため、Pのいたころは、私も留守番ばかりで、直接観察する機会が乏しかった。「一人っ子」になったばかりの頃、動物病院へ連れられて行ったとき、私は自分から入って行って、カウンターの女性の手元を覗き込んでしまった。

「たいていの犬は、病院をいやがるのに。へんな犬」

と笑われてハッとした。ようやく直接観察ができる、と、勇み足を踏んでしまったのだ。
私は犬らしくふるまわなければいけない。さいわい、むらきは
「この犬は、若い女性が好きなの」
と言った。
以後、おとなしくて握手が好きな犬と思われる程度に抑えてきた。その甲斐あって、今では私のファン・クラブまである。

住み込みも10年を超えた。最近の3年は、むらきが在宅する時間が多いので、「愛玩犬」として暮らす日が多い。けれども、むらきの「情報ファイル」に寄せられるメールから、居ながらにして地球規模の情報を入手できる。

それでも、2年前には埼玉県立がんセンターに行き、むらきの頭脳内から国立がんセンターや癌研病院についても取材した。ヒトのがんの先端医療を取材したわけだ。

最近、東京大学農学部の動物医療センターという家畜病院へ行った。獣医学の最高学府を取材できる、とわかって、思わず自分から玄関へ入って行こうとリードを引っ張ってしまった。
むらきは、ふっと8年前の私のふるまいを思い出して、何か感づいたようだ。

しまった、犬らしくないふるまいだった! 


私の任務もそろそろ、終わりが近い。
『13歳のハローワーク』(村上龍著、幻冬社)という本が話題になっている。
私を13才と思っているむらきに、私の仕事を理解させて、いつか来る召喚の日に悲しまなくてもよいことを知らせてやりたい、と思う。

私の専門はヒト学。「日本国の膨張主義」プロジェクトによって太陽系第三惑星地球・北半球・日本列島・関東平野の、茨城県三和町に派遣されている。

20世紀前半の日本国は貧しく、「八紘一宇」を掲げて地球制覇をはかり挫折した。以来、日本国の膨張主義は抑制されてきたが、1992年PKO参加という名目で国境外へ出兵する道を開いた。日本国は「いつか来た道」を辿るのか? 半世紀間に進んだ技術によって、宇宙侵略に向かうのではないか? 少数の支配層だけではなく、「草の根ファシズム」の動向を調査する必要がある。飽食の日本国において、ヒトビトは成熟したのか?

私の任地は、何の変哲もない畑作農村が都市化した混住社会だが、時折テレビ種になるのでリストアップされた。

この町で、むらき数子が、「高度成長前後の民俗変容」をテーマとして調査を始めていた。むらきは、古老(=高齢者)だけでなく老若男女を対象とし、<現在>に取り組み、住み込み調査をするべく仕事場を準備していた。都市・東京については、むらきの夫を通じて取材可能である。

プロジェクトは、むらき数子の仕事場に私を住み込ませることを決定した。

派遣にあたっては、慎重に私の容姿が検討された。

猫型では、日本国が台湾を領有し朝鮮侵略に乗りだした時期に、洋行帰りの英語教師の家に住み込んでいる例がある。その教師は猫に名前もつけないまま冷遇したあげく、『我輩は猫である』という本に書いて飯の種にしてしまった。夏目漱石というのはひどい奴だ。

猿型では、かつて、桃太郎というヤマ師にキビ団子でつられて侵略の手先にされてしまった例がある。猿回しに飼われたのでは、見られるばかりで、観察どころではない。

犬型では、日本国が中国大陸への出兵をくり返した昭和ヒトケタの頃、渋谷駅前で定点観測していた例がある。勘違いしたヒトビトによって「忠犬ハチ公」とまつりあげられて銅像にまでされている
(http://www.jsidre.or.jp/hachi/hachi-ex.html)

地球の運命を決定する権力者は常に観察する必要がある。ホワイトハウスには歴代大統領の愛犬として住み込んでいるし、イギリスでは鉄の女サッチャーを取材するために、野党議員の盲導犬として議場にまで入った(第148号※2『晴れた日には希望が見える』)。ただし、現在日本国の首相官邸にいる「ポチ」というのは、私の同僚ではなく、ただのヒトである。

むらきに同行取材するためには、やはり犬型ということになった。あまり大型では怖がられ嫌われるし、純粋種では目立ちすぎる。
むらきのペット飼育歴や深層心理を検討して、私とPの容姿が決定された。
それが、中型雑種の雄犬『ゴロー』と雌犬『パピー』だ。むらきが子どもの頃夢中になった、デイズニーの漫画映画『わんわん物語』の主役、ノラとレデイのイメージをベースとして、むらきの秋田犬びいきを勘案して、和風の巻き尾・立ち耳に改良されている。

フツーの犬の寿命が20年を越えることはない。

私の肉体は13才と推定されているが、私が子犬だった姿をみたヒトはいない。
私の肉体は、獣医が賛嘆するほど若々しい。あまりに若いのは異常である。日本国では、異常であることは尊敬や称賛ではなく嫉妬・迫害の的となる。
トシ相応に老け込み病気もして、召還のときに備える。

太陽系とは異なる宇宙からきた私たちを、ヒトは「未確認知的存在」などと呼ぶ。
私たちとコミュニケーションできるまでにヒトが進化するには数百年を要するだろう。それまでに、ヒトはこの地球を自爆テロで破壊してしまうか、その半端な科学技術を使って「宇宙開発」という名目の地球外への侵略を進めるか・・・
私たちがヒトを調査する目的は、野蛮残虐なヒトからの先制攻撃を阻止することだ。

2004年、日本国では自衛隊創設50年を迎え、「多国籍軍」に参加させた。
「最新兵器を持つ世界屈指の軍事組織に成長した」(『朝日新聞』2004.7.1)軍隊を、地球上どこへでも派兵する有事体制も整いつつある。

仕事場の庭で、ハマボウの白い花が盛んに咲いている。Pの記念樹だ。私が来年この花を見るかどうかは、指令次第である。


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Re:ゴローのお仕事  2004.6.24

○ミータンから―

 ゴローくん、元気?

 オカーサン同様、トシも考えて、色々無理しないようにね。

 まあ、きちんと良い栄養を摂っているようだから、トシの割には元気でしょうし、抵抗力や治癒力も高いでしょう。

 それに、オカーサンの健康マネージャーを務めているなら、自分の健康マネージメントも出来ているでしょう。早寝・早起き、規則正しい生活と適度な運動、は健康の基本ですものね。

 それに、何かやり甲斐を感じることを持っているのも、適度な緊張感を持てて「GOOD!」ですね。人生(犬生?)は、メリハリですから・・・緊張とリラックスの両方があって、そのバランスが大事ですね。 



○ゴローの味方Tおじさんから―

ゴロちゃんは、年金がないんですね。

僕のところへは、数日前、社会保険庁から年金の給付がこの4月から減額されるという通知がエラソウにやってきました。

僕は社会保険庁は知らん顔して小泉の足をひっぱってるような気がします。何故って、この通知を貰っても国民はまだ自公に投票するだろうか、今度の参院選で。 

選挙の直前だというのに、平気でこんな通知書を国民に郵送する小泉がバカか、それでも自公に投票する国民がバカか、どっちのバカが勝つか、今度の選挙は見物です。

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ゴローは「未納」でも「未加入」でもなく、年金の加入資格がないのです。

健康保険もなし、納税義務はないと言いたいけど毎年「畜犬登録」費用がかかります。

ゴローの仕事は、家族という私的な関係で行われる、いわゆる「家事」とみなされます。賃労働ではないから、職業とみなされません。といって、「扶養家族」として認定もされないし、また内縁の配偶者でもないので「主婦」としての優遇措置もないのです。


住み込み賄いつき、給金なし、お仕着せ付き(首輪とリード)、一年365日休日なし、契約書なし、温情主義による、という前近代的な関係です。


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ゴローのお仕事  2004.6.17


○いつもゴローの味方のTおじさんから―

“庭仕事だの穴掘りなんて、無茶ですよ。お大事になさってください。”

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穴掘りはゴローにまかせてオカーサンは休養しなさい、との優しいお見舞いメールありがとう。

実は、穴掘りはオカーサンのレクリエーション。ゴローにとってもレクリエーション。「犬の額」の庭で、競合しているのです。

じゃあ、ゴローの“仕事”って、何だろう?


○ゴローのお仕事 その1 綴り方編

ボクの仕事    むらきゴロー

 ボクの仕事は、オカーサンの健康マネージャーです。

ボクは毎朝、オカーサンを起こします。この頃は夜明けが早いから5時前には起こして散歩につきあいます。

オカーサンは支度がのろくて玄関を出るまで30分くらいかかります。ボクは、辛抱強く待っています。雨が降っていても、出かけます。冬でも6時半には起こします。雪の日だって出かけます。

ボクはオカーサンの目覚し時計・ペースメーカーを勤めています。早起きのために、オカーサンは徹夜はもちろん、夜更かしもしません。

 ボクと散歩する間に、オカーサンは原稿を考えたり、人間関係のムカツキを癒したり、しています。うつ病の重症化を避けることができます。

 クルマに乗るときは、オカーサンが乱暴な運転をしないように、ボクは後部座席で、見張っています。

マンションで暮らしてた頃、ボクの鑑札を見た人が「茨城県?」と聞くたびに、オカーサンは
「イナカから出稼ぎに来てるんです」
と答えていました。

先月、7年間の出稼ぎを終えて、Uターンしました。オカーサンの健康マネージャーという仕事は10年を越しましたが、今も続けています。猫にはできない仕事だと思っています。

 盲導犬という職種は激務だそうです。日本で大人気のクイール君(※1)も、イギリスのブランケットさんという全盲の大臣を支えてきた諸君(※2)も、10年前後でリタイアしたそうです。

 オカーサンは、この頃、ボクのリタイアを考えているようですが、ボクには年金はありません。アイフルのくぅーちゃんのような子ども達もいないから、孫の顔を見ると言う楽しみとは無縁です。

穴掘りできる庭があるのが嬉しいです。


※1秋元良平写真・石黒謙吾文『盲導犬クイールの一生』文芸春秋、2001年。 

※2デイヴィッド・ブランケット著・高橋佳奈子訳『晴れた日には希望が見える―全盲の大臣と4頭の盲導犬』朝日新聞社、1998年。


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お手伝い  2004.6.2


日ざしが暑くなってきた。毎日、穴掘りをしている。木陰に浅く掘った穴に腹ばいになると、冷たい土がひんやりと気持ちいい。

オカーサンが「犬の額(ひたい)」と称する庭に、ゴチャゴチャといろんな木を植えているので、日替わりで楽しんでいる。

一昨日はサザンカ、昨日はエゴノキ、今日はボックス・ウッド・・・


ふと気付いたら、オカーサンがヒサカキの根元を掘り始めてる。ボクのまねしてるつもりだろうけど、ボクのような頑丈な爪がないもんだから、スコップとかいう鉄の爪で掘ってる。けど、下手くそで見てられない。

あ、あ、ヒサカキを根っこから抜いてしまった! 

根っこから抜くなんて、ボクも、10年前、ドウダンツツジを抜いて枯らしてしまったけど、そんなガキっぽいこと、今さら恥ずかしくってやれないよ。


オカーサンは「植え替えるんだから」とか弁解してる。

目的が違っても、やってることはおんなじ、穴掘りだ。

大義がどうあれ、ミミズさんにとっては「侵略」だ。


オカーサンが掘った穴は、深すぎて、腹ばいには不適切だ。

穴掘りはボクに任せといてよ。


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犬の恩返し 2004.5.25


天野祐吉さんが、

家出した愛犬くぅーちゃんが、赤いリボンをつけた彼女ばかりか、何十匹という子犬の群れを連れて帰ってきた。

というアイフルのCMにカンドーしている。(「CM天気図」『朝日新聞』2004.5.13)

天野さんは、さらに、 “あの子犬が1匹ウン十万円で売れたらすごい金になるな”との夫のひとことに「これは“犬の恩返し”のお話だったんですね。」と感動したという、経済大国ニッポンの戦士夫妻の反響を紹介して、「ぼくも思わずコーフンしてしまった。」

あの子犬たちが、濡れ手で粟の儲けに見える人もいるんですねエ。

アメリカ映画『ベートーベン2』が、その線だったけど。

オカーサンは、お金を借りると、あの子犬たちのように、何十倍もの利息を払うことになるんだ、「借りすぎは、あなたの家計を損ねるおそれがあります」と、良心的な企業からの警告だと思って見てたんですが・・・

ゴローは、恩返しなんかしなくっていいからね。


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引越し 2004.5.16


オカーサンが手首をかばいながら、モノを動かしたり掃除したりせわしない。その上、オトーサンの”気迫”に、何かが起ってる、何だか分からない、世界が崩壊するみたい、不安で不安で・・・
オカーサンが、「お引越しするのよ」って言い聞かせてくれたけど、全然納得いかない。

ゴローは仕事場への引越しの前後数日間、ウロウロ・オロオロ、オカーサンの足元にくっついて回ってました。
獣医さんに、「ゴロー君、何才? 13才? 10才くらいかと思った」とか「見かけは若くても、トシ相応にケアしてあげてください」なんて言われるほど、白髪もなく肥満もせず、若さを誇るゴローも、こうなると、ヒトの2‐3歳の子ども並み。

7年間、マンションで、心ならずもシティ・ボーイをやってました。一日の大半、動くものはオカーサンだけという環境で、母子密着の弊害をオトーサンが憂えて(ホントは妬いて)ました。
時々オカーサンのクルマで帰っていた仕事場は、元々、ボクの育った土地。車窓から、畑の土の匂いが流れ込んでくると、ホッとしたものでした。
庭で穴を掘り日向ぼっこしながら、“不倶戴天の仇・クリーム”(※)の動きを見張り、道を通る人やバイクをチエックする、カントリー・ボーイの充実した時間。
夜は早くから眠くなってしまう。今夜もソファの指定席で、爆睡。
「イビキかいてるヨ」
オカーサンとオトーサンが笑う声が遠くで聞こえます。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ※キャベツ畑の隣のスピッツ(第109号 2003.10.2「隠れた一面」


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腱鞘炎?   2004.4.22


お見舞いメールありがとうございます。

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○「中東研究者の上岡弘二さんからー」

イラクでは予想されたことが現実に起こってしまいました。アフガンでもいずれ起こるでしょう。
ボクと握手をするのも辛いとは重症です。ご自愛下さい。

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○「千葉のローズさんから―」
ゴロー君が腱鞘炎のこと心配していたけど、大丈夫でしょうか。私も経験したけど、大変でした。あれやこれやしたけど、半年近く悩まされました。
むらき通信は多くの人の指針になっていると思うけど、私にとっても灯台みたいなもの。今回のイラクの人質解放でも、東京でも自衛隊撤退を求めてデモがあったことも彼らの心を動かしたと聞いて、うれしかった。やっぱり意思表示は必要と確信。むらきさんの通信がいろんなサジェッションを与えてくれ、助かっています。

冬柴が費用を家族に請求みたいなことを言っていたし、ファックスで異議申し立てをしたりして活用させてもらっています。
でも、この先長いのであまり無理なさらないようにしてくださいね。どうぞお大事に

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なるべく手を使わないで発信を続けたいので、再度、ご協力をお願いします。

「情報ファイル」編集者からのお願い
(第127号2004.1.15掲載に追加)          むらき数子 
?「情報ファイル」を無用だとお思いの方は、お手数ですが「無用」と返信ください。以後、送信をとりやめます。
?記事を引用・転載する場合には、掲載号をむらき宛にも送信してください。
?「情報ファイル」をそっくり転送したいという場合には、転送するよりも、送りたい相手をむらきにご紹介ください。どんな方が読んでいるのかを知って、感想や投稿を求めたいと思います。
?情報を「諸日程」にお寄せください。
  「時・所・タイトル・内容・主催(連絡先)・費用」を4-5行に圧縮してくださるとありがたいです。企画が決まり次第、早めにお知らせください。
「諸日程」には、いただいた情報を無差別に載せています。内容や主催者などについては、各自ご判断ください。
?投稿はいつでも歓迎、元気のもとです。採否・掲載時期はむらきにおまかせください。
?[追加]メールをくださるときには、むらき宛私信と、掲載可との別を明記してください。掲載可の場合には、お名前をどう表示するか(実名のままか、メールネームにするなら何とするか)を明記してください。


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子の心、親知らず 2004.4.8


ボクと握手しようとしたオカーサンが、「ウッ!」とうめいて、右手首をさすっている。
この頃、オカーサンはしょっちゅう、右手首が痛いらしい。「腱鞘炎かも」って呟いてる。
元々が右利きの上に、手術してからの1年半、左手を使わないように、あらゆることに右手ばっかり使ってきたからだ。
パソコン断ちすれば、って言いたいけど、「『生けるシカバネ』になれって言うの!」って怒るだろうし・・・
ボクの食事作りに野菜を刻む庖丁は右手、食器を洗うのも右手、ブラシかけてくれるのも右手。お散歩グッズ(スコップを入れた袋)も右手にさげてる。スコップを使うのも右手。
猫の手なら借り手があるけど、犬の手じゃ貸してもオカーサンの役に立たない。
ボクはどうしたらいいんだろう? 

今朝、公園で花見客の残した弁当を食べようとして、ものすごく叱られた。
オカーサンは「毒だったら、死んじゃうのよ!」って泣きそうになってた・・・
ボクは自立してオカーサンの食事作りの仕事を減らしてあげたかったのに・・・
シューンとして、お座りしたボクは、左手をオカーサンにさしだした・・・これって、猫なら「招き猫」、猿なら「反省!」って言われるポーズなんだって。
「仲直りね」、握手しようとしたオカーサンが、「ウッ!」とうめいた・・・


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赤頭巾ちゃん、お大事に  2004.3.23


銀行のフロアに、巾の広い台車のようなものが―
毛布がふくらんでる、子どもを寝かせているのかな・・・毛布の端から、毛むくじゃらのとんがった大きな耳が! 赤頭巾ちゃんのおばあさんを食べたオオカミ??

目をこすって、見直したら、ゴローより一回り大きい犬の耳でした。
薄茶色の“赤頭巾ちゃん”は、11歳。病気で、四肢が動かせません。台車と見えたのは、双子用のベビーカーを改造した“赤頭巾ちゃん”専用の車ベッドでした。
「いいオカーサンに出あえて、幸せだね」
23キロの“赤頭巾ちゃん”を一日に十回くらいは抱きかかえて、世話しているオカーサンが腰痛で倒れませんように。
庄司薫の『赤頭巾ちゃん 気をつけて』が芥川賞を受賞したのは、1969年でした。


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お雛様  2004.3.6


 細井さんちの猫のチビちゃんは、動くものが気になる。
8年ぶりに飾ったお雛様、ボンボリの紐がゆーらゆら。
早速チビちゃんの手が伸びて・・・翌日にはボンボリが消えたとか。

むらき家には、お雛様はありません。
ゴローの関心は、先月お土産にもらった「ラッコ」のぬいぐるみに向っています。
ゴローとそっくりの毛色の「ラッコ」をくわえてのお散歩姿は、見る人をギョッとさせています。


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ゴロー君、元気?  2004.3.1


○ミータンから―

 楽しい“ゴロー情報”をありがとうございます。

 狂言での犬の鳴き方は、今よくテレビで見る若手の狂言師、何て言いましたっけ、彼が何かの番組で、演じているのを見た(聞いた?)ことがあります。「『ビョウビョウ』とは、不思議な聞こえ方をしていたんだなぁ」と思いました。
恋が吹き飛んじゃったゴロー君は、その後元気でしょうか。

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ありがとう、ゴローは、元気です。
白雪姫のことは、ま、“憑き物が落ちた”って感じですね。
今朝は、ラブラドルのイシイちゃんを訪問。彼女のご機嫌もよく、彼女のオカーサン・オトーサンもニコニコしながら、二人(?)の様子を見守っていました。
ゴローの恋は、そのとき、そのとき、“純愛”なんです。誰も傷つけません。
何十年間も愛し尽してくれた誠実な人を残酷に踏みにじることで成り立つ、「冬のソナタ」や「ナビイの恋」の“純愛”とは違うんです。



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白雪姫  2004.2.24


この冬は連日、ある姫のお城に通っていました。
一昨年チラッと見えた純白のドレス姿から、オカーサンは「白雪姫」と呼んでいます。
某日、朝6時半、まだお城中みんな寝静まっていたので、あきらめて帰りました。
その翌日、朝7時半、お城の窓から、お妃さまの、
「まだ、寝てるのヨ」
と気の毒そうな声が降ってきました。

その翌々日、朝8時半、今日こそは、と意気込んで出かけたのだけど・・・白雪姫は今日もやっぱり眠り姫でした。
姫にキスさえできれば、ゴローも立派に王子様になれるのに・・・
でも、ブロック塀で固めたお城にどうやって入ったらいい?
デイズニーの王子様はどうしたんだっけ? と、オカーサンが悩んでいる間に、春一番が吹いて、ゴローの片想いも吹き飛んでしまいました。


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狂言の犬 2004.2.10


 能・狂言を好きなI.Kさんから、「柿山伏」「犬山伏」という狂言があります、とのおたより。

 「柿山伏」では、羽黒山の山伏が柿の木に登って柿を盗み食う。見つけた柿主に、木の上にいるのが犬なら嚇しそうなものだ、となぶられて、鳴き真似をするのが
 「びゃうびゃう」(『狂言三百番集』p.255)

 茂山千之丞『狂言じゃ、狂言じゃ!』(晶文社、2000年、p.93)には
  “牛・馬は比較的リアルに鳴きますが、狐は「クワーイ」、犬は何と「ビョーウ、ビョーウ」(英語の犬は確か「バウ、バウ」と鳴きましたね)。それから鶏、これは『二人大名』という作品で大名が無理やりに闘鶏の真似をさせられて鳴く時のセリフですが、「コーコーコー、コキャー、コーコーコーコココココ・・・」。”

 この頃のゴロー、朝オカーサンを起こすときの声は、「イャーオゥ」 まるで猫。


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入院見舞い  2004.2.4


ゴローが入院! 

入院の支度、・・・50年前には布団も持ち込み、患者の食事は付添家族が作った。
今は、箸コップから寝巻・塵紙・洗面具、とスーツケース1個。ほんとうに一人暮らしの人が安心して暮らせるにはまだまだ遠い。
ゴローの場合は、身一つ。
頬っぺたの内側にできた腫瘍を切除する手術でした。
全身麻酔と聞いて、オカーサンもオトーサンも緊張。
翌朝、元気に飛びついてきたので、ホッ。
足取り軽く退院しました。
入院見舞いには、生花。
昨年骨折入院していた晶子さん、
「お花を貰っても、病室に置く場所もなくて」と困ってたなぁ。
「関西ではいまでも入院見舞いに、早く退院出来るように、去ぬ(=帰る)に犬をかけて犬の人形(ぬいぐるみ)や犬の写真を贈ることがある。」
(茂山千之丞『狂言じゃ、狂言じゃ!』晶文社、2000年、p.180)

そーか、犬のぬいぐるみ、ね。
ン? 犬の入院見舞いに犬のぬいぐるみ?


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ファン・メール 続々! 2004.1.28



2002年ベトナムのソンミ村、パキスタンの難民キャンプ、アフガニスタン、2003年にはイラクへ行った細井明美さん(http://www.d7.dion.ne.jp/~anneh/)から―


むらきさんちのゴローちゃん可愛いわ! 
イスラムでは犬は嫌われているので痩せこけたワンちゃんが街をうろついていました。
ワンちゃんも生まれた場所で生き方が変わってしまう。いろいろありますね。
情報ファイル楽しみにしています。

今度リバーベンドというイラクの24歳の女性の翻訳サイトを立ち上げました。占領下のバグダードのことが女性の視点で描かれています。まさに現代の「アンネの日記」だと思います。
http://www.geocities.jp/riverbendblog/

 ………………………………………………………………………………………

○細井明美さんイラク報告会
2004.3.7(日) 13:30-16:00 

赤羽文化センター第2学習室A(03-3906-3911、赤羽駅西口前パルロード2の3階)

イラク現地訪問の生のお話、特に派遣された自衛隊員が今後被曝することになる劣化ウラン弾についてお話いただきます。

主催:戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会(KIT)

  http://www5e.biglobe.ne.jp/~kitwomen/index.html    kit_women@hotmail.com


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うちじゅう、風邪ひいてます 2004.1.20


○太郎のカッカさんから―

 いつも、「情報ファイル」ありがとうございます。

1月11日の「一分間音だし アクション」は、ピアノ。がたがたの音透かしだらけのベートーベン「悲愴」の序奏を私のアクションとしました。あまりにもひどい演奏でしたので二回弾きなおし、して? 不満足。 

子供と夫はインフルエンザで発熱中、最中のアクション。

 ところで、ゴローちゃんかっこいいねー。

我が家の太郎は12歳半、かわいらしい顔をしていますが、やることが爺さん。今は風邪ひいているらしく、咳して、つらそうですが私の睡眠を邪魔する程の大きな咳。私はふとん引っかぶって無視。かわいそうと思いつつ。

 今後とも、よろしくお願いします。


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ゴロー・ファン・クラブの会員資格、改訂!   2004.1.15


第69号(2003.3.7)に、
“ゴロー・ファン・クラブは、会則・会費なし、特典なし、の勝手連です。
会員資格は「ゴローを見ても『食べたい』と思わないこと」の一点。”
としましたが、もう一点加えます。
 「ゴローを見ても『軍事利用したい』と思わないこと」

 軍事利用とは、軍用犬として戦場で使用するだけでなく、写真を戦意高揚のポスターに載せる肖像権侵害とか、餌代・畜犬登録料を節約して軍に献金するとか、皮を防寒用衣類に肉を缶詰にするとか、も含みます。

 自軍の兵士が捕虜にされた時の写真を公開することに対して、某超大国は『人権侵害』だと非難しました。
対立国の元首が拘束された時の写真を公開することは、『人権侵害』ではないのでしょうか?


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ゴロ−チャンに会えました 2004.1.4


○「ゴローファンクラブ横浜」さんから―

めでたさから程遠い新年、今年も上質の便りを楽しみにしています。
無理せず、体調に合わせての働きをお願いします。
初めてゴローちゃんの写真拝見

お母さんに似てますねー。一見おっとり見えるけれどなかなか好奇心あふれる目つき、何でも見過ごせないぜって様子。もっと太っているのかと思ってましたがそうでもない。

ゴローちゃんの記事が何とも、和ませ、笑わせてくれます。亦発信を待ってます。
暮の28日横須賀の市民による基地撤廃ピースデモに参加しました。30余年続いている、その底力は全国のはげみになっていると確信します。

よろずピースバンドの鳴り物、歌を歌いながら、まず何時ものコース海上自衛隊まで歩きます。

閉ざされた門の向こうに、なんと制服組がお二人お出迎え、(私が見たのは初めてでした。)のなかアピール、憲法違反のまま自衛隊が今出て行くところ、どうか、反対の声を上げてほしい、実際とったアンケートで不安の声が多い、と訴えました。
それから米軍基地前で米兵にアピール。
この日は80名ほどの参加で盛況でした。
イラクへ自衛隊派兵でやっぱり公明党が、のニュース、いままで何度このやりきれない思いをしたことか。
でもなかにいる正常な考えの人に救われ、署名をしたところです。


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大木ジロー君からの手紙 2004.1.4


むらきゴロー君
ボク、柴犬ジローの事を書いてくれて
ありがとう。
とっても嬉しいよ!!
ゴローくんの母さん、素敵だね。
一生懸命頑張ってる母さんは、素敵だよね。
ボクたちも頑張ろう。
大木ジローより


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大木さんちの柴犬ジロー君への手紙  2003.12.31


 はじめまして。むらき数子のしっぽのある息子・ゴローです。
  うちのオカーサンから、君のことを聞きました。
オカーサンは、まだ君に会ったことないけど、「殺すな」マークのプラカードの君の写真を何回も見ているんだって。
君は、プラカードで「戦争はイヤだ!ワン」って言っているだけでなく、8月9日には新宿西口に行ったんだね。うちのオカーサンは、電車に乗る所へは連れてってくれないんだよ。(「西口通信」

 君は、小泉首相の会見の翌日からは散歩のとき、レインボー旗(NO WAR)を背負ってるし、大好きな焼き芋を我慢して意見広告へカンパを送ったんだって。

 「自衛隊のイラク派遣と憲法改悪に反対し、戦争への非協力を宣言する」意見広告(http://www.ikenkoukoku.jp)のことだ、うちのオカーサンはボクの名前でカンパすることまでは思いつかなかったって言ってる。

 うちじゃ、今日、オカーサンはカレンダーを取り替えると、古いカレンダーで三代目の「子犬のプラカード」を作ったよ。

「こないだのデモのとき、沿道で見てた人が、『プラカードの字が小さくて、なんのデモだか分からない』って言ってたから」とか呟きながら、ひときわ大きく「NO WAR」って文字を切り抜いて、動物病院のカレンダーからスカウトした子犬を貼りつけてました。
うちのオカーサンが、この一年間にうまくなったのは、プラカード作りとボクの爪切りだ。

 オトーサンが写真を撮るというので、クリスマスの手袋をして、コゴローと並びました。見てください。もしよく見えなかったら、ゴローちゃんファンクラブ」を見てね。

 オカーサンがボクに「来年も元気で長生きしようね」と言った。
ジロー君も、君のオカーサンも、「情報ファイル」読んでるヒトみーんな、
元気で長生きしようね  来年もよろしく


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