日当だけでいいの? 議員報酬
第1回 | むらき数子(企画紹介、「非戦つうしん」転載) | 第310号 2008.1.15 |
第2回 | 議員経験者の意見(1)埼玉県戸田市の岡嵜郁子さん | 第311号 2008.1.21 |
第3回 | 議員経験者の意見(2)茨城県境町の内海和子さん | 第312号 2008.1.29 |
第4回 | 議員経験者の意見(3)埼玉県蕨市の仲内節子さん | 第313号 2008.2.5 |
第5回 | 議員経験者の意見(4)東京都豊島区の山口菊子さん | 第314号 2008.2.12 |
第6回 | 議員経験者の意見(5)東京都調布市の任海千衛(とうみ・ちえ)さん | 第315号 2008.2.19 |
第7回 | 議員経験者の意見(6)東京都目黒区の宮本なおみさん | 第316号 2008.2.26 |
第8回 | 議員経験者の意見(7)埼玉県新座市の大矢道子さん | 第316号 2008.3.5 |
番外 | 一般読者からの意見をお待ちしています むらき数子 | 第316号 2008.3.5 |
毛利正道さんの「非戦つうしん331 08.1.2」」に、下記の記事がありました。 下記の記事を、「むらき数子 情報ファイル」をお送りしている現職・元職の議員の方々にお送りして、「矢祭町議会の条例」について、議員生活の経験者としてどのようにお考えになられるか、ご意見をお寄せ願いました。 次号から、議員経験者のご意見・具体例を順次、紹介していきます。(ご意見は、すべて、個人見解であり、所属党派のものではありません。) その後、議員経験者でない「一般読者」からのご意見を紹介したいと思います。議員経験者からのご意見を5、6回読んでお考えをまとめてからご投稿くださるようお願いいたします。 |
矢祭町議会が議員報酬の「日当制」導入 議員報酬の「日当制」導入の方針を決めた矢祭町議会は28日、臨時議会を開き、日当制に関する内容が盛り込まれた「町議会議員の報酬及び費用弁償に関する条例」制定の議員発議を可決、日当制導入が正式に決まった。 条例は、議員報酬について「日額とし、3万円とする」と明記され、報酬を支給するのは「議員が、定例会、臨時会、委員会など議会の正規の会議に出席した場合」「議長が認める町が主催、共催する行事等に出席した場合」「その他議会の活動として議長が認めた場合」と記されている。 http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=2007122914 試算では議会の人件費が3分の1以下になる。 http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20071225AT3S2503D25122007.html これでは、不労所得がある人しか議員になれなくなるのでは。 また、議会開催中以外の時も、懸命に生活相談などの議員活動をやっている議員ほど、今後は議員になれないということになるのでは。 毛利 |
埼玉県戸田市の岡嵜郁子です。東京に隣接した人口11万の市です。 矢祭町議会の議員報酬「日当制」について、感想を述べます。 当初、このニュースを聞いたときは、「合併しない宣言」をしている矢祭町なので、財政改革に議会も相当努力したのだなという印象でした。しかし、経過を見ると、また違う感じを持ちました。http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/m20071229026.html なんとこの間の行財政改革で財政調整基金が6年間で12億円に倍増。一般会計予算規模は17年度で約32億円ですから、相当な貯金を(かなり努力はあったのでしょうが)つくったということですね。 この状況で、議会費の削減をそこまでやる必要があったかな〜?と思いました(一方で、公共料金の値上げを抑えていることには感心しましたhttp://www.minpo.jp/pub/former/topix/0501tikara1/000015.html)。 矢祭町の議員報酬は元々は20万円そこそこ。そもそも専業で家計を担うことは厳しい金額です。ここから国民健康保険や国民年金、議員共済掛金も引かれますから、手取りはもっと少なくなるはずです。 さいたま市など月額報酬80万円の自治体とはわけが違います。 さらに経過を見ると、議員報酬の日当制は議会から言い出したことらしく、その決め方は分かりづらいところもあります。 議員としての調査活動や生活相談活動は、公式の日程とは換算されず、ただ来賓として出席するだけの行事参加が日当の対象になること。 会議出席を日当の対象とするのなら、議会や委員会の開催数を増やすことは想定されているのか。いま全国的には、定例会以外の期間中の議会開催の試みが広がっています。ところが、矢祭では上限額を設けるらしい。 これで、本当に議会の活性化につながるのでしょうか。 「報酬目当てでない立候補が増え、議会が活性化する」との見方は必ずしもあたらず、政治はますます「有能な人は選ばない」選択肢になりそうな気がします。 議会や議員の特権的優遇は正すべきですが、権能や身分保障の無闇な削減・縮小は、民主主義のための大事な装置を破壊することにつながります。町民の「議会は町に比べて経費削減に努力していない」の訴えには、「議会はこれほど町民に貢献しているのだ」と活動の中身で示すしかないのではないでしょうか。 議員の仕事として、身近な要求などの提案であれば、兼業でも十分できますし、むしろ議員以外の他の立場を持っていた方が良いケースもあると思います。 しかし、本気になって行政の内容や予算・決算状況のチェックを行うとなれば、専門知識も相当要求されます。議会に行政の監視機関としての役割を求めるなら、やはり専業でやれる保障が必要です。 したがって、わたしは現在のところ、日当制には疑問の立場です。 日当制で議会の活性化をめざすために、合わせて議員定数を大幅に増やした、ということだったら、まさに日本での新しい試みとしてまた違う評価もできると思います(矢祭は定数を18から10に削減)。 志ある人は誰でも立候補し、当選できる環境をつくる。たとえば議員を前定数の倍=36人くらいにするとか!ここまで来ると、相当いろんな人が議員になるでしょうから、多種多様、事前調整なんかも効かないぶっつけ本番の議会になって、かえって面白いかもしれません。 行政当局は嫌がるだろうなあ・・・。 議会も人材不足及び形骸化が指摘されている機関であることは事実です。 自分もその一員として、改善のための努力は常に肝に銘じておきたいと思います。 |
茨城県境町の内海和子です。 人口約26,000の田園地帯、老人比率20%の町です。平成の大合併を拒否した町です。 茨城県各地、かすみがうら市、常陸大宮市、古河市で、議員の報酬について値下げの住民運動が盛んです。町村合併で報酬が高い所に合わせたため、おおかた小さな町村の議員は値上げになったことへの反発です。 常陸太田市では40%上がりましたから、これは法外と私も感じます。 取手市では旧藤代町の議員はそのままの報酬でやっています。その代り合併後2年半は特例で市議となっていました。が、これもおかしなことと感じています(この1月に合併後初の選挙が現在進行中)。 坂東市は、2005年に岩井市(人口約4万3千)と猿島町(人口約1万5千)が合併してできた市ですが、旧猿島町の議員は市並みに、294,000円から405,000円に値上げとなりました。 この坂東市への合併を住民投票で拒否した境町では、合併不成立の責任を議会が問われ、解散して議員数を減らせば7,800万は削減になるということで、議会解散の署名運動がなされました。自治法に則ってリコールが成立し、議会は解散となり、解散後に選出された町議会は、議員定数を20から14に、報酬はすでに286,200を一割カットして257,000としていたので据え置きとなりました。 古河市も2005年に旧古河市・総和町・三和町の1市2町が合併してできた人口14万6千の市、商業・工業・農業の地域です。古河市での住民運動も地方自治法に則った署名運動で、議員報酬10%引き下げを求めて臨時議会を開催させましたが、議員の大半は値下げには反対で、中を取って議会案の5%のカットとなりました。住民運動としては一応は成功したわけです。 この住民運動にかかわって、感じたことは住民と議会とのかい離、さらには執行部と住民のかい離です。これは私が議会人だった時のかい離と同じです。しかしながら、このかい離は自治体、議会人の説明責任がしっかりとしていなかったからでもあります。が、それ以上に住民が聞く耳を持たなかったといえます。(つまり無関心。議会報告などを読んではいない。) このような状況の中で、どこも行政改革、特に財政改革となると、報酬の問題が一番わかりやすいことは確かです。小泉元総理は「合併が最大の行革」と言いました。 その合併に名を借りての報酬引き上げは筋が通らないというわけです。特に今、年収300万世帯が増え、年金問題や、医療費の値上げ、財政難を理由の行政サービスの低下、職員等の賃金カットなどが浮上し、加えて、公務員の不祥事などが露見しだすと、議員や首長がどんな働きをしているか目に見えないだけに、多くもらいすぎているようにみえるのでしょう。 私の最終報酬は以下の通りでした。(2005年3月現在)
確かに生活費としては一人がやっとでしょうか。それでも新入社員よりはいいでしょうか。 境町にあって、ただひとり議員報酬、政務調査費、期末手当等の公開をしてきたのですが、安いとも高いとも一度も聞いたことがありませんでした。 真面目によく働く議員なら、町レベルの議員報酬は少ないと思います。議員になって初めて市議と町議ではかなり違うと感じました。仕事内容はあまり変わらないと思いますが。 私個人としては、今まで扶養家族でしかなかった私が税金を払い、個人としての経済的な自立ができたのですから、素直に喜びましたよ。これ以下の町村もあるのですから、妥当と思いました。 しかしながら、市レベルでは一般的に年収300万台の世帯が多くなっている日本の地方の現状では、年収500〜700万になる市会議員の報酬は高いと一部市民が感じるのは仕方ないと考えます。 議員側からすると合併して歩く面積が増え、広報費がかさむことなど理由はわかりますが、現実には誠実に議員活動をしている方は分かりにくいのです。 年4回の定例会と行事時の挨拶のみの、利益誘導型、仲間内民主主義の議員がまだまだ多いということです。 古河市や境町の議員の多くの支出は冠婚葬祭費です。それは選挙時に生きてくるので、欠かせません。盆暮れの付け届け、違反ですが巧みにやっています。手土産を持たない付き合いなどないのです。「頼みごとをするのに、手ぶらってえこた、あるめい」と言う土地です。長年この地で暮す者にとってはみんなが親戚となるのです。それをこまめにやり、笑顔でいることが当選につながるのでしょう。 議員には報酬は十分に与えて、しっかりと町の運営をチェックしてもらうのが理想でしょう。それにはしっかりと勉強した方か勉強する意思のある方に限ります。実際には中途半端な、兼業議員が多く、議会のない時は、地位を生かした利益誘導に走っているのです。自分の仕事に熱心で会議を欠席するものもいるとか。そんなお金持ちの議員はいらないのですが、現実にはそんな名士面した議員ばかりが目立ちます。 執行部提案を承認するだけの議会なら、日当でも良いのかもしれません。地域ごとに議員の思いも住民意識も違うので一概には報酬が妥当かどうかは言えないのではないでしょうか。 要はどれだけ市民に納得してもらえるかだと思いますので、その意味で、矢祭町の日当制の試みは議会改革へ一石を投じたと考えています。 矢祭町には視察に行ってきましたが、職員が大変だなと感じました。もったいない図書館は全国からの贈書であふれていました。今は受贈をしめ切っていますが、整理に大変な現実があります。町長抜擢の女性職員が頑張っていましたが、個人のエネルギーだけでは限界がありそうです。こうした一生懸命な職員がいて、それを住民が見ているので、住民も協力するのかもしれませんが。 人口7000人弱、人口の老齢化率も30%という田園地域だからこそ、住民みんなが顔見知りという中での決断でしょうから、ほかの地域でまねができるとは思えません。 しいて言うならこういう町は議会をなくして完全な住民自治にするべきではないかと考えます。 茨城県では、議員も首長も、無投票で選出されることが珍しくありません。無投票とは、立候補者数が定数以内であれば、投票なしで当選と決まることです。有権者の意思表示なしに選ばれてしまうこともある選挙自体に不信感を抱いている私としては、実費のみのボランティアでもいいと考えます。 大事なことは報酬の多寡で、立候補するのではないということです。 |
蕨市の元市議会議員 仲内節子です。 蕨市は、東京に隣接した人口7万の市です。市域面積が5.10k?と全国一のミニ市であり、人口密度が全国で最も高い市です。 日当制の議員報酬についての考えを申し上げます。 まず、今回の矢祭町の日当制導入について限定すれば、私は「賛成に近い」です。事情がよくわからないので、「近い」という表現になります。 あの町が合併されることなく地方自治としての町を守る、という基点からさまざまな行政改革をおこなっているやに伺ってます。 その一環として、やむにやまれない財政事情から発しているのだと思うからです。 もっとも、その町の人間でないので、断定していいものかどうか迷いますが。 しかし、是が一般化されていいものかどうか、となると疑問です。 24年前に私が初立候補したとき、商社の社員としての収入の約半分になってしまいました。 夫の収入とあわせれば生活できたので、安い報酬でも大丈夫でしたが、当時でも「この報酬では世間一般の男性の収入としては、随分少ない」と思いました。同僚の男性議員はみな連れ合いが働く、遺族年金収入で何とか、と世間的にみても「苦しい生活」でした。 生活相談に見える方のほうが豊かなんじゃないかなあ、と正直おかしかったことを思い出します。 その後、バブル期もあり、多少改善され、現在では何とか普通の生活は出来る程度になったと思います。 報酬の少なさが原因で立候補できない、ということはない状態です。 生活が保障がされる程度の報酬金額は必要です。 そうでないと、優秀な人材を議員にすることができないです。 地方自治は「民主主義の学校」です。必要経費はきちんと捻出すべきです。 住民の声を反映したり、行政をチェックし予算を市民本位のものにしていく、また国に対しても国政問題で市民を代表して発言していく、など「専門的」な力が要求されます。 私の場合、マンション問題やサラ金問題、生活保護申請など市民の生活に直結する課題の取り組みに命を削る思いをいたしました。 勿論、毎回市議会での一般質問、予算決算審議など大切な活動に気を抜く時間もない状態でした。 時間給としてみたら、議員報酬は決して多すぎはしないと思います。(勿論自治体によりますが。私のいた蕨市について、と限定いたします。) 友人たち(議員でない)と話していても、「少ない報酬でよくがんばっているね」という評価が多かったです。 いずれは、ボランテイア的な議員(専業でない人)が正業の傍ら市民の代表として働く、という形になっていくのかなあ、などと考えますが、(その時は数も今より沢山で、無償で、議会も夜や日曜日といった感じでしょうか。)日本の現状では、そんなことは夢です。 今のところは、きちんと生活を保障できる報酬を支払うことで、真摯な議員活動を要求すべきではないでしょうか。 一般的には削るべきは議員報酬ではなく、不必要な開発事業や無駄づかいだとおもいます。 それをチェックできる力のある議員はちゃんとした報酬を必要としています。 |
東京都豊島区の山口菊子です。 矢祭町の件ですが、合併を拒否して財政が厳しいことは理解しますが、議員報酬についての位置づけについては、間違っていると思います。 ただ、実際のところ、地方の自治体議員の報酬は低く、働き盛りの人が議員になれないのが現実です。とても食べていかれる報酬ではありません。農家で収入を得ているなど、何らかの本業を持っている人がほとんどで、東京23区では考えにくいのですが、勤め人の場合は定年になってから議員に出馬する例も多くあります。 また、矢祭町程度の自治体だと、委員会の数も少なく、議会活動が大都市ほどではないのではないでしょうか。 かつて、私と同じ頃当選した福島県のある町初の女性町会議員が驚いていました。チャンとした議会が開催されていない、と。彼女が議員になって、やっとまともな議会が開催されて、一般質問も行なわれたと。 景気が悪く、庶民の収入が減っている状況で、「議員は税金で給料を貰っている」と、私もよく言われる言葉です。そして、議員定数を減らすように言われます。 豊島区は、面積13平方キロメートル、人口は25万人を超えています。財政的には東京23区で平均を少し下回る自治体です。 物価は全国同じようなものですが、池袋駅などのある豊島区は、もし車を持っていたら駐車場代は3万円を超えるのが普通です。生活保護世帯の家賃(57000円程度)に該当するような木賃アパートは激減しており、1DKで10万円近くという、つまり生活費が相応にかかる地域です。 区議選で、民主党の若手議員が「給料の倍働きます」というポスターで初当選しましたが、私が「議員報酬って、もっと多いと思っていたでしょう?」と尋ねたら、「ハイ、こんなに厳しいものだと思いませんでした」と答えていました。そして、100件近い新年会の多くを、妻子を養うために会費が支払いきれないと、欠席をしています。 23区の議員の場合は税込み年収1000万円くらいですが、所得税・住民税・国民健康保険・国民年金・議員共済などを引くと、招かれる忘年会・新年会・各種団体総会などの会費を支払うのが難儀なことになっています。私の場合は現役サラリーマンのツレアイがいますが、仲間の議員の妻の多くはフルタイムで働いています。 また、拘束時間が存外に多く、議会以外に各種審議会や区の主催行事や地域行事など、休む暇がありません。最近では、別に本業を持っている議員も少なくなり、自民党でも議員専業が圧倒的に多くなっています。特別な資産家以外は、報酬を下げないでほしいと言っています。あんまり安くすると、袖の下を要求するかもしれませんね。もちろん、出したい人を出せなくなります。 議員がどのような活動をしているか、自らがもっと知らせる努力をすべきでしょう。私の通信やホームページを見た方が、「忙しいんですね!」と、驚かれています。もちろん、全ての活動を掲載しているわけでなく、実際はもっとハードなのですが・・・ |
東京都調布市の任海千衛(とうみ・ちえ)です。 調布市は、東京都のほぼ中央,多摩地区の南東部に位置し,新宿副都心へ15kmの距離にあり、世田谷区に隣接した市です。現在は人口約21万、世帯数約10万の市です。 毛利弁護士が指摘するとおりです。 議員報酬は低ければ低いほどいいという考えは誤りで、議員の生活と議員活動に必要な最低限の活動費が保障される事が必要だと思います。報酬額についてはその地域の平均的世帯の収入額が妥当ではないでしょうか。 決定するにあたってはお手盛りでなく住民に公開され、住民参加で理解が得られる額を決定すべきです。 私の所属していた日本共産党では、報酬額をそのまま生活費とするのでなく、議員団で生活費分の額を決定し、それを上回る分については議員活動に必要な経費、例えば議会報告のための印刷費、顧問弁護士への支払いなどに当てると共に、次期選挙のための積立金として活用していました。 日当制になれば他に収入がある人しか議員になれないという弊害が生じます。 |
東京都目黒区の宮本なおみです。1971年から1991年まで20年間の区議会議員生活(無所属)でした。 東京都目黒区は面積14.7平方km、人口25万ちょっとという、連載第5回・山口菊子さんの豊島区とほぼ同じです。 今の議員をみていると、世話役活動や行事出席(新年会などを含む)や政務調査費による出張なども多いようです。 議員個人によってかなり異なりますが、20年くらい前の私たちの時代は、市民運動もそれなりのダイナミズムがあって多忙を極め、保守系の議員たちも、どのような町をつくるのか切磋琢磨していたような気がします。 今のような政務調査費も初めは無く、1万円に始まって20年くらいかけて7万円とか8万円になったという状態ですから、現在の年間200万円もの無税の政務調査費が出るなどということは、夢のまた夢でした。毎月発行していたニュース代も政務調査費だけでは足りず、持ち出しで、月10万円の事務所費や車維持費は議員報酬からでした。安月給でも夫の収入があったから可能だったともいえます(当時と今は物価はほとんど変らず物価騰貴ゼロに等しい)。 現在の東京23区の政務調査費は、年間おおよそ200万円もの無税の収入(活動費)になっているのですから(荒川区を除く)、そのことを生かし議員報酬のあり方を検討する必要があると思います。 東京多摩地区の議員のほうが政務調査費がかかるであろうにと日頃思っているのですが、2万とか3万とかです。東京23区や都道府県の議員の政務調査費は高額です。そもそも国会議員も同様なのですが、無税の政務調査費を200万円も区議がもらうとは、ワーキングプアが激増している今、頭をかしげたくなります。 いっそそうしたことを生かし、調査に必要な人には、規定に従って要求するだけの活動費(政務調査費)を払い、議員報酬をなくし、矢祭町のように日当制にすることに賛成です。政務調査費の事務量は増えますが、隔月のまとめ請求などにするとたいしたことはありません。 さまざまな住民のニーズに合わせ月に10回くらいの議会を開き、日当3万円の費用弁償で月額30万円は、とてもいい線だと思います。それに扶養家族手当とか、上限を設けた住宅手当とかを付けるのです。それぞれの生活が維持できる仕組とするのです。 たいていの調査事項は、議会事務局にお願いしておくと出されてきますし、何も不自由なことがなく、東京の区議の現在の月額約65万の議員報酬で計算するボーナス分の約半分が節約できます。 区民相談とか世話役活動とかが議員活動だと思っている人がいますが、それは違うと思います。一市民の私たちも沢山の生活相談を受け解決しています。民生委員然り、町内会の役員然り、手弁当で住民運動をやっている人々もいます。 一言でいうと私の提案は、矢祭町方式に家族手当などのプラスアルファーを付けるというものです。 この議員報酬の問題は、私の中で、あるいは周囲の人々と議論した数々の場面をふまえたものです。 この連載の中で、第2回・戸田市の岡嵜郁子さんのご意見に引き込まれるものがありました。議会費だけを節約できればよいのではないのだから、安くした分だけ議員を増やすことに大賛成です。 さまざまな人々が議会に出ていろいろな勉強をし、いろいろな意見をいう。地方自治体の議会の中に、とても希望がもてそうな明日をみる思いです。何の幻想もまだもてないけれど、民主党が多数となった第一歩の国会改革の中で、地方に在日朝鮮人等の選挙権を認める制度ができたりすれば、いっそうの活性化が期待できそうです。 「むらき数子 情報ファイル」の、こうした議論の場を作る企画は素晴らしいですね。沢山の人々からの意見を期待します。 しらけていないで、多くの人が選挙に挑戦し、議会や税金の使われかたに興味を持っていただけたらと切に思います。 |
元新座市議会議員・大矢道子です。 埼玉県新座市は、人口約15万、東京の典型的なベッドタウンです。 私は労働組合の経験が長いので、仕事で賃金を受け取り、そのお金で生活し、活動していました。「議員になれば、自分が必要と思う活動をしてお金がもらえる」と思ったのですが、最後まで税金でお金をもらって生活していることになじめませんでした。 でも、資産家でない普通の市民が生活費を稼ぎながら議員をするのは、人口15万程度の市での経験から言うと無理です。市長をはじめとする執行部が市民のために最善を尽くそうとしているという信頼関係があれば別でしょうが、一つ一つに目を光らせていようとすると、いくら時間があっても足りません。 さらに、「これだけの収入があって、どう使えば市民のためになるのか」と単純に考えられればいいのですが、国・県の法律・条例からこまごました指示までを頭に入れた上で、「では、どうするか」と考えざるを得ない。市の職員は国の指示を県の「○○課長会議」などで受けて、その通りやるのが市の仕事だと思っている。それに対して「いや、こうできるはずだ、こうすべきだ」と言うには、たいへんなエネルギーが要ります。(「地方分権」で国・県に対して市の「できること」は増えていますが、「民間活力」が野放しにされるなかで大幅に制限されてきてもいます)。 市職員の係長・課長程度の生活費は保障すべきと思います。 |
(7)で、「議員経験者のご意見」紹介を終わります。 ご意見をお寄せくださった議員経験者7人の方々に厚くお礼申し上げます。 次号以降は、一般読者からのご意見を紹介していきたいと考えています。 一般読者とは、議員経験のない人すべてをさします。年齢・国籍・居住地・選挙権の有無・納税額・職業を問いません。それぞれの暮らしを踏まえての意見をお寄せください。 2−3行の感想でも、論文でもかまいませんが、最長1,500字程度に簡潔にまとめてください。 議員経験者の方々には、実名で、活動自治体を明らかにしたうえで、ご意見を紹介させていただいてきました。 一般読者の方も、投稿は実名で、自分がなぜそのように考えるかという背景を明らかにしたうえで意見を述べてください。誹謗中傷や個人攻撃はおやめください。 実名仮名の選択・文章表現・掲載の可否までを含めて、むらきが編集者としてあたらせていただくことをご了解ください。 投稿をお待ちしています。(むらき数子) |